原発事故後に認知症女性が行方不明 東京電力に賠償命じる

原発事故後に認知症女性が行方不明 東京電力に賠償命じる
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福島第一原発の事故のあと、近くの病院からいなくなり、死亡したと見なされた認知症の女性の遺族が賠償を求めた裁判で、東京地方裁判所は、東京電力に対して2200万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
福島県大熊町の双葉病院に入院していた認知症の88歳の女性は、原発事故のあと、救助を待つ間に行方が分からなくなり、死亡したと見なされる「失踪宣告」を受けました。
遺族が賠償を求める訴えを起こしたのに対して、東京電力は「行方不明になったのは震災による停電で病棟の鍵が解除されたためで、事故が原因ではない」などと主張しました。
10日の判決で、東京地方裁判所の水野有子裁判長は「女性が外に出たのはすべての職員が避難した3月14日の夜以降で、それまで職員は十分に見守りをして外出を防いでいた。事故がなければ職員が避難することはなく、見守りが継続されていた」と指摘し、東京電力に対して2200万円の賠償を命じました。
判決について、遺族の弁護士は「丁寧に認定してもらったが、亡くなったことの確認もできていない遺族の思いを考えると、より多く賠償が認められるべきだった」と話していました。
一方、東京電力は「判決の内容を確認したうえで真摯(しんし)に対応してまいります」とコメントしています。