2016年プロ野球の前半戦が終了した。パリーグではソフトバンクが首位を独走し、大方の予想通りの結果となっているが、セリーグでは広島が25年ぶりの優勝を狙える位置におり、中々の盛り上がりを見せている。
今回は、プロ野球前半戦の総括、そして後半戦の順位予想をしていく。
パ・リーグ
1位:福岡ソフトバンクホークス
昨年日本一になり、3連覇を目指すホークス。31本塁打を放った李大浩がマリナーズに、移籍したもの、現時点での勝率は.692を誇り、圧倒的な強さで前半戦を締めくくった。投手陣は今年から復帰した和田、武田、千賀、バンデンハークの4本柱に、抑えにはサファテが控えており、隙は見当たらない。打線においても、最近復調した柳田、内川を中心に、松田、今宮らが脇を固める。ケガ人が続出するだとか、よほどのことがない限り、優勝は間違いないだろう。
予想順位:1位 キーマン:柳田
2位:北海道日本ハムファイターズ
前半はソフトバンクにかなり差をつけられていたものの、6月から7月にかけて15連勝し、首位ソフトバンクに6ゲームまで追いついた。そして、今年の大谷は投手だけでなく打撃も好調で、投手は8勝、打撃では.331、10本塁打、27打点を記録した。大谷が投打でどこまで成績を伸ばせるかが勝敗のカギになる。そして、4番中田の復調が求められてくるのは間違いないだろう。レアードが好調だけに、奮起してもらいたいものだ。
予想順位:2位 キーマン:中田
3位:千葉ロッテマリーンズ
前半は2位にいたものの、日本ハムの怒涛の15連勝によって追い越されたマリーンズ。投手陣は先発の石川、涌井が好調なものの、ローテーションの駒に欠け、野手陣においてもデスパイネ、角中が抜きんでているものの、他にキーマンとなる選手は見当たらない。2位以上を狙うのは難しい。しかし、投手陣は今年抜群の安定感を誇る抑えの内が控えており、鈴木、細谷が今の調子を今の調子を維持すれば、クライマックスシリーズ出場は確実だろう。
予想順位:3位 キーマン:ナバーロ
4位:東北楽天ゴールデンイーグルス
4月、5月はオリックスと最下位争いをしていたが、6月からは復調、安定した戦いを見せている。投手陣は則本が孤軍奮闘といったところで、抑えの松井が前半不調だったことがチームの成績に響いた。野手陣では鳴り物入りで入団したオコエがセンターに定着し、梨田監督の育成の精神が感じられる。3位ロッテとは10,5ゲーム差あるため、クライマックスシリーズは絶望的だが、オコエ、内田の育成に努めれば、来シーズンにつなげられるだろう。
予想順位:5位 キーマン:オコエ
5位:埼玉西武ライオンズ
打線は浅村、中村、メヒアの3人の並びが強力で、秋山、栗山、最近では森の復活で好調で、投手陣はエースの菊池、復帰した岸、抑えは昨年まで努めていた高橋に代わり、増田が務め、活躍するべき選手は活躍していたのに、何故か5位という結果となっている。得失点差が19点しかないにもかかわらず、投打がかみ合わず、得点効率の悪い試合が多くみられた。主役はそろっているだけに、もう少し浮上してもよいのではないか。
順位予想:4位 キーマン:菊池
6位:オリックスバファローズ
かなり苦戦を強いられている。エース金子の不調、打線では新外国人のモレル、ボグセビックの不振、キーマンとなるべき中島がさっぱりせず、小谷野のケガ、途中入団した元中日のクラークも期待外れと、散々だった。ほとんど糸井とt-岡田だけが頑張っている状況で、チームの空気感は最悪だ。福良監督も少し気力を失っているように見える。上位への上がり目は皆無だが、来期につながるような采配をしてもらいたいものだ。
順位予想:6位 キーマン:糸井
セ・リーグ
1位:広島東洋カープ
まさかの大躍進だ。昨年まで絶対的なエースだった前田が抜け、上位に予想した解説者はほとんどいなかったが、勝率は6割を超え、2位に10ゲーム差をつけ前半戦を折り返した。まさに、Vやけん!といったところで、投手では野村が11勝して完全に前田の穴を埋め、ジョンソン、黒田、抑えの中崎が活躍し、野手陣ではまさかの新井が復活し、鈴木がブレイクした。今年はケガ人が出ても下水流や安部といった代役が活躍していて、25年ぶりの優勝へとまっしぐらだ。しかし、20年前に優勝しかけた時には11,5ゲーム差をひっくり返された「メークドラマ」で、結果的に3位に沈んだ。何が起こるかはまだ分からない。油断は禁物だ。
順位予想:1位 キーマン:新井
2位:読売ジャイアンツ
通算7回の優勝に導いた原監督が勇退し、昨年引退した高橋由紳を監督に迎え、新たなスタートを切ったジャイアンツ。元ロッテのクルーズを獲得し、僕は1位に予想していたが、予想外の結果となっている。クルーズ、昨年ブレイクした立岡がケガ、主砲の阿部が出遅れ、昨年に続き打線が湿っている。しかし、坂本がつい覚醒し、野球ファンが求める坂本像に近づいたのは大きな収穫だ。エースの菅野の負け運がどれだけ改善されるか、そして課題である1,2番の出塁率の改善、4番である長野がどれだけ調子を上げてくるかが大逆転を狙うポイントになってくるだろう。
順位予想:3位 キーマン:長野
3位:DeNA横浜ベイスターズ
4月に大きく負け越し、今年は最下位間違いなしだと思っていたが、5月は16勝7敗と大きく勝ち越し、なんとか上位に踏みとどまっている。4,5月は投手陣が抜群の安定感を誇り、特に今永、石田が脅威だったものの、7月は月刊防御率が3,90、7月に至っては5,14と倒壊している。新人の戸柱にとっては試練だ。打線は筒香を中心に、12球団でも一番固定されたメンバーなので、後はラミレス監督の采配、個々の奮起が求められるだろう。昨年は前半戦を首位で折り返したのにもかかわらず、最下位に沈んだ。今年はどれだけ踏ん張れるか。
予想順位:4位 キーマン:筒香
4位:中日ドラゴンズ
田島が開幕から31試合連続無失点を記録し、大いに話題となった。現在は抑えで安定感を見せている。打線は新加入したビシエドが4番に座り、打線は厚みを増した。5,6月は特に6月は不調だったものの、7月の打率は4割を超えている。彼を中心に、平田、途中から三塁に定着した福田、ナニータらが脇を固めれば、打線は問題ない。投手陣は今年本格的に復帰した吉見、これまで3年連続10勝以上している大野が頑張ってほしいところだ。安定した戦いが期待される。
順位予想:3位 キーマン:平田
5位:阪神タイガース
今年就任した金本監督が「超変革」を掲げ、若手中心に起用されているタイガース。開幕オーダーでは新人の高山、横田を起用し、4月から5月にかけて江越、原口、北條、板山、陽川、そして6月には中谷を一軍昇格させ、まさに若手が躍動した。特に原口は育成出身ながらも、オールスタ-に選ばれ、出世頭となっている。しかし、新外国人のヘイグ、鳥谷らの不振の影響は大きく、苦戦している。主力である鳥谷はフルイニング出場、ショートでの出場がかなり足かせとなっていると思われ、これからポジションを変更するのか、フルイニング出場をやめるのかが、注目が集まる。今年は「若手」の1年だと思っている。原口、江越、高山、北條を固定し、来期につなげたいところだ。
順位予想:6位 キーマン:鳥谷
6位:東京ヤクルトスワローズ
昨年、14年ぶりの優勝を果たし、2連覇を目指しているスワローズだが、前半戦は最下位に沈んだ。打線が好調なものの、チーム防御率は4,90で、これではいくら点を取っても勝てないだろう。本来ならチームを引っ張るべき小川、石川、館山が軒並み不振の上に、絶対的な守護神だったバーネットが抜けたのはあまりにも痛かったようだ。だが、昨年トリプルスリーを達成した山田が、.350、29本塁打、72打点、20盗塁という異次元の成績を誇っており、チームは不調でも彼の存在は明るく照らしている。これからどれだけ成績を伸ばすのか、野球ファンとして目が離せないところだ。彼が今の調子を維持すれば、3位ぐらいには踏み込めるかもしれない。
順位予想:5位 キーマン:山田
おわりに
今年の注目はなんといっても広島だ。セリーグでは一番優勝から遠ざかっているチームで、今年のチャンスを逃すわけにはいかないだろう。しかし、ここ数年の成績を見ていると、チームとしてのスタミナに欠け、勝負弱い印象がある。一人の野球ファンとして、このまま何とか25年ぶりの歓喜に向けて、突っ走ってほしいと思っている。