国士無双とは
かつて、それぞれがネットレーベルを運営していた「ぐちょん」「藤子名人」、この2人によるユニットが「国士無双」である。
http://www.kokushimusou.sexy/
ぐちょん氏は「鯖缶レコード」というサンプリングが多めではあるが、
テクノを中心に様々なジャンルを幅広くリリースしているレーベルを現在も主宰中であり、
藤子名人氏は「逆襲レコード」という、こちらもサンプリングが多く極端に早いアーメンブレイクを得意としたインディレーベルを2010年まで主宰していた。
ネットレーベルの発展には欠かせないインディレーベルの一端であった双方のレーベル代表、
常に最新のジャンルを追いかけるぐちょん氏、アーメンブレイクを得意とする藤子名人氏。
その2人が「全方位型RAVE」と掲げるユニットを作り、トラック制作、ライブ活動を行っている。
各所から引っ張りだこのユニットであるが、
双方ソロ活動でも忙しいため、ライブはおよそ月に1回ペースなので中々聴く事が出来ない。
今回、その国士無双の2人にトラック制作について訊ねてみた。
ぜひ、こちらのライブ音源を聴きながら読んでいただきたい。
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ユニット構成まで
・まず、ソロで活動していた2人がユニットを組むに至った経緯を教えて下さい。
ぐちょん: 2012年に「大ネットレーベル祭」というネットレーベルを集合させたイベントがあったんですよ。
藤子名人: そのイベントに藤子名人として出演のオファーをもらったのですが、当時僕はもうネットレーベルに関わっていなかったので最初は辞退しました。そしたら、ぐちょんに「じゃあ一緒にライブをやりませんか?」と誘われて、「そう言えばユニットを組んでやった事はないし面白そうだなー」って思って国士無双を結成する事になりました。
ぐちょん:最初はそのイベント限りのユニットのつもりだったんですけど、僕ら自身が楽しかったって言うのと、思いの外、反響が大きかったのもあってそのまま続けさせてもらってます。
藤子名人:また、ちょうど2人ともソロのライブに限界を感じていた時期だったと言うのもありますね。
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出典:http://www.kokushimusou.sexy/
・なぜ、国士無双というユニット名になったのですか?
藤子名人: 2人に共通する趣味が麻雀だったので「麻雀にちなんだ名前をつけよっか。」というラフな感じだったと思います。
ぐちょん: 大三元や大車輪みたいな他の役の名前の候補もあったんですけど、一番しっくりきたのが国士無双でした。役満の中では比較的出やすくもカッコ良い役ですし。
藤子名人: かなり気に入ってますし、今でも国士無双という名前にして良かったと思ってます。
DAW、作り方について
・お2人が使用しているDAWを教えてください。
2人:ACID Proです!
・現在、ACID Proを使ってる人は珍しいと思うのですが、そのDAWを使うに至った理由を教えて下さい。
ぐちょん: 当時はまだAbleton Liveが発売されておらず、サンプリング主体で作れるDAWはMODぐらいしかなかったんですが、MODだと波形が見えないし、直感でシーケンスを組みにくいということでACID proを使い始めました。
藤子名人: 僕は長らくMODを使っていたのですが、当時のMODはタイムストレッチ機能がついてなくてサンプリングした音ネタとビートを合わせるだけでもかなり苦労してたので、ぐちょんが使っていたのを真似して僕もACID Proに移行しました。
ぐちょん:その後、Ableton Liveも一度体験版を使ったのですが、音が出る所まで辿り着けなかったので諦めました。
藤子名人:同じく僕もAbleton Liveは音すら出せなかったので、無理せず使い慣れたACID Proを今も使ってます。
・お2人は遠距離ユニット(ぐちょん氏は東京、藤子名人氏は神戸)という事で、どういう工程で曲を作っていますか?
2人:スカイピング!(Skype)
・Skype でチャットをしつつ、データをやり取りすると言う感じですか?
ぐちょん: 正にそんな感じです、制作データは全て丸ごと共有しています。
藤子名人: どちらかのデータが壊れてもお互いのパソコンがバックアップの役目も果たしてるので気が楽ですね。
・お2人はサンプリングで主に曲を作っているとの事ですが、サンプリング素材へのこだわりみたいなものはありますか?
藤子名人: 素材へのこだわりはないですけど、サンプリングのみで曲を作るという事にはこだわってやっています、シンセの使い方も良くわからないですし。
ぐちょん: 僕も素材にこだわりはなくて、「カッコ良い曲をサンプリングするとカッコ良い曲になる」という格言に従ってサンプリングしています。
・よく使うプラグインなどはありますか?
2人:使えません!
・プラグインを使わずにどのように楽曲制作をされているのですか?
ぐちょん:基本的にサンプルをチョップして行く手法で制作しています。エフェクトはACID Proに初期設定で付いているリバーブとディレイをたまに使う程度です。
藤子名人: むしろ、ディレイもプラグインではなく、シーケンス上で手動の打ち込みで再現する手法の方が使いますね。
・新しい機能や技術などは、お2人はあんまり興味がないですか?
ぐちょん: 音質が悪いサンプルを読み込んでも人工知能が自動的に高音質にしてくれる機能がほしいです。
藤子名人:あと、何もしなくても勝手にカッコイイ曲が完成する機能とかもほしいです。
・全てサンプリングで制作しているという事で1曲の中で相当サンプリングしていると思うんですが、総サンプリング数っていくつぐらいになります?
ぐちょん: 僕の作業フォルダのサンプリングファイル数は今1422個ですね。
藤子名人: 何故か僕のフォルダでは5062個もありますね。
ぐちょん:あれ!?ファイル数にすごい差がついているじゃないですか!さっきデータを丸ごと共有してるって言ったのが大嘘になっちゃってますし!
・曲ごとに新しく作るのではなくて、作業フォルダの中にファイルが数1000個以上あって、そこから取捨選択して作っている感じですか?
藤子名人:ライブの度に新曲を作ってますのでもちろん新たにサンプリングもしますよ。
ぐちょん:頻繁に使うサンプルは作業フォルダから取捨選択しますね。
・それぞれのソロの曲との切り分けはどうしていますか?
ぐちょん: 僕は特に切り分けしてないです。
藤子名人: 僕はぐちょんと一緒に曲を作るようになってからかなり勉強になる事が多かったんで、ソロで作った曲も国士無双で作った曲に近い作り方になってきています。
ぐちょん: 嬉しい話です!
・例えば、藤子名人といえばアーメン(アーメンブレイク)というイメージが強いんですが、そういった個人の得意分野は減っている感じですか?
藤子名人: 癖でついつい使いそうにはなりますが、ソロの時に比べて頻度は減っていますね。
ぐちょん:国士無双でアーメンを使う時は必ず藤子名人に打ち込んでもらうと言う暗黙のルールみたいなものはありますね。
ライブセットの作り方
・ライブの行い方、また、ライブセットの