こんにちは!
昨日の山小屋での生活の様子が意外にも好評だったので、今日もこの話題でちょびっとPV数を稼がせてください(笑)
今回は下界の友達によく聞かれた、山小屋に関する一問一答をお送りいたします。
(回答の内容は僕が行ったS小屋の場合なので、どの小屋でも共通かどうかは分かりませんが、おそらく山の上なんてどこも似たような感じなのではないかと思われます(笑)
楽しんでもらえたら光栄です!(^o^)/
質問①:数か月過ごすための生活用品や着替えはどうするの?
これはですね。
まず、自分が小屋に持ち込みたい着替えや生活用品を詰め込んだ段ボール箱を管理事務所に送り、それをヘリで小屋まで上げてもらえます。
「何箱まで」という制限はありませんでしたけど、ヘリでの荷揚げはとってもお金がかかっていますし、他のスタッフの分も上げるワケですから、せいぜい1〜2箱くらいまでですかね。
よって、入山時に自分で背負っていくザックには、数日分の着替えと、すぐにでも使う最低限の生活用品だけを入れていきます。
その後、すぐにヘリが来ればいいんですけど、悪天候などが続いたりして荷揚げが出来ない場合、まるで恋文を待つ乙女のようにヘリを待ち焦がれることになります。
また、初年度は上にあげる物についても結構悩むものですが、2年目以降は嗜好品が大半を占めるようになります(笑)
お菓子や酒などなど…。
欲しくても買いに行けませんからねー。
中には、缶ビールをそのままケースで上げようとする猛者もいました。
でもその気持ち、超分かります!
質問②:洗濯はどうしてるの?
していますよ。
接客業の人間を風呂に入れないわけにはいかないと同じように、ザ・汚洋服(おようふく)を着せるわけにはいきません。
従業員用の風呂の隣には洗濯機があります。
そこは発電機が作動してる時間はスタッフは使って良いことになっています。
S小屋の場合は、最盛期でスタッフは約20人です。
交代で使うことになりますが、ほとんど動きっぱなしでしたね。
また、この質問に付随する項目ですが「洗った洗濯物はどこに干すでしょう」?
正解は、発電機の排熱を利用した「乾燥室」があります。
これは発電機を使っている小屋ならどこでもあるかと思います。
熱だって貴重なエネルギー。
大気に放出してしまってはもったいないですからね。
この乾燥室は、お客さんも服や靴を干すことが出来ます。
でも…お客さんは風呂にはいれるわけでもありませんし、濡れた服だって洗えるわけではありません。
そんな服が…狭く…暑~い部屋に…大量に干されるのです。
わかりますね。
鬼のようにくせぇサウナの出来上がりです。
僕は中にはいる時、いつも息を止めていました(笑)
※ただし、なんとここ数年で改修され、めちゃくちゃ綺麗な乾燥室に生まれ変わったそうです!
すごい!
おれんとき、全然こんなんじゃなかったー!
質問③:排熱で乾くの?
S小屋の乾燥スピードは爆速です。
これは小屋の規模=発電機の規模になるので、発電機が大きくなると排熱も大きくなります。
乾燥室は熱風が駆け回るため、スエットのような生地の厚い物でも2~3時間もあれば乾いてしまいます。
ただし、まじでラグビー部並みのパワー系乾燥室なので、パタゴニアやマムートなんかのお値段の高〜いものを干すと、仕上がりがバリバリゴワゴワになっちゃって(´・_・`)ションボリになります。
「うちの乾燥室のスペックは北アルプスでも5本指に入るぞ」と、いつぞやオーナーがドヤ顔で語っておりました。
質問④:従業員の部屋ってどうなってるの?
