経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の教え

アベノミクス・5月は回復も一服

2016年07月03日 | 経済(主なもの)
 円高による企業収益や法人税収の急低下に不安を感じる向きが多いようだが、5月の指標からすると、4-6月期のGDPは、プラス成長を確保するのではないか。言うまでもなく、円高にはメリットもあり、輸入物価の低下で、内需型や中小の企業が潤い、消費も押し上げるからだ。こうした効果で、経済は緩やかに成長して行くと思われる。

………
 5月の家計調査は、二人以上世帯の実質消費支出(除く住居等)が前月比-1.9であったものの、4月の+2.7の反動もあり、4,5月の平均は、1-3月期より1.7も高くなっている。この感じからすれば、5月の消費総合指数は若干の低下で済み、4-6月期の消費は、前期比+0.2~0.3が見込める状況にある。6月の消費動向調査が高まったことも好材料だ。

 その背景には、勤労者世帯の実質実収入の回復がある。5月の前月比は-0.8だったが、4,5月平均は、やはり1-3月期より1.6も高い。12月から2月にかけての落ち込みからは、完全に脱している。なお、可処分所得で大きな低下が見られ、消費性向も高まったが、5月ということからすると、自動車税の影響による一時的なものと思われる。

 労働力調査では、5月に+2万人と、就業者数が着実に積み上がってきている。興味深いのは、このところ、男性が好調で、女性が停滞気味なことだ。夫の就業状況の改善に連れ、妻の就業意欲が薄れてきているのかもしれない。こうしたことがあると、労働需給は更に締まり、賃金上昇の圧力を高めるようになる。先週は、「パート賃上げが正社員超え」というニュースもあった。

 5月の鉱工業指数は、予想外の大きな低下というのが一般的評価である。それでも、4,6月平均は、大きく低下した1-3月期並みであり、底入れを果たし、その状態が続いている。一点、資本財出荷(除く輸送機械)に上向く兆しがあり、先行する機械受注も堅調なので、こうした動きが続くことを期待したい。

(図)



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 2015年度税収が公表になり、56.3兆円と補正予算額を0.1兆円下回る意外な結果だった。最大の要因は、法人税を補正予算で0.75兆円上方修正していたのに、これを0.9兆円も下回ったためである。むろん、年始以来の円高による企業収益の低下が理由だ。他方、円高は輸入物価を引き下げ、消費を押し上げてもいる。5月の商業動態の小売業は横バイでも、財の物価は3か月連続で低下し、実質では増えている。英国のEU離脱もあり、日銀の異次元緩和Ⅱは無に帰した状態にあるが、それが経済を底入れさせ、浮揚させてもいるのだ。


(今週の日経)
 女性・シニアが働く人の5割・15年国勢調査。財源論争再び、国の税収が昨年度見積もり下回る。バングラテロで日本人7人死亡。
ジャンル:
経済
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