政務活動費 使い切らずに返還するケース相次ぐ
野々村元兵庫県議会議員の政務活動費を巡る事件をきっかけに、地方議員の政務活動費の使い方に厳しい目が向けられるようになりましたが、昨年度は県議会の議員や会派が政務活動費を使い切らずに返還するケースが相次ぎ、返還率が30%を超える高さとなったり過去最高額になったりした県が相次いでいることが分かりました。
全国47の都道府県のうち、40の府県は6日までに昨年度の政務活動費の収支報告書を公開しました。それによりますと、昨年度交付された政務活動費のうち、使われずに返された金額の割合=返還率は、多くの府県では10%前後ですが、兵庫県などでは30%を超える高い率になっていることが分かりました。
兵庫県では、去年の県議選で当選した議員や会派に去年6月以降に交付された3億7410万円のうち、使われずに返還された額は1億1437万円で、返還率は30%を超えました。野々村元議員の問題が明らかになる前の平成25年度は返還率が12%だったことから、これと比べると大幅に上がっています。兵庫県議会では、野々村元議員などの一連の問題を受けて、去年からインターネットで政務活動費の収支報告書を公開しています。
徳島県では、去年当選した現職の県議会議員に交付された8920万円のうち3267万円が返還され、返還率は36%余りと、公開している40府県では最も高くなっています。徳島県議会は去年10月に政務活動費に関する新しいガイドラインをまとめていて、議会事務局の東端久和事務局長は「国民の政務活動費に対する厳しい目を議員が認識し、ガイドラインを踏まえて支出した結果だと考えています。今後も透明性や説明責任を十分に果たしていくという流れになっていくと思います」と話しています。
鳥取県では、去年当選した県議会議員に交付された1億250万円のうち、3464万円が返還され、返還率は33%余りとなっています。
岡山県では、去年当選した県議会議員に交付された2億2365万円のうち、5628万円が返還され、返還率は25%余りで、返還額、率ともに過去最高となりました。岡山県議会では、今回から1万円以下の支出についても領収書の提出を義務づけ、公開しています。
このほかの各地でも、返還された金額がこれまでで最も多くなったところがあります。大阪府では、府議会議員が返還した金額は4531万円で、記録が残っている平成23年度以降、最も多くなりました。返還率は9.7%となっています。ある議員は「収支報告書や領収書のネット公開が去年から始まったこともあり、各議員が使い方を厳しく見直したためではないか」と話しています。
佐賀県でも、交付を受けた会派から返還された金額は1889万円で、政務活動費の前の「政務調査費」の制度が導入された平成13年度以降で最も多くなりました。返還率は14%余りでした。
兵庫県では、去年の県議選で当選した議員や会派に去年6月以降に交付された3億7410万円のうち、使われずに返還された額は1億1437万円で、返還率は30%を超えました。野々村元議員の問題が明らかになる前の平成25年度は返還率が12%だったことから、これと比べると大幅に上がっています。兵庫県議会では、野々村元議員などの一連の問題を受けて、去年からインターネットで政務活動費の収支報告書を公開しています。
徳島県では、去年当選した現職の県議会議員に交付された8920万円のうち3267万円が返還され、返還率は36%余りと、公開している40府県では最も高くなっています。徳島県議会は去年10月に政務活動費に関する新しいガイドラインをまとめていて、議会事務局の東端久和事務局長は「国民の政務活動費に対する厳しい目を議員が認識し、ガイドラインを踏まえて支出した結果だと考えています。今後も透明性や説明責任を十分に果たしていくという流れになっていくと思います」と話しています。
鳥取県では、去年当選した県議会議員に交付された1億250万円のうち、3464万円が返還され、返還率は33%余りとなっています。
岡山県では、去年当選した県議会議員に交付された2億2365万円のうち、5628万円が返還され、返還率は25%余りで、返還額、率ともに過去最高となりました。岡山県議会では、今回から1万円以下の支出についても領収書の提出を義務づけ、公開しています。
このほかの各地でも、返還された金額がこれまでで最も多くなったところがあります。大阪府では、府議会議員が返還した金額は4531万円で、記録が残っている平成23年度以降、最も多くなりました。返還率は9.7%となっています。ある議員は「収支報告書や領収書のネット公開が去年から始まったこともあり、各議員が使い方を厳しく見直したためではないか」と話しています。
