男子個人総合決勝 金メダルを獲得した内村航平は、最後まで争ったウクライナのオレグ・ベルニャエフと健闘を称える=リオ五輪アリーナ (撮影・大橋純人)

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 リオデジャネイロ五輪第6日(10日=日本時間11日、リオ五輪アリーナ)体操男子個人総合決勝を行い、内村航平(27)=コナミスポーツ=が92・365点で金メダルを獲得。前回ロンドン五輪に続く2連覇を達成するとともに、団体総合との2冠を手にした。

−−演技を終えて

 「オレグ(ベルニャエフ)の演技と点数はみていなかった。場内アナウンスで、鉄棒勝負と分かっていた。自分はなかなかいい鉄棒ができたので、これで負けても悔いはない感じでオレグの点数を待っていた。僕の中では展開的に負けたと思った。ただただよかった」

−−試合展開は

 「僕のことを意識してオレグがいい試合運びをしていた。みている人にはおもしろい内容を見せられた。体操の難しさ、おもしろさを伝えられたことが、勝ち負けよりもよかった」

−−全体の内容は

 「平行棒がオレグがものすごい点数をたたき出して、食らいついていかないと思い、力みが入った。それ以外は自分の演技が5種目できた。着地もとめられた。自分の持ち味がだせた」

−−鉄棒に臨む前の心境は

 「やる前はいつもどおりやることしか考えず、何の欲も出さず、着地を止めることしか考えていなかった。オレグの演技をみないと決めていた。ずっとみていなかった。あとは運に任せたという感じだった。自分の演技さえすれば結果がついてくる。いままでで一番できた試合だと思った」

−−逆転の金メダル

 「負けたと思った。負けたとしても一瞬、悔しい感じがこみあげてくると思ったけど、割り切れていた。負けていた方が楽だったかも。五輪で連覇するというのは、4年間でここまで大変なんだなと。ロンドンはミスが一つあっても金メダルが取れた。精神的な余裕があった。この先は余裕のある戦いは、絶対できない。オレグと一緒に大きな舞台でやったら、絶対に勝てない」

−−連覇の意味は

 「世界大会8連覇。僕が個人総合のレベルを引き上げてしまった。僕よりもっとできる選手がでてきて体操界の進化はとまらない。進化には貢献できていると思う」

−−どうして鉄棒で着地を決められたのか

 「決めなきゃいけないところで決められるのは武器になる。(加藤)凌平は奮わなかったけど、日本を引っ張る存在になる。そういった姿は常にみせていかないといけないと思ってやった」

−−演技中の心境は

 「すごく冷静だった。平行棒で点数を気にしてしまったけど鉄棒が終わったとき、みている側ならすごくおもしろいと自分で思った。日本に帰って楽しみにみたい」

−−精神的な疲労は

 「かなり、しんどかった。思い返したら二度とやりたくない。団体の金を取って、燃え尽きそうになった。それでもがんばって、気持ちで持ちこたえた。きょうは1種目も1秒も気持ちを緩めなかった」

−−腰の状態は

 「腰はやばい。鉄棒のエンドウ(腰を折り曲げる技)でぎっくり腰みたいになった。もともと腰痛持ちなのに。これでよく着地がとまったなと。歩くのもいっぱいいっぱい。いつもどおりの鉄棒ができた。予選でやれよという感じだけど」

−−この4年間の歩みは 「いろいろあった。ここまで思い返すと。全日本選手権はぎりぎりの戦いで勝ち続けた。そういう経験がきょうの個人総合に詰まっていた。ノーミスで着地までまとめていくスタイルを五輪でできた。全然満足できないけど、達成感はある」

−−連覇について

 「うれしい。もはや自分はやらなくてもいい。もうやらなくていい」

−−やらなくいいいとはどういう意味なのか

 「日本代表として決勝に残るか残らないか。日本代表を目指すにあたっては絶対に6種目をやらないといけない。まだまだ個人総合で狙えるレベルであればやるけど、もうないと思う。どっちかというとやりたくないというのが本音。最後終わった瞬間、もう二度とやりたくないと思った」

−−東京五輪は

 「東京五輪はオレグが取るといまは思う。凌平も伸びしろがある。日本に残っている選手も4年間あればいける。僕が示してきた姿から、どこまで習得していけるか。世界王者には日本人になってほしい。僕がこれだけやってきて、伝統といわざるを得ない個人総合になった。プレッシャーをかけてしまうけどそういう選手が出てこないと。本当は凌平と表彰台に上りたかったのが本音」

−−今後の目標は

 「いまはない。東京は代表に入れたらいいくらい」

−−家族には

 「最高の結果を残せたと思う。この五輪までの間、かなり気を使わせて自由のない生活をさせてしまった。帰ったら存分にこき使ってくれと伝えたい。(メダルに)傷はつけられたくないでのラップとかに包みたい」

−−団体との2冠

 「団体も個人もかなりうれしいというよりやりきった。ホッとしたというのに近い」