昭和シェル40万株入手…合併阻止へ対抗策
石油元売り大手の出光興産と昭和シェル石油の合併に出光創業家が反対している問題で、創業家が昭和シェルの株式を40万株入手したことが3日明らかになった。出光が予定する英オランダのロイヤル・ダッチ・シェル(RDS)からの昭和シェル株の取得を阻止するのが狙い。合併反対の姿勢を強硬に示した形で、合併実現への道のりは不透明さを増している。【岡大介】
昭和シェル株は創業者長男の出光昭介名誉会長が取得した。株価から推定して、4億円近い私費を投じたとみられる。3日、記者会見した創業家代理人の浜田卓二郎弁護士は「合併は最後まで反対する。長引かせずに早期決着させたいというのが創業家の願いだ」と説明。予定していた仕組みでの昭和シェル株の取得が難しくなったと主張し、出光経営陣に昭和シェル株取得や合併自体の早期断念を呼び掛けた。
出光は昭和シェルとの合併に先立ち、9月ごろにRDSから昭和シェル株33.3%(議決権ベース)を市場外の取引で取得する予定だった。だが、株式取得後に出光側全体が持つ保有率に、出光大株主の創業家の40万株が上積みされることで3分の1をわずかだが超えるため、金融商品取引法に基づき市場での株式公開買い付け(TOB)を行う義務が発生すると、浜田弁護士らは主張。TOBの場合、株取得に伴う出光の費用負担が増える可能性があるという。
経営陣と創業家は合併を巡り、7月11日に会談したが、白紙撤回を求める創業家と、合併の利点を説く経営陣の議論は平行線をたどった。関係者によると、会談後に昭介氏は「もっと経営陣が折れてくれると思っていた」と不満を漏らし、昭和シェル株取得という強行策を取る方針を固めた。
また創業家は「(合併に絡み)昭和シェルの重要事項を伝えられると、株取得がインサイダー取引になる可能性がある」として、昭和シェル株取得を白紙にするまで経営陣との協議にも応じない意向も示した。
一方、出光は「事実関係の詳細が確認できていない。調査の上、対応を検討する」とのコメントを出した。また、「テーマを決めて、インサイダー情報になる事項以外での話し合いは可能だ」(広報)として、今後も創業家への説得を続ける方針だ。
ただ、創業家の主張通りRDSから昭和シェル株を市場外で取得することが難しいと確認されれば、3分の1を超えないよう取得比率を下げたり、TOBを強行したりするなど、対応策の検討が必要だ。昭和シェル株が取得できなければ、昭和シェルとの合併を巡る基本合意も見直しが必至で、混乱は避けられなさそうだ。
出光・昭和シェル統合計画
石油元売り2位の出光興産と5位の昭和シェル石油が2017年4月に予定する。15年7月に両社が記者会見し「経営統合に向けた協議を本格化する」と発表。併せて英オランダのロイヤル・ダッチ・シェルが保有する昭和シェル株33.3%(議決権ベース)を出光が買い取ることも発表した。
同年11月に統合手法について「対等の精神で両社が合併する」と発表。出光が昭和シェル株を買い取る時期は当初「16年上半期」だったが、公正取引委員会の審査手続きを理由に今年9月に変更していた。
国内でガソリン需要が減少するなか、石油元売り業界は再編が続いており、1位のJXホールディングスと3位の東燃ゼネラル石油も統合協議を進めている。