基本、相部屋です。(小屋にもよります)
S小屋の場合、雇用期間が長期(5か月弱)・中期(3か月)・短期(1か月)と分かれているので、まずはそこで3つに分かれます。
そしてもちろん男女でも分かれるので、スタッフは最低でも6つのカテゴリに分類されています。
カテゴリの近い者同士は生活空間も近くに配置されるのですが、それを踏まえつつさらにドラゴンボールのように小屋の各地に点在する形になります。
屋根裏部屋だったり、物置を改装した部屋だったり、階段の上のスペースだったり、フロント脇の積み上げられたドリンク類の間だったり。
とにかく小屋中のデッドスペースと呼ばれるところに、野良猫がナワバリを張るように居を構えます(笑)
まあ、ちゃんとした部屋はお客さんのためのモノですからね。
当然といえば当然です。
また、支配人クラスになると、配電盤室の床部分が個室として与えられてたりします(笑)
そんなわけで、山小屋で働く場合、他人にちんちんやおっぱいを見られるのはムリ!という人には生活不可能な空間であるといえます。
質問⑤:従業員の食事はどんなもの?
ご飯、ちゃんとしたものが食べられます!
まず、小屋でお客さんに提供する夕食がとても充実しています。
山小屋の食事ってどんなものをイメージしますか?
カレーのみ!とかじゃないでしょうか。
とんでもございません。
じゃーん。
天ぷらとか煮物とか。
すごいでしょ?
僕もこれはスゴイと思いました。
天ぷらはお客さんが席に着く直前に揚げます。サクサクです。
ご飯だって毎日ガス釜で炊きます。(これが美味いんだわ…)
ごはんと味噌汁はおかわりもOKです。
また、オーナーの意向で冷凍食品は極力使わないというこだわり様。
うーん、腹減ってきた…。
これらを作るだけの台所機能があるので、従業員が食べる物もちゃんとしています。
お客さんに提供する食事の余りものももちろん食べますが、それとは関係なくスタッフ用の食材までヘリで上げてくれていました。
ありがたかったなー。
質問⑥:休みの日って何するの?
隣の三俣山荘まで行ってケーキセットを食べたり!(往復4時間くらい)
隣の槍ヶ岳山荘まで行って焼き立てパンを食べたり!(往復6時間くらい)
同系列の小屋はタダで泊めてもらえるので、そっちに行ってみたり!(片道2時間くらい)
ちなみに、よその小屋に行ってくると話すと「おれのも買ってこい」「わたしのも」と皆にパシられて、結局大量に買い込もうとするので結構嫌がられます(笑)
また、長期間の休暇もあるので、純粋に山歩きをしてみたりもします。
下界から登ってくる人は、なんとかして休暇を作って来ているので「どんなに悪天候でも行くぞ!」みたいな覚悟で来ますが、
ずっと山にいると「あ…ちょっと曇ってるし今日は部屋でゴロゴロでいいや…」という感じでなーんもせずに休日が終わることがよくあります(笑)
ん?そのへんは下界にいる時とあんまり変わらないかも…(^_^;)
僕の時の同期は、ギターを弾けるヤツがいたので皆で歌を歌ったり、DSのヨガを皆でやったり、とにかくガキみたいなことして遊んでいましたね。
テレビもネットもないと、人と人は近くなります。これは絶対ホント。
質問⑦:事故や遭難ってほんとにあるの?
頻度は多くないものの、毎年必ずあります。
なんせ、ひと夏でものすごい数の登山客が北アルプスに来るわけですから。
分母が大きい分、ケガ人・死人は付きものです。
そんなわけで、夏山シーズンは富山県警や長野県警、岐阜県警などが常にコースを巡回しています。
そのコースは各小屋にも伝えられていて、小屋にも泊まっていかれる日程などが決まっています。
登山道は平らなところもあるものの、岩場などもたくさんあります。
少し体勢を崩して転べば、大ケガにもつながります。
捻挫する人、骨折する人、顔を強打する人、そして――滑落する人。
山小屋には無線が置かれていて、時折無線のやり取りも入ってきます。
遠くの山で、ヘリがホバリングしていたりすると「あーアレは回収してるんだな…」というのが見えたりします。
もちろん、ものすごく遠いので死体が見えたりとかはありませんでしたが、長く滞在しているとそういう場面に出会うことも出てきます。
また、僕が行った年は、救助ヘリが墜落するという事故がありました。
あの時、聞こえてきた無線のやり取りは壮絶なモノでした。
詳細はここでは書けませんが、山はやはり怖い所なんだということを改めて認識した事故でした。
質問⑧:山での出会いってあるの?
