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ホーサクっ

ホッと一息、サクッと読める400字

21年前の旅日記『BACK TO JAPAN』

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学生時代はアルバイトとバックパッカーにあけくれていた。今日、部屋の掃除をしていたら当時の日記が出てきたので記録しておく。

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『BACK TO JAPAN』1996.9.15 23:03

ギルギット(パキスタン)。俺は今くらやみの中でこれを書いている。あとでよめるのだろうか心配だ。しかし、今の気持ちがまた日がのぼると消えてしまいそうなので何もみえなくても記しておこう。

俺はやはりもう日本に帰るべきだ。このままずるずると旅をつづけてインドに行ったとしても何も得るものはないだろう。色んな刺激的なものやカルチャーショックを受けるのは楽しいだろう。

でも今の自分はそれをしてはならない気がする。なぜなら日本に帰国する方がめんどい。はっきり言ってこの状態は楽しいし、らくである。みんなといっしょに行動することで安心感もある。

だがこれはしかし、自分の求めていた旅ではない。ツアーといっしょだ。まだまだ自分はだめだ。旅は期間が長いとか訪れた国の数が大切なのではない。いかに体験するかであり、それも一人でだ。

一緒にいる日本人に理解されて旅するのは日本にいてみんなと同じことをしているのと何らかわりのないことだ。こんなことなら日本に帰るべきだ。いったい何をしているのだろう?

旅に何かを求めてはいけないが今回の目的は果たしたのだから、本当は中国で帰るべきだった。制限のない旅もいいがそれとはちがう。インドに行く=旅をつづける事はおれにとって楽な道だ。

楽な道を進んではいけない。Kさんといっしょに25日の飛行機で日本に帰ろうと思う。旅をしてかっこいいなんてことはない。いった国をほこることや日数をじまんしなりすることは

ねた女の数をじまんするのと同じようにくだらない。

とにかくもう日本に帰るべきだ。帰って今回興味をもった事を大学で勉強しよう。その上でまた春なりまた外国に来ようと思う。こんな感じで旅をダラダラ続けることはよくないことにきづいた。旅は量ではなく質だ。

やっぱりオレはダメだ。

【解説】

学生時代、20歳の旅日記。暗闇の中でも、どうしても書いておきたかったのだろう。1ヶ月半の旅で日本食が恋しくなるころだ。

この時に出会った旅の仲間とは親友関係が続いている。いつもありがとう。

旅した国や日数を自慢するのは、寝た女の数を自慢するのと同じくくだらない、と書いている。童貞なのにいいきるところが謎。

たんなる、やっかみ、だろうか。

また最後の段落で、帰国したら大学の勉強を頑張るといいながら、4年生で54単位も残した君を、社会人の僕は1万発殴りたいよ。

(1000字)