10万件超す 15年度、25年連続増加
厚生労働省は4日、2015年度に全国の児童相談所(児相)が対応した児童虐待件数は、前年度比16.1%増の10万3260件(速報値)だったと発表した。1990年度に統計を取り始めて以降25年連続で増加し、初めて10万件を超えた。子どもの前で親が配偶者に暴力を振るう「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」が虐待として認知されるようになり、警察からの通報が増えたのが主な増加要因という。
虐待の内容別では、言葉や態度で子どもを傷つける「心理的虐待」が最多の4万8693件で、全体の47%を占めた。面前DVも心理的虐待に含まれる。「身体的虐待」は28%(2万8611件)、「ネグレクト(育児放棄)」は24%(2万4438件)だった。
通報が最も多かったのは警察からで、全体の37%に当たる3万8522件だった。警察内部の会議で、面前DVについて児相と連携を取るよう伝えているためとみられる。ほかに「近隣住民や知人」1万7406件(全体の17%)▽「家族」8872件(同8%)▽「学校」8180件(同)−−などだった。
児相への通報の全国共通ダイヤルを、昨年7月に10桁から3桁(189番)に短縮した効果もうかがえる。このダイヤルへの相談件数は14年度の9912件から15年度は2万9083件へと3倍近く増えた。ただし、189番には虐待ではない子育て相談も含まれる。長いガイダンスのために途中で切れる電話が多く、接続率は年度平均12.4%にとどまったが、ガイダンスを短くした4月以降は20%程度に上がった。
都道府県別の対応件数で最多は大阪府1万6581件(前年度比21%増)。次いで神奈川県1万1595件(同14%増)、東京都9909件(同27%増)だった。虐待相談件数の増加について、厚労省は「虐待が放置されず、表に出てきている面もある」と分析する。【熊谷豪】