僕の同期同士が下山後に結婚しています!
ステキデスネ。うらやましい~(笑)
実は僕も、ひとりの女の子に告白されちゃいました!ウヒャ*\(^o^)/*
僕の方は成就しませんでしたけど。
でも、苦楽を共にするっていうのは大事なんだなと思いますね。
質問⑨:宿泊業務以外の山仕事ってどんなもの?
どこかでちょろっと書きましたが、仕事は以下のようなものがあります。
(男の仕事)
・登山道の整備:ロープ張り、看板立て、階段の石積み直し、降った雨が溜まらないための溝切り。
・小屋の補修:ペンキや防腐剤の塗り直し、建てつけの悪い所の修繕、無線のアンテナ立て。
・水回り:雪渓から水を引いてくる作業、水道管の詰まりの除去、水を貯めておく水槽のメンテナンス。などなど
(女の仕事)
・スタッフのお世話:大所帯なので食事の準備とか風呂掃除とか、家庭の奥さんがやるようなこと。
・縫い物:布団をつくろったり、使えるモノは直して使う!すばらしい。
・売店の値札とか、コースマップであったり展示物などを書く。
・とにかく目の前にあるやるべきこと全般
当時の支配人は「山小屋の仕事を一通り覚えたら、どこにいても生活できるよ」と言っていましたね^^
身の回りのことを自分で全てまかなえるというのは大切なことだと思いました。
だって町では、何か壊れたら買うか直してもらうか、でしょ。
お金があって、なおかつ頼む人がいなければひとつのアクションが成立しないんですから。
「生きる力」みたいなものはちょっと鍛えられるのもかもしれません。
質問⑩:山ってお化けとか出ないの?
はあ?って思われてしまうかもしれないんですけど、僕は昔から少しそういうのがありまして。
この小屋でも一回、シッカリ見てしまいました…。
その時の話です。
S小屋のトイレは、宿泊者用と立ち寄った人が外から入って使うための2つがあります。
2つはつながっていて、夜は仕切りのドアに内側から鍵がかけられて、外からは入れません。
夜、消灯してから見回りをするのですが、ふとトイレを見た時、ちょうど中と外の仕切りのドアがパタンと閉まるところでした。
外に向かって、紫のウインドブレーカを着た女性がそのドアから出ていきました。
グレーの帽子をかぶっていて、靴もトイレスリッパではなく登山靴。
外から入ってきている人であることは間違いありません。
「キャンプ場のお客さん…?誰か仕切りのドアの鍵かけ忘れたな」と思いながら、施錠しに向かいます。
鍵。
かかってました。
…え?え?(゚д゚lll)
だって今、目の前で出て行ったし。
ドア閉まるの見たし。
すぐに戻って皆に話すと、支配人が静かに話しだしました。
「一昨年、外トイレで女性が亡くなってるんだよな。心不全で。鍵のかかった個室トイレでいくら呼んでも出てこなくてな。
その人の恰好、今お前が言ったのとほとんど一緒だわ…」
サ〜〜……
皆、静かになっちゃいました。
他にも登山道の途中で、誰もいないのに「こんちわー」とすぐそばで聞こえたこともあったし、山って結構そういうのあるのかもしれません。
・・・
このQ&A、たぶん無限に書けます(笑)
でもキリがないのでこのへんにしておきますね。
「漂流の記録5」の「番外編2」だなんて、まるで「ファイナルファンタジーX2」みたいでわかりにくいし。
最後のファンタジーなの!?でも10作目なの!?10作目の2作目!?
読んで頂きありがとうございました!