佐賀県でも、交付を受けた会派から返還された金額は1889万円で、政務活動費の前の「政務調査費」の制度が導入された平成13年度以降で最も多くなりました。返還率は14%余りでした。
専門家「有権者の目が厳しくなり返還率上がった」
政治資金の問題に詳しい日本大学の岩井奉信教授は多くの都道府県議会で政務活動費の返還率が増えたことについて、「以前は、とにかく報告書を出していればよくて、それが有権者の目に触れることはなかった。しかし今回の問題以来、政務活動費を始めとする『政治とカネ』に対する有権者の目がものすごく厳しくなった。お金の使い方がきちんとしていることが有権者に対してのアピールになる一方、不適切な使い方をすると有権者から厳しい指弾を浴びるため、使わなかった分の返還率が上がったというのは当然だ」と分析しています。
そのうえで岩井教授は「政務活動費の使いみちや公開のしかたは、それぞれの自治体に任されているため、全国で統一したルールや公開の方法をきちんと作り上げるべきだ。また、これだけ多くの自治体で返還額が増えたのであれば、そもそも政務活動費の額が、今、定められている額で適切なのかどうかを見直していく必要がある」と指摘しています。
そのうえで岩井教授は「政務活動費の使いみちや公開のしかたは、それぞれの自治体に任されているため、全国で統一したルールや公開の方法をきちんと作り上げるべきだ。また、これだけ多くの自治体で返還額が増えたのであれば、そもそも政務活動費の額が、今、定められている額で適切なのかどうかを見直していく必要がある」と指摘しています。
違法な支出として返還命じる判決相次ぐ
政務活動費を巡っては、各地の市民グループが、違法な支出があったとして返還を求める裁判を起こし、訴えを認める判決が相次いでいます。
このうち「仙台市民オンブズマン」が平成20年度に仙台市議会議員に支払われた政務調査費、今の政務活動費を巡って、違法な支出があったとして、市長に対し、市議会の当時の会派に2800万円余りを返還させるよう求める裁判を起こし、先月22日、仙台高等裁判所は1800万円余りの返還請求をするよう命じました。判決では1審の判断と同じく、「適切な立証がなされなければ違法な支出であると判断するのが当然だ」と指摘しています。仙台市側は、判決を不服として5日、最高裁判所に上告しています。
また、岡山市の市議会の会派に平成23年度に支払われた政務活動費を巡り、市民グループの「市民オンブズマンおかやま」が違法な支出があったとして2800万円余りを返還させるよう求めた裁判では、岡山地方裁判所がことし4月、6つの会派に合わせて260万円余りを返還させるよう市長に命じました。判決では、週刊誌の購入費用の一部について、「娯楽性の高い雑誌で、内容が市政に関するものと認められない」として、違法だと認定しました。判決を不服として岡山市側と市民グループ側の双方が控訴しています。
このほか、山形県や石川県の県議会に支給された政務活動費を巡っても、山形地方裁判所や金沢地方裁判所が、県側に返還を命じ、裁判は今も続いています。
このうち「仙台市民オンブズマン」が平成20年度に仙台市議会議員に支払われた政務調査費、今の政務活動費を巡って、違法な支出があったとして、市長に対し、市議会の当時の会派に2800万円余りを返還させるよう求める裁判を起こし、先月22日、仙台高等裁判所は1800万円余りの返還請求をするよう命じました。判決では1審の判断と同じく、「適切な立証がなされなければ違法な支出であると判断するのが当然だ」と指摘しています。仙台市側は、判決を不服として5日、最高裁判所に上告しています。
また、岡山市の市議会の会派に平成23年度に支払われた政務活動費を巡り、市民グループの「市民オンブズマンおかやま」が違法な支出があったとして2800万円余りを返還させるよう求めた裁判では、岡山地方裁判所がことし4月、6つの会派に合わせて260万円余りを返還させるよう市長に命じました。判決では、週刊誌の購入費用の一部について、「娯楽性の高い雑誌で、内容が市政に関するものと認められない」として、違法だと認定しました。判決を不服として岡山市側と市民グループ側の双方が控訴しています。
このほか、山形県や石川県の県議会に支給された政務活動費を巡っても、山形地方裁判所や金沢地方裁判所が、県側に返還を命じ、裁判は今も続いています。