好評かどうかはさておき、やってまいりました、第3回!
石岡ショウエイがお送りするお絵描き企画『見ないで描いてみよう大会 in 自室でひとり』の時間です!
これまでの模様はこちら。
◆第1回 マツコ・デラックス編
◆第2回 奥田民生編
この企画は、私が読者の皆様からお題をいただき、頼りない記憶をもとに、有名人の似顔絵を描くというものである。
自室でひとりさみしく、というのがみそ。
今回いただいたお題は、「吉田鋼太郎」であった。「リリー・フランキー」と見分けがつきにくい、という付加情報つきで。
そうそう、前から思ってました!
ふたりの姿を思い浮かべてみる。
うん、ひとりしか浮かばない。そしてそれが吉田鋼太郎なのか、リリー・フランキーなのかわからない。きっと、「リリー・鋼太郎」だ。ドラゴンボールのフュージョンを行ったんだな。
冗談はさておき、難題をいただいたほうが、やりがいがあるというもの。
ということで今回は、吉田鋼太郎とリリー・フランキー、ふたり同時に挑戦することにした。
◆リリー・フランキー(1963年11月4日 -)マルチタレント
2013年の映画『凶悪』での、ピエール瀧との悪党っぷりは見事だった。『バクマン。』では佐々木編集長の役もやっていた。
◆吉田 鋼太郎(よしだ こうたろう、1959年1月14日 - )俳優
ドラマ『ゆとりですがなにか』でのレンタルおじさんの役は、頼りなくて、でも憎めなくて、あらたな一面を見た気がした。
ではいってみよう。双子を描かないようにせねば。
【第3回 見ないで描いてみよう大会】お題:リリー・フランキー×吉田鋼太郎
【1】左をリリー・フランキー、右を吉田鋼太郎とする。
まずは輪郭から。うーん、違いを意識せねば、まったくおなじものを描いてしまう。
あえて分けるなら、リリーは「文化系」で、鋼太郎は「体育会系」のイメージ。
リリーを柔らかくて丸みをおびた輪郭、鋼太郎を固くて角張った輪郭にしよう。
リリーを陰のある「うつむき」、鋼太郎を陽気な「あお向け」にした。
リリーはTシャツ、鋼太郎はスーツだ。
うむ、わりとイメージの違いが明確になった気がする。似てない似てない。と自分に言い聞かせる。
【2】口を配置しよう。
イメージ的に、リリーはエロくて、鋼太郎はスケベ。
セクシーなレディを見たとき、リリーは薄い笑みを浮かべ、鋼太郎は陽気に笑うんだ、たぶん。
うん、間違ってない。事前の不安から一変、今回はかなりうまくいく気がする。
【3】目の輪郭線を引く。だれを描くときもそうだが、目は人の印象を決める最重要パーツ。線を入れるのは緊張をともなう。
リリーも鋼太郎も下がり目だが、違いはあるはず。
リリーの目は、細くてニヒルな空気を醸し出している。鋼太郎の目は、曇りのない明朗な感じか。
うん、いいよいいよ。
【4】眉毛。これも人の印象をかなり変えてしまうパーツ。女性なんて眉の描き方で別人になってしまう。
リリーは細めで下がり眉、色気がある。鋼太郎は、うーん、リリーよりは太めで、力強さがあったかも。
いかん、はずれてきたかも。
リリーがえらい悪者っぽく見えてきた。すぐ裏切りそう。鋼太郎はいかにも善玉、裏切られそう。
【5】髪を生やそう。これはイメージがしっかり分かれてるかも。
リリーはロン毛で、柔らかい髪を後ろに流してる。鋼太郎は生えぎわがM字で、硬い髪をオールバック気味に。
大きく間違ってはいないはずなのだが、リリーはなんかオラついてるな、若すぎる。鋼太郎はまじめすぎる。彼にもオラついた面があったはずなんだが。
【6】リリーに無精ヒゲを。それぞれに年相応のしわを配置。
リリーが麻薬の売人みたいに・・・!
だとするなら、鋼太郎は麻薬取締官か。対立させることで、脳内のイメージに明確な違いをもたらせ。
【7】黒目を入れよう。画竜点睛という言葉があるが、黒目を入れると、その絵はいったんの結末を迎えてしまう。ので、描くのはちょっとした勇気がいる。
さて、これはどうなるか。
リリーはエロティックな流し目で、鋼太郎は正面をしっかり見すえるイメージ。
リリーから、売人の世界から足を洗おうとする気配が見える。
鋼太郎よ、しっかり助けてやってくれ。
鋼太郎にワルな香りがなさすぎるなあ。リリーにだまされちゃうぞ?
【8】ここまでを下絵として、本線を入れていく。
リリー、気をつけないと「ライムスター」の「Mummy-D」にもなってしまいそう。私的に、このふたりも似てるんだ。ファンだし、引っぱられてしまう。
【9】眉毛を一新してみよう。
リリーは下がり眉毛ながら、柔らかい感じに。鋼太郎は逆につりあげて、オラついた面を含ませてみる。
リリー、遠からず。鋼太郎も悪くないのでは?
