「18人がかわいそうだ」。東京都知事選の常連候補で今回の出馬を見送った発明家、ドクター・中松氏(88)が23日、日刊スポーツの取材に応じた。選挙戦について「有力とされる3人ばかり報道されて不公平」と訴えた。前回まで6回連続、通算7回出馬し、泡沫(ほうまつ)の扱いも多かっただけに、選挙制度の問題点も指摘。インターネット上で「バーチャル都知事選」を行い、約14万票を得ている。

 中松氏は記者から21人の候補者リストを見て「知らない人ばかりだ」とこぼした。事実上、主要3候補の争いになっている構図に怪訝(けげん)な表情を浮かべた。

 「3人ばかりテレビで取り上げられて、他の人たちはかわいそうだ。他の18人は、何を目的に出ているのか、分からない。才能があって、真面目でクリーンな人だっているかもしれないのに隠れちゃってるとしたら不幸なことですね」

 91年に都知事選に初出馬し、前回の14年までに7度の落選を重ねた。「泡沫候補」とされることも多く、18人の気持ちを代弁した。

 「政党の推薦とか、国会議員とか、そんなことで有力候補とされ、泡沫候補は抹殺される。それは不公平だ。そんなことが続くと、有能な新人が立候補しなくなる。新人が出てくるのが、本来の選挙の姿だ」

 ただ、「僕を取り上げて」とマスコミに頼んだことは1度もないという。

 「僕が選挙に出ている理由は、第2次世界大戦で米国との和平交渉をした藤村義朗・元海軍中佐の遺言があるから。私も海軍にいて、お互いの自宅も近かったので、親しくなった。藤村さんが92年に亡くなる時、『君が総理になって、日本を立て直してください』と言われたんです」

 今回の都知事選も、中松氏によると傍観する立場ではない。インターネット上で「バーチャル都知事選」を並行させ、“立候補”しているという。

 「ラップ曲『都民に告ぐ』に乗せて、政策を語っている。バーチャル選挙も発明の1つ。誰の政策でも公平に、自由に聞けるので理想的。私は約14万票を集めている。本当の当選者を上回れば、私がバーチャル都知事になる。実際の都知事に指導していく」

 末期の前立腺導管がんのため、医師から告げられた余命は昨年末までだった。しかし、今は10種類の発明品でがんを抑えているという。藤村氏の遺言通りに首相になるまで、挑戦を続けるようだ。【聞き手・柴田寛人】