ポケモンGoが爆発的な人気を博しています。米国でリリースされてからわずか1週間のうちに米国のAndroid端末の10%以上にインストールされ、既に1日のアクティブユーザー数がSpotify、Netflix、Pandora、そしてTwitterを上回ったとの報道もあります。
これを受け、任天堂の株価は一気に上昇しました。マーケットではその他にポジティブなニュースがあまりなかったこともあり、任天堂の急上昇につられるように日経平均も上昇を見せたことから、アベノミクスになぞらえて、一部では「ポケモノミクス」と呼ばれています。
ところで、そもそも株価ってどのように決まるのか、ご存知でしょうか?よく「需給によって株価は決まる」と言われますが、ではなぜ需要と供給が存在するのでしょうか。そのあたりをもう少し詳しく説明していきます。
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大雑把に言えば、株式とは会社の”所有権”を細かく分けたものです。株式を得ることは、会社のオーナーとしての権利を手に入れることになります。株式を100%全て集めると、その会社の100%オーナーということになります。
よくM&A(企業買収)が話題になりますが、M&Aは株式を取得することで対象会社のオーナーシップを取る、ということになります。そして株価とは、その1株式の価値を表すものです。
証券取引所で株式が売買されるようになることを「上場」と呼び、その株式を発行している企業を「上場会社」と呼びます。株式を上場させると、多数の人がその株式を売買できるようになり、値動きも活発になります。
これから業績の悪化が予想されている会社の株式を欲しがる人は少ないと思います。一方で、ポケモンGoが爆発的な流行になり始めている任天堂の株式は買われ、株価も上昇しました。
つまり、『将来の企業の業績への期待』が株価に大きな影響を与えているのです。企業の業績が良くなれば、企業のオーナーである株主のリターンも当然大きくなると期待できます(例えば配当金が増えるなど)。
将来の会社の業績を分析し、そこから現在あるべき株価の価値をファイナンス理論的に算定する――これが、本源的価値を算定するということです。
もう一つは、似たような業態の上場企業の株価を参考に、対象会社の株価を評価するという方法です。
他の会社と比べるので、相対的な価値評価なります。
仮に任天堂を評価するなら、『ゲーム業界の他の会社のマーケットでの評価を参考にして、それを任天堂に当てはめる』というやり方を採用することになります。具体的には、『Aというゲーム会社は、PERが20倍程度、PBRが1.5倍程度だから、任天堂もそれくらいの評価になるだろう』といった具合です。
ところが、①の本源的価値を算定する場合も、②の相対的価値を算定する場合も、株価の理論価値がバシッと1つに決まることはまずありません。
①で言えば、そもそも将来の会社の業績を予測することから始まりますので、推測やブレが含まれます。甲さんは任天堂の業績が大きく伸びると思うかもしれないし、乙さんは任天堂の業績がさほど伸びないと判断するかもしれないわけです。
このように、株価を計算するためのベースとなるデータがどうしても主観に左右されるので、いくらファイナンス理論に沿って本源的な価値を算定しようとしても、どうしてもブレが出てしまいます。
また、②で言えば、そもそも任天堂を評価する場合、どの会社を参考にするべきかという点で既に主観が入ります。
wikipediaを見れば、「家庭用コンピュータゲームソフトウェアの開発または販売を行う日本国内の企業」は多数に及びます。
Xさんは、『ポケモンGoはスマホゲームなので、同じくスマホゲームを手掛けるガンホーやミクシィを参考にするべきた』と思うかもしれませんし、Yさんは、『任天堂はゲーム機も手掛けるので、同じくプレイステーションを手掛けるソニーも参考にするべきだ』と思うかもしれません。
このように、株価の理論価値はなかなかバシッと1つに決まらないのが実情です。
実際に、証券会社でも「企業の価値を算定することはmore art than science(科学というよりも芸術だ)」と言われています。
つまり、よく言えばアート(芸術)、身もフタもない言い方をすれば”適当”に決めている部分があるのです。
株価を算定する方法が大きく2種類あり、詳しい算定方法は十人十色ということなので、任天堂の株価が割安だと思う人も、割高だと思う人も出てくることになります。割高だと思う人は売り、割安だと思う人は買いのインセンティブが働きますので、ここで需要と供給が発生します。
さらに、”5月は売られることが多いから売り”とか、”株主優待が欲しいから買い”とか、”テクニカル分析の観点からすると今は買い”といったように、株価の理論的価値以外の要因で株式を売ったり買ったりする人も大勢いるので、ますます株価は変動することになるのです。
当然ですが、株式とは会社の所有権ですので、発行される数に限りがあります。そのため、任天堂の株が欲しいと思っても、売ってくれる人がいなければ買うことはできません。逆に、任天堂の株を売りたいと思っても、買ってくれる人がいなければ売ることはできません。
現在は、ポケモンGoの影響で、任天堂の株をトレードしたいと思う人がたくさんいます。7月20日の東証一部では2兆7,199億円分の株式の売買が行われたのですが、そのうち任天堂の株式に関する売買は7,323億円にも達しました。マーケットの取引の実に27%を任天堂株式が占めたことになります。
また、先日、ソフトバンクが243億ポンド(約3兆3,000億円)で英ARM社を買収することを発表しました。英ARM社は世界的な半導体の大手企業です。
ソフトバンクが買収を表明する前、ARM社の株価は1株11.89ポンドでした。しかし、ソフトバンクは、この値段を約43%上回る1株17ポンドを提示しています。
これが割安なのか、割高なのか、それは各自の判断に委ねられるところです。しかしながら、ARM社の買収を発表した翌日、ソフトバンクの株価は下落しました。これは、巨額買収で多額の資金が費やされるものの、それに見合う成長性がイメージできないということで、ソフトバンクの株式を売却する投資家が多かったことを意味します。
このように、”株式の価値”に関して多くの投資家の思惑が入り混じることで、株価が決まることになるのです。
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