【10】目の輪郭をすすっと。
リリーはさらに細く垂らして、エロさをアップ。鋼太郎も垂らすが、ぱっちり路線のまま、精力的な感じで。
リリーがふたたびダークサイドに・・・。
鋼太郎、強そう。今度はかんたんにはだまされない感じ。
【11】黒目を入れて、ほぼ完成形か。
リリーは悪くないと思う。若すぎるし、フリースタイルのラップを始めそうだけど。
鋼太郎が遠いなあ。リリーとの対称化を意識しすぎたせいか、いろいろ足りない気がする。でもなにが足りないかわからない。
【12】色を入れてみる。
リリーは落ち着いた黄色が浮かんだ。鋼太郎のスーツは、ド派手ではないが、華やかさが強め。
あ! 反則かもしれないが、鋼太郎に小道具を。四角い黒縁メガネをかけてる姿が浮かんだ。目を修正しつつ、メガネオン!
リリーはもう限界、フィニッシュ。
鋼太郎は、さっきよりも近づいたと思うが、似ているとはいいがたい。後ろ髪を足してみようか。うん、すこしオラついてくれたかも。
でも、もう思考が詰んだ、フィニッシュ。
自己採点。リリー・フランキー、55点。吉田鋼太郎、25点。
さて正解を描きますよ。鋼太郎はどこを間違えたんだろう・・・。
【13】ああ・・・。
リリーはオールバックではなかったのか。だから私のはオラついて見えたんだ。ヒゲは無精ヒゲではなく、しっかり生えてるね。
鋼太郎もヒゲだったか! これを見落としてれば似ないわ・・・。眉は吊ってない、穏やかじゃないか。輪郭はやや丸みをおびてるね。メガネはあってたようだ。
見比べると、髪型以外はこのふたり、やっぱ似てる。違いは、リリーの輪郭が面長で、鋼太郎の目がややセンター寄り、ってとこかなあ。
【14】それぞれを見比べてみよう。まずはリリー。
うん、遠くはない。若くてヤンチャ度が高いけど、及第点はだせる。
【15】つづいて鋼太郎。
これはダメだ。左の手配書で、右を逮捕することはできないだろう。
私のはちょっと攻撃的すぎる。実物は柔らかい。
私のは教頭先生っぽくて、実物は校長先生っぽい。格が違う。
ということで今回は、一勝一敗、といった感じだろうか。リリーと鋼太郎を似せないようにしつつ、それぞれには似せる、というのが本当に難しかった。
鋼太郎のヒゲを失念していたのが、決定的な敗因!
さて、おまけとして、リリー・フランキーと、前述のMummy-Dを並べてみる。
うん、やっぱ似てる。私のリリーは、Mummy-Dのほうが近かったかもしれない。
◆『リリー・フランキーの描き方』ポイントまとめ
・輪郭は面長で、ヒゲはしっかり
・後ろになでつけた柔らかい髪
・細めの下がり目
・水平から尻だけ下がる眉
◆『吉田鋼太郎の描き方』ポイントまとめ
・輪郭は意外と丸くて、ヒゲは短めだがしっかり
・硬めの髪で、生えぎわはM字
・ぱっちり力のある下がり目、ややセンター寄り
・黒縁メガネは、らしさを強めるアイテム
これで似てると噂されるふたりも赤の他人に!
はい、「第3回 見ないで描いてみよう大会 お題:リリー・フランキー×吉田鋼太郎」はここまで。苦しくも、なかなか楽しい戦いでありました。
ご覧いただきありがとうございました。第4回のお題をゆるくお待ちしております。
*
Mummy-D氏といえば、ヒップホップユニット「ライムスター」のメンバーであることはふれた。じつは先日、もうひとりのラッパー、宇多丸氏が出演するMXTVの番組『バラいろダンディ』で、このブログの記事が紹介されるというミラクルがあった。
情報元を明示していただけなかったので、このブログの閲覧者が急増、なんてことはまったくなく、微増にすらつながらなかったが残念ではあったが。
紹介されたのはこの記事「洋画のひどい邦題 まとめ40選!」で、映画好きで知られる宇多さんにイジってもらえたのはうれしいかぎり。
ライムスターは、漫画を描くときのヘビーローテーション・アーティストのひとつだったなあ。
毎日という更新頻度はかなり困難になってきましたが、これからも楽しいものを書けるよう日々精進してまいります。どうぞよろしくお願いします。
もはや定番コンテンツ
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ご覧の状況ですので、今回で『まぐねっこ』は終了とさせていただきます。
ご愛読ありがとうございました。
五郎先生の次回作にご期待ください。
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「透明」ではあるが、「人間」ではないかも。