連載
インディーズゲームの小部屋:Room#436「VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action」
連載開始から,ついに丸9年を迎えた「インディーズゲームの小部屋」の第436回は,Sukeban Gamesが開発した「VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action」を紹介する。本作は,一癖も二癖もある客達が集うバーのバーテンダーとなって,彼らの注文どおりのカクテルを提供するというアドベンチャーゲームだ。連載10年めも,ほどほどに頑張っていきたいと思いますよ。うへえ。
すべての人にナノマシンが注入され,企業によって支配されている世界。ここでは,ホワイトナイトと呼ばれる治安維持部隊が常に監視の目を光らせている。そんな中,ダウンタウンにある小さなバー「VA-11 Hall-A」(ヴァルハラ)には,今日もひとときの憩いを求めて人々がやって来る。バーテンダーのジルは,店に来る客達をもてなし,彼らの語る隠された物語に耳を傾けていく……。
というわけで,プレイヤーは主人公のジルとなって,次々とヴァルハラを訪れるめんどくさい……じゃなかった,個性的な客達に,彼らの求めるカクテルを提供することに。
開発元であるSukeban Gamesはベネズエラの開発チームで,本作はかつてPC-9801で発売されていた日本の古いアドベンチャーゲームにインスパイアされたとのこと。確かに,ちょっと懐かしい感じのするアートスタイルや,アニメ的な(つまりは日本人受けしそうな)キャラクターデザインなどにその影響が見て取れる。PC-98や日本文化が,ベネズエラでここまで影響力を持っていたことは驚きだが,それにしてもスケバンって……。
ゲームパートは自宅とバーの大きく2つに分かれており,自宅ではなぜかコタツでくつろぎながら,スマホ(タブレット?)を使ってゲームの進行状況をセーブ/ロードしたり,インターネット掲示板の書き込みや,くだらないネットニュース記事を読んだりできる。また,買い物に出かけて部屋に置く小物を購入し,自室をカスタマイズすることも可能だ。ところで,さすがに南米のベネズエラにコタツはないよね?
さて,ひと通りやることを済ませたら仕事に向かおう。バーでの最初の仕事は,ジュークボックスにかける曲を選曲すること。どれもお洒落な雰囲気の曲ばかりで迷ってしまうが,そのときの気分次第であれこれ入れ替えてみるのがいいだろう。ジュークボックスをセットしたら,いよいよカウンターに立って接客開始。客達の話に耳を傾けながら,彼らの要望にマッチしたカクテルを提供するのだ。
ヴァルハラにやって来る客は揃いも揃ってアクの強い連中ばかりで,彼らはカクテル名を指定してくることもあるが,「甘くて冷たくてアルコールの弱いもの」といった具合にあいまいな注文をしてくる場合もある。こんなときに,何を提供するかがバーテンダーとしての腕の見せどころだ。画面左側に表示される検索端末でレシピを確認したら,右側にあるインタフェースを使って数種類の材料を適切に混ぜ合わせ,これぞというカクテルを作成しよう。
本作ではこんな風に,客の語るさまざまなウワサや個人的な打ち明け話を聞いていくのがメインだが,ちょっと変わっているのが,どんなカクテルを出したかによってその後の会話の流れが変化するという点。わざと間違ったカクテルを提供しても,それなりに会話がつながっていくが,あんまりヘマをしすぎると,その日の勤務後にもらえる給料が減額されてしまうのでご注意を。いかに客の要望を汲み取り,彼らを満足させられるかが本作の醍醐味の1つだ。
サイバーパンクな雰囲気と,客との会話を通じて少しずつ明らかになっていく人間関係や物語が魅力の本作。全編英語のため,それなりの英語力がないと会話の妙を十分に堪能するのは難しいが,東京ゲームショウ2015には日本語にローカライズされたものが出展されていたので,今後のアップデートでの日本語対応にも期待したいところだ。そんな本作はSteamにて1500円で発売中なので,興味を持った人はぜひどうぞ。
■「VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action」公式サイト
http://waifubartending.com/- この記事のURL:
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