暑い夏は毎日たくさんの汗をかきますが、薄着で冷房の効いた部屋に長くいたり、冷たい食べ物を摂り過ぎたりすると体はすぐに冷えています。
そんなときに起こりやすい不調のひとつが「むくみ」。
夏は特に脚がだるくむくみやすい、手足が冷える、靴や指輪がきつくなるという方は、症状や体質に合わせた漢方薬で不快なむくみを解消しましょう。日常生活でのむくみ予防法もご紹介します。
夏のむくみにおすすめの漢方薬3選
①五苓散(ごれいさん)
体の働きを高めて、余分な水分を体の外に出す漢方薬の代表で、体力に関わらず使用できます。
口の渇きがあって尿量も減り、むくみ、だるさ、吐き気、頭痛、腹痛などのいずれかを伴う暑気あたり、二日酔い、水溶性下痢等に使われます。
【第2類医薬品】ツムラ漢方五苓散料エキス顆粒 24包
・構成生薬
猪苓(ちょれい)、茯苓(ぶくりょう)、蒼朮(そうじゅつ)、沢瀉(たくしゃ)、桂皮(けいひ)の5つの生薬が配合されています。
・伝統的な考え方
五苓散には、体を温めて、とくに内臓に滞った水分を代謝させる生薬が複数配合されています。
水の滞りがひどくなるとイライラしたり、胃がムカムカする、喉が渇いてもうまく水を飲み込めない、すぐに吐いてしまうといった症状もみられるようになり、その場合にも五苓散が適応となります。
余分な水分を排出する際に、体内にこもった熱も取り除く効果があるため、二日酔いでもよく使われます。
②八味地黄丸(はちみぢおうがん)
冷えとむくみに対処する漢方薬の代表です。
手足や足腰の冷えが強く、下半身に水分が滞っている症状に加えて、疲労感が強く体力が低下している方に使われます。
【第2類医薬品】ツムラ漢方八味地黄丸料エキス顆粒A 24包
・構成生薬
地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく)、沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)、牡丹皮(ぼたんぴ)、桂皮(けいひ)、附子(ぶし)の8つの生薬が配合されています。
・伝統的な考え方
八味地黄丸は、体を温めて、低下した体の機能を元に戻していく処方で、余分な水を乾かす生薬、体を潤して栄養を巡らせる生薬、元気をつける生薬、溜まった水分を尿として排泄を促す生薬、血を補って巡らせる生薬が配合されています。頻尿や軽い尿漏れ、残尿感があるような方にもおすすめです。
③当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
体内に水が滞り、血の巡りも不十分で、冷えがあるような場合の婦人科系の症状によく使われる漢方薬です。
筋肉が軟弱で疲れやすい、足腰が冷えやすく汗をかきにくい、むくみがあることに加えて、月経不順や月経困難、貧血、更年期障害(頭痛、めまい、肩こりなど)もある方におすすめです。
【第2類医薬品】ツムラ漢方当帰芍薬散料エキス顆粒 64包
・構成生薬
芍薬(しゃくやく)、朮(じゅつ)、沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)、川芎(せんきゅう)、当帰(とうき)の6種類の生薬が配合されています。
・伝統的な考え方
当帰芍薬散は、血の不足、血の滞り、水の滞りがあって内臓の働きが不十分で、そのために冷えが蓄積してむくみや婦人科系の不調が生じているような場合に使われる漢方薬です。
血行を促進して全身に栄養を与えるのと同時に、利尿作用で余分な水分を取り除いて冷えや月経不順を改善します。
尚、漢方薬を使用して何らかの不調が現れた場合は、速やかに使用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
日常生活でのむくみ予防法
むくみを予防するには、体を温めることが大切です。
体が冷えると血行が悪くなり、そのために水分代謝も滞ってしまうからです。
女性の場合、そもそも男性より筋肉が少ないため血行不良になりやすく、さらに夏の服装は男性よりも薄着で冷えやすいこともむくみに繋がっています。
日常生活の中では次のような工夫で体を温めて、むくみを予防しましょう。
・冷房の効いた場所では、カーディガンやストール、腹巻、レッグウォーマー、カイロなどを活用しましょう。
・飲み物は、できるだけ温かいものを。冷たいものを飲む場合は、少しずつゆっくりと飲みましょう。
・お風呂は、できれば湯船にゆっくりと浸かって体の芯から温めましょう。湯船のなかでふくらはぎをマッサージするとむくみ解消に効果的です。
・足がむくんでつらいときは、クッションや座布団などで足を高くして寝てみましょう。
・ナスやキュウリ、トマトなどの夏野菜は生で食べ過ぎると体を冷やします。加熱したり、ネギや生姜、ニンニクなど体を温める食材を組み合わせてみましょう。
こんなむくみは要注意
むくみは心臓や腎臓などの病気の症状として起こる場合があります。
むくみが長引くようであれば放置せず、中でも次のような方は一度医療機関を受診してください。
・朝になってもむくみが改善しない
・むくみとともに動悸が息切れがある
・普段と同じような食生活をしていても、尿量が減った
・1日で1.5kg以上または数週間で3kg以上体重が増えた
おわりに
手足や顔など、体の末端にある水分はちょっとしたことで滞りがちです。日頃から冷えや血行不良があるとさらにむくみやすくなりますので、夏でも体を冷やさない工夫でむくみを予防・改善しましょう。
なお、漢方薬も体に合わないと悪影響をもたらしますので、体調や症状をよく見極め、医師や薬剤師に相談の上使用することをおすすめします。