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千葉市が解除申請 7.7トン汚染基準下回る

 千葉市は28日、福島の原発事故で発生し、市内で保管する指定廃棄物の全量計7.7トンの放射性セシウム濃度が国の基準値を下回ったとして、指定解除を求める申請書を環境省に提出した。同省は4月、濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下になった場合は一般ごみと同様の処分を認める新ルールを発表していた。同省によると、解除申請は全国初で、解除の結論を出すまでに1カ月ほどかかる見通し。

     市が美浜区の清掃工場で保管する指定廃棄物のゼオライト3.5トンと焼却灰4.2トンについて委託業者を通じて調べたところ、ゼオライトは1キロ当たり6100ベクレル(2014年3月18日時点で同8490ベクレル)、焼却灰は同4020ベクレル(11年7月25日時点で同9320ベクレル)で、いずれも基準を下回っていた。市は28日、さいたま市中央区の環境省関東地方環境事務所に測定結果やサンプル採取時の写真などを提出した。

     国は当初、宮城、茨城、群馬、栃木、千葉の5県の指定廃棄物計約2万5000トンについて、各県に1カ所ずつ処分場をつくり、県内分を集約処分する方針を示した。だが、場所選びが難航し、処分場が決まった県はない。

     今年2月には茨城県で処分場建設を事実上断念し、一時保管する現状のまま自然に放射線量が下がるのを待つことを容認。一方で、再測定で1キロ当たり8000ベクレルを下回れば指定を解除する仕組みも作った。宮城県では国が再測定を実施した。

     指定が解除されれば自治体は一般ごみと同じように処理できる。国にも処分しなければならない指定廃棄物の量が減るメリットがある。ただ、解除された廃棄物の処理が円滑に進むとは限らない。

     実際、解除方針を国が示した際、茨城県内の首長から「一度『指定廃棄物』としてレッテルを貼られたものを受け入れる業者を見つけるのは困難だ」との疑念が出た。国は「解除後の廃棄物の処理も国が責任を持つ」として処理費用を負担するが、具体的な方策は決まっていない。【田ノ上達也、渡辺諒】

    集約保管「拒否」を明確化

    千葉県内の指定廃棄物処分場の候補地となっている東京電力火力発電所の敷地=千葉市中央区で2015年4月17日、本社ヘリから望月亮一撮影

     福島の原発事故で発生した指定廃棄物を巡り、千葉市には処分場の有力候補地がある。だが、市は「住民の理解が得られない」と拒否する姿勢を示してきた。今回の指定解除申請には、拒否の根拠を明確にする狙いがあり、千葉県での処分場建設はさらに難しい状況になりそうだ。

     同県には10市に3690トンの指定廃棄物が保管されている。これを集約する処分場候補地については自然災害の可能性や生活地域からの距離などを考慮し、東電千葉火力発電所など千葉市内の2カ所が有力視されてきた。だが、千葉市から指定廃棄物が消えれば同県柏市内などの候補地と差はなくなる。

     千葉市の熊谷俊人市長は昨年末、汚染濃度が基準を下回るとの推計をもとに、処分場をつくらず各市で継続保管すべきだとの考えを環境省に伝えていた。測定結果が出た24日には「指定廃棄物が全くないことが確認された。千葉市が受け入れることは市民の理解を得られないと改めて思う」と述べた。

     ただ、指定が解除され「普通のごみと同じ」と認められても、風評被害を防ぐために現状のまま清掃工場で保管を続ける。

     一方、県内最多の約1064トンの指定廃棄物を抱える同県柏市は元々のセシウム濃度が高く、環境省が4月に示した指定解除の新ルールを適用しても廃棄物はほとんど減らないとみられている。秋山浩保市長は、処分場を建設して集約する国の方針を確認した上で、現在の保管場所の住民を説得して仮保管を受け入れてもらった経緯があり、「約束をほごにされると行政と住民の信頼関係が崩れてしまう」と懸念している。【田ノ上達也】

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