政府 北朝鮮ミサイルに備え破壊措置命令

政府 北朝鮮ミサイルに備え破壊措置命令
k10010627351_201608081944_201608081945.mp4
政府は、北朝鮮による弾道ミサイル発射の兆候が事前につかみにくくなっているとして、警戒・監視を一層強めるため、8日夜、自衛隊に対し、「破壊措置命令」を発令しました。政府としては、不測の事態に備えて、「破壊措置命令」を、常に発令された状態とするため、当面3か月ごとに更新し、万全の態勢を取ることにしています。
北朝鮮は、ことしに入って弾道ミサイルを繰り返し発射しており、今月3日には、日本のほぼ全域を射程におさめる中距離弾道ミサイル「ノドン」が、秋田県の男鹿半島から西におよそ250キロの日本の排他的経済水域に落下したとみられています。
この弾道ミサイルは、兆候がつかみにくい移動式の発射台を使って発射されたとみられ、これまでの発射でも移動式の発射台が使われた可能性が高いとみられています。
政府は、北朝鮮による弾道ミサイル発射の兆候が事前につかみにくくなっているとして、警戒・監視を一層強めるため、8日夜、自衛隊に対し、これまで兆候が把握できた際に発令していた「破壊措置命令」を出しました。
これを受けて、今後、高性能レーダーや海上配備型の迎撃ミサイルを備えたイージス艦や、地上配備型の迎撃ミサイルPAC3の部隊が展開できるようになります。
政府としては、不測の事態に備えて、「破壊措置命令」を、常に発令された状態とするため、当面3か月ごとに命令を更新し、万全の態勢を取ることにしています。

自衛隊 PAC3など展開へ

これを受けて航空自衛隊は、迎撃ミサイル、PAC3の部隊を防衛省の敷地内に展開することになり、発射機などを設置する準備を進めています。
また、海上自衛隊も弾道ミサイルを追尾できる高性能レーダーを備えたイージス艦を日本海に展開することにしています。
破壊措置命令は、これまで北朝鮮からの発射に関する事前の情報や兆候が確認された際に発令され、およそ2か月半にわたって続いたケースもありましたが、命令が終結すると部隊はすぐ撤収してきました。
自衛隊は防衛省のPAC3などの展開を続けたうえで、今後の状況に応じて部隊の規模や配置先を改めて検討することにしています。

過去の破壊措置命令

破壊措置命令は、弾道ミサイルや部品などが日本国内に落下するおそれがある場合に自衛隊が迎撃するためのもので、防衛大臣が命じます。
初めて破壊措置命令が出されたのは、平成21年3月で、北朝鮮が人工衛星を打ち上げるとして事実上の長距離弾道ミサイルの発射を予告したことを受けたものでした。
3年後の平成24年の3月と12月にも、北朝鮮による人工衛星の打ち上げと称した事実上の長距離弾道ミサイルの発射予告を受けて破壊措置命令が出され、政府は3回とも発令したことを公表しました。
一方、4回目となった平成25年4月の命令は、北朝鮮で発射の兆候があるとして出されましたが、北朝鮮から予告はなく、政府は「日本側の対応を明かすことになる」などとして発令を公表しませんでした。
このときは発射への警戒が続き、破壊措置命令はおよそ2か月半にわたって継続されました。
また、ことしに入ってからは、北朝鮮から事実上の長距離弾道ミサイルや中距離弾道ミサイルのノドン、それに、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルとみられるものなどが相次いで発射され、破壊措置命令も複数回、出されました。
このうち、ことし3月に出された命令は2か月近く続くなど、長期化する傾向も見られていました。