台風1号 猛烈な勢力で先島諸島に接近か

台風1号 猛烈な勢力で先島諸島に接近か
台風1号は中心の気圧が900ヘクトパスカルと猛烈な勢力に発達し、7日昼過ぎから夜にかけて猛烈な勢力を保ったまま沖縄県の先島諸島に近づくと予想されています。気象庁は先島諸島では暴風や高波に警戒し、早めの対策をとるよう呼びかけています。
気象庁の観測によりますと、台風1号は5日から6日にかけて猛烈な勢力にまで発達し、午後9時には沖縄の南の海上を1時間に30キロの速さで西北西へ進んでいます。中心の気圧は900ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は60メートル、最大瞬間風速は85メートルで、中心から半径170キロ以内は風速25メートル以上の暴風が吹いています。

台風は7日未明にかけてさらに勢力を強めると予想され、その後、猛烈な勢力を保ったまま、7日昼過ぎから夜にかけて沖縄県の先島諸島に近づくと予想されています。さらに、7日夜以降、勢力が余り衰えずに、台湾に接近するおそれがあります。先島諸島では、7日昼過ぎから暴風が吹き、7日の最大風速は25メートル、最大瞬間風速は35メートルと予想され、その後、8日明け方にかけて暴風が続く見込みです。また、海上では波も高まり、7日は波の高さが9メートルと、うねりを伴って猛烈にしけるところもある見込みです。

気象庁は、先島諸島では暴風や高波に警戒し、早めの対策をとるとともに、沖縄県のそのほかの地域でも、急な強い雨や落雷、それに、突風に注意するよう呼びかけています。

急激強化でスーパー台風の勢力に

猛烈な台風1号は、5日から6日にかけて急速に発達し、中心気圧が900ヘクトパスカルと、いわゆる「スーパー台風」の勢力にまで発達しています。専門家は、24時間で勢力が急に強まる「急速強化」が起きていたとしたうえで、今後も勢力を弱めずに沖縄県の先島諸島や台湾に近づくとみられ、警戒が必要だと指摘しています。

気象庁の観測によりますと、台風1号の中心気圧は、5日正午には970ヘクトパスカルでしたが、5日午後9時には945ヘクトパスカル、6日午前9時には910ヘクトパスカル、そして6日正午には900ヘクトパスカルと、24時間で70ヘクトパスカルも低下しました。

中心の気圧が24時間で40ヘクトパスカル前後下がる現象は「急速強化」と呼ばれ、スーパー台風など強力な台風に特有の現象とされています。また、おおむね、中心気圧が900ヘクトパスカルを下回り、最大風速が60メートル以上の台風は、アメリカで「スーパー台風」と呼ばれています。気象庁によりますと、その年に初めてできる台風「1号」が、スーパー台風の勢力にまで発達したのは、統計が残っている昭和26年以降で初めてだということです。

台風のメカニズムに詳しい、名古屋大学の坪木和久教授によりますと、24時間で中心の気圧が70ヘクトパスカルも下がるような急速な発達は、急速強化の中でも極めてまれで、7月の台風ではほとんど例がないということです。坪木教授は、ことしは台風1号の発生が遅かったため、水深の深いところまで海水温が高かったことなどが影響しているとみられると指摘したうえで、「今後もあまり勢力を弱めずに、沖縄県の先島諸島に近づくと予想されているので、暴風や高波、大雨に警戒が必要だ。さらに台風の直撃が予想される台湾では厳重な警戒が必要だ。その後、本州付近には勢力を弱めたあと近づくとみられるが、梅雨前線を刺激して大雨になるおそれもあり、今後の情報に注意してほしい」と話しています。