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大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

高等教育関連の話題が中心。最近は補助金やIR、SDの話題が中心です

平成29年度私立大学収容定員増の傾向~H28.8月現在~

 平成28年6月28日及び8月8日に平成29年度からの私立大学等の収容定員の増加に係る学則変更予定一覧が公表されました。今回は以前作成した記事をもとに、8月8日の結果も加えて、収容定員増加の傾向についてまとめました。 

as-daigaku23.hateblo.jp

※以前の記事に掲載した図で修正が必要な個所がありましたので、この記事のものが訂正後となります。

 まず本記事のデータは、文部科学省で公表されている学則変更予定一覧に記載されている62大学を対象とします。また、今回は編入学定員や通信教育課程は入れておりません。

昭和女子大学は6月と8月のそれぞれに入っております)

合計の増加数は6月の7,354人に加え、8月は2,058人となりますので合計で9,412人です。また従来ある学部学科だけではなく、新たに設置認可を行っている学部学科の純増となる定員数もこの中に含まれています。純増の人数だけで大規模大学なみの人数ですね。

それでは最初の疑問です。

1.本当に都市圏に定員増が集中しているのか?

 公表されている一覧を基に、各都道府県で何名の定員増があるかを調べてみました。

なお、複数のキャンパスを持つ大学は、定員増をする学部の所在地の県の数値とし、 上級年次からキャンパスが変更となる場合は、1年次のキャンパスの所在地としました。

 例:東京理科大学は北海道長万部に基礎工学部1年のキャンパスがありますので、北海道が定員増があったと換算しました。

下記の図は、次のように色分けをしています。

 0~100人   黄色

 101~500人  緑

 501~1000人  青

 1001人~   赤

f:id:as-daigaku23:20160809155355p:plain

また実際の人数は次の表の通りです。

f:id:as-daigaku23:20160809155446p:plain

 東京は約3500人の増加があります。東京は当然1位でして、8月での申請も多かったです。2位の大阪は8月では40名程の増加しかありませんでした。3番目に多いのは神奈川県となり僅差で愛知県となっています。神奈川県は明治学院大学が大幅に定員を増やし、1・2年キャンパスが神奈川にある為ですね。図や一覧を見るとやはり三大都市圏にはやはり定員増加が集中していることが見受けられます。岡山県が青色なのですが、これは川崎医療福祉大学が330名の定員増がある為です。

 近畿圏の場合は、立命館龍谷・近畿といった大きい大学は様々なキャンパスで定員増をしていますので、滋賀県にもある程度の増加が見受けられました。

 九州では西南学院大学の増加が280名ありますので、福岡県は図では緑となっています。

 

2.定員増加数だけではなく、増加率はどうなっているのか?

次は各大学がどのくらい収容定員からみて定員をどれぐらいの割合増やしているのかを調べてみました。その結果が下記の図です。

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 縦軸が増加率、横軸が増加数となります。増加率が120%以上が3大学ありますが、いずれも新たに学部を作る大学となります。特に160%は群馬パース大学でして、小規模大学でもありますので、新学部を作る際に120名の増加でこのような割合になっています。また130%以上の大学ですが、次の図を見てください。

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上記2つを見比べると120%以上はほとんどが小規模大学であることが分かります。

また続いて中規模大学と大規模大学についての図です。

f:id:as-daigaku23:20160809160342p:plain

中期規模大学で130%に近いのは国際医療福祉大学です。

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 どの大学も昨年度の入試(今年入学者)は良かった(学生が集まった)と聞きました。しかしこれだけの定員増加があるとなると、今年及び来年ぐらいが勝負でしょう。特に三大都市圏近辺にある小規模中規模大学の競争は激しくなっていくことは言うまでもないと思います。

 大学の規模については、歴史的にみると政策による抑制と緩和の繰り返しです。今回の政策結果が大学全体にどのような影響を及ぼすのかは興味深い点ではあります。

 

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