政府「22日に違法確認訴訟を提起」沖縄県に
政府・沖縄県協議会 菅官房長官、翁長知事ら出席
政府と沖縄県は21日、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、政府・沖縄県協議会を首相官邸で開催した。県は協議による解決を改めて求めたが、早期の司法決着を目指す政府は、辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消しに対する是正指示に従わないとして、県を相手取った新たな違法確認訴訟を22日に福岡高裁那覇支部に起こすと伝えた。
協議会には、政府側からは菅義偉官房長官、中谷元(げん)防衛相ら、県側からは翁長雄志(おながたけし)知事らが出席。翁長氏が提訴見送りの方針を表明する一方、菅氏が県側に提訴の意向を伝え、約10分で終了した。
翁長氏は終了後、「話し合いを促した(総務省の第三者機関)国地方係争処理委員会の判断の趣旨にそぐわない。非常に残念だ」と記者団に述べ、政府の姿勢を批判した。
3月に両者が合意した和解条項では、係争委が是正指示の適否を判断した上で、県が政府を提訴する段取りになっていたが、係争委は適否を示さず、両者の協議を促す審査結果を6月に公表。県は提訴見送りを決め、21日に地方自治法上の提訴期限を迎えるため、政府の対応が焦点となっていた。
菅氏は同日午前の記者会見で、「和解条項に基づき、協議を行っていく考えに全く変わりはない」と述べ、国が提訴した場合も、和解プロセスの枠組みは維持されるとの見方を示した。
政府と県は協議会に先立ち、宜野湾市の佐喜真淳市長も参加する普天間飛行場負担軽減推進会議を開催。政府側から、2014年10月の前回開催時以降の負担軽減策について説明があった。県側は14年2月を起点とする「普天間飛行場の5年以内の運用停止」達成に向け、日米両政府が具体的なスケジュールを作成するよう求めた。佐喜真氏は「普天間の返還合意から既に20年が経過している。一刻の猶予もない」と訴えた。【高本耕太】