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ホーサクっ

ホッと一息、サクッと読める400字

『週末キャンプ』④魔法使いの森

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僕は悪の組織の魔術班として働かせてもらっている。昨夜、ズブロッカ先輩に言及してもらって夜の空気が変わった。魔法使いの夜。

巷で流行ってる、ポケモンGOなんか、ぶっ飛ばす、巨大な魔法の力を近くの森に感じる。魔術班として、明日、探索することにした。

朝、起きて、サンドイッチとインスタントコーヒーの朝食をとる。テントをひっくり返し乾かして畳む。缶ビールが、二缶あまった。

キャンプ場を管理するお爺さんにあげた。喜んでくれた。森へ向かう途中、ゴミ捨て場にカブト虫がいた。蓋を開け、捕まえる。

草刈機を持ったお爺さんが通りかかった。「こんなの見たことねぇ。幸せの前兆だ」と言う。カブト虫をあげると喜んでくれた。

大福山という散策路あり。見晴し台まで2時間かけて歩いた。そこから梅ケ瀬という散策路に入る。危険な山路でテンションUP!

山路を下りきると、魔法使いの森だった。

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人気が全くない。原初に近い森。お伽話に出てくるエルフやドワーフ、ノームなどがいきなり出てきてもおかしくない雰囲気だ。

小さく澄んだ小川には小魚やアメンボ、切り立つ崖にはたくさんの苔が生えている。樹々を見上げれば、燦々と降る木洩れ日。

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iPhoneで写真を撮ろうとすると、圏外、の表示。ありえない。都心から約一時間半の場所とは思えないほどの、手付かずの自然。

僕はスニーカーのまま小川に入り、山百合や、シダ植物や、不思議な花を見つけ嘆息した。なんなんだここは?もののけの森か?

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沢山の写真を撮った。こんな自然が未だに残っていることの驚き、喜び、不思議を皆に伝えたい。まずズブロッカ先輩に報告だ!

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毎日の仕事で磨り減ったいろんなモノをここで取り戻せた。コンクリートジャングルで働くサラリーマンの皆さんにも伝えたい。

スマホもパソコンも必要だ。

しかし、たまには自然に飛び込もう。

ここには何もないが、何でもある。

人間が容易に立ち入ることのない場所には人間が元気になれる魔法で満ちている。これで週末キャンプ報告は、終了にしよう。

最後にこの森に魔法が残る理由をひとつ。

この森には結界が張ってある。山蛭だ。

豊かな自然に残る嫌われ者。

歩く時には注意。

でも山蛭がこの自然を守っていることは、決して忘れないで欲しい。僕もやっぱり、山蛭に血を吸われたが、自然はそんなもんだ。

(945字)

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週末キャンプシリーズ