ビジネスモデルの終焉
若者のテレビ離れ、録画が便利なハードディスク・レコーダーの普及、スマートフォンの登場などテレビCMがパワーダウンした要因はいくらでもある。スポンサーから広告料金を取り、無料で番組を流すビジネスモデルに限界が来るのは自明だ。
すでに「WOWOW」と「スカパー!」が健闘している。有料放送が浸透し、視聴者は見たいものをカネを払って見るようになってきたのだ。
では、テレビCMが危険水域に達する時期はいつなのだろうか。
前出・藤田氏が続ける。
「節目として東京五輪が開催される'20年があります。そこまではなんとか景気も持つでしょうが、その一方で、五輪に向けてデジタルのインフラ整備も進んでいきます。そのときテレビの力がどれぐらい落ちているか、テレビに代わるネットがどれだけ力を付けているのかが、ポイントになります。
五輪の後は、どこの国でも景気が下がる。そして、'20年から'23年にかけて世代交代が進みます。テレビとネットのバランスが崩れたとき、まさに『テレビCMの突然死』が起こる可能性があります」
'23年には人口の半分が50歳以上になる一方で、幼少期からインターネットに触れてきた世代が20~30代となる。社会の中心世代が「テレビ世代」でなくなるのだ。
元フジテレビ解説委員で、ウェブメディア「Japan In-depth」編集長・安倍宏行氏が言う。
「番組中に入るCMは少ないほうがいいというのが、制作現場の正直な気持ちでしょう。日テレは『Hulu』を傘下に持ち、去年はドラマを共同制作しました。その時に、番組関係者に話を聞いたら、『CMの時間を気にせずに作れるのがいい』と。なおかつ、放送コードに縛られないために制作の自由度も高まるとも言っていましたね。
テレビ各局はいま必死に事業の多角化を行っています。放送事業収入だけに頼るわけにはいかないという危機感が経営者の中にもあるんです」
テレ朝はインターネットテレビ局「AbemaTV」をスタートさせ、フジもIT企業「グリー」とVR(バーチャルリアリティ)コンテンツの制作配信事業に進出する。
各局とも「テレビCMが消える日」に備えて、新しいビジネスモデルを模索しているわけだが、先行きは不透明。
だが、視聴者の気持ちは、とにかく面白い番組が見たい、それだけだ。
「週刊現代」2016年7月2日号より
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