「支持政党なし」…いたずら? 実はポスター戦略
東京選挙区の掲示板 問い合わせが選管に
参院選(10日投開票)東京選挙区のポスター掲示板に、同じ政治団体の、候補者名のないポスターが4枚並んで張られている。見慣れない光景に「違反ではないか」「いたずらではないか」といった有権者からの問い合わせが選挙管理委員会に相次いでいる。
ポスターを掲示しているのは「支持政党なし」という名称の政治団体。同団体は東京選挙区の候補として4人を擁立している。4枚のポスターは候補者の数に相当。いずれも候補者名や顔写真はなく、デザインは同一だ。このポスターが張られた掲示板はこれまでに23区や町田市、八王子市、府中市などで見られる。驚いた有権者などから各自治体の選管に問い合わせが相次ぎ、ベテラン職員は「こんなことは初めて」と言う。
都選管によると、ポスターの内容については、公職選挙法などの法令上、公序良俗に反していなければ基本的に自由。候補者名はなくても違反ではない。
またポスターの並び順は立候補受け付けの届け出順で決まる。公示日の受け付け開始前に複数の陣営が選管を訪れた場合は抽選で順番を決めるが、その後は先着順となる。「支持政党なし」は抽選の終了後に4人の候補が続けて届け出たため、4枚のポスターが横に並んだ。都選管は「ポスターの並び方も規定に基づいており違法ではない」と話す。
「支持政党なし」は毎日新聞の取材に対し「候補者名より団体名を覚えてもらうことが目的。法律の範囲内でできることをしている」としている。
「支持政党なし」は今回の参院選で北海道、神奈川県、大阪府、熊本県の選挙区でも候補者を1人ずつ立て、比例代表で2人を擁立している。2014年の衆院選では比例代表北海道ブロックに2人を立て、10万4854票を獲得した。【五味香織、早川健人、谷本仁美】