乗り物酔い大丈夫? 宇宙船で50時間缶詰め
【モスクワ阿部周一、須田桃子】大西卓哉さん(40)ら宇宙飛行士3人を乗せたロシアの宇宙船「ソユーズMS」は、日本時間9日午後1時過ぎの国際宇宙ステーション(ISS)到着まで約50時間の長旅を続けている。船内は極度に狭く、環境は劣悪だ。大西さんはどのように過ごしているのだろう。
「遊園地のコーヒーカップに乗っている感覚。船長は前回の飛行を思い起こし『最大の憂鬱だ』と言っていた」。大西さんは6月の記者会見で苦笑した。
船内で人が入れるのは、先端の「軌道モジュール」(広さ約6立方メートル)と、打ち上げ時に搭乗する中央の「帰還モジュール」(同約4立方メートル)。ともに直径2メートル強しかなく、地上と交信しない時間帯は太陽電池パネルが太陽へ向くようゆっくり回転し続けるため「コーヒーカップ」になる。
打ち上げ時には、膝詰めの格好で座る。座席は帰還時の衝撃に耐えられるよう各自の体形に合わせてぴったりと作られており、足を伸ばせない状態だ。地球周回軌道に入った現在は、ISSとドッキングする軌道モジュールに移動でき、寝たり、トイレで用を足したりできる。
大西さんは船長を補佐するフライトエンジニアとして、地上との頻繁な交信や機器の操作、新しい装置の作動試験などで忙しく過ごす。趣味の音楽を聴く「iPod」をISSに持参しているが、宇宙船内では私物の荷物を取り出すのは難しく、休憩時間は窓の外の地球や宇宙を眺めることになりそうだ。
従来は打ち上げ後6時間でISSに到着できたが、今回は姿勢制御やドッキングなどのシステムを大幅改良した新型機で、動作確認などのため50時間の長旅となった。2013年に搭乗した若田光一・宇宙航空研究開発機構(JAXA)ISSプログラムマネジャー(52)は「交信や新装置のテストなど複雑な仕事がたくさんあり、忙しい2日間になると思う」と、大西さんの苦労を思いやった。
大西さん、実は乗り物に酔いやすいそうだ。打ち上げ前には「ISSですぐ仕事が始められるよう、宇宙船で睡眠をしっかり取り、無重力に体を慣らしたい」と話した。7日の打ち上げを見守った全日空同期入社の小野隆さん(42)は若いころ、一緒に三重県鈴鹿市のF1レースを見に行き、車中泊をした経験を振り返り、「彼は狭い後部座席でも器用に爆睡していた。狭い宇宙船でも大丈夫だろう」と話していた。