【7月10日 時事通信社】米国で相次いだ白人警官らによる黒人射殺と、黒人による警官狙撃・殺害事件は、くすぶり続ける米国の人種問題を再び表面化させた。9日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、一連の事件について「深い混乱の中にある国をさらに引き裂いた」と解説する記事を1面に掲載。人種問題に起因する緊張が一段と高まる恐れを示唆した。

 同記事は「(公民権運動が活発化し)緊張が高まった1960年代や70年代ですら、ダラスで起きたようなことは決して目にしなかった」とする専門家のコメントを伝えている。

 米国では2014年夏、中西部ミズーリ州で白人警官が丸腰の黒人青年を射殺したり、ニューヨークで黒人男性が白人の警官に首を絞められ死亡したりする事件が発生。それ以来、黒人に対する警察の不正行為疑惑が頻繁に伝えられるようになった。携帯電話を使った動画撮影が一般化し、通行人らが撮影した警官による暴行などの場面が、手軽にインターネット上で公開されるようになったことが背景にある。

 各地の警察は、黒人ら少数派市民とのあつれき回避に向け警官への教育を強化している。しかし、黒人への暴力の映像がたびたび明るみに出ることで、警察への不信感は逆に高まっているのが実情だ。

 リンチ司法長官は8日声明を発表し、「今週の一連の事件の後、国中の人々は無力感や不安、恐れを感じている。その気持ちは理解できる」と述べる一方、「暴力は決して答えではない。こういう出来事がわれわれの国の『新たな標準』にならないようにしてほしい」と、人種に関連した暴力を連鎖させないよう訴えた。(c)時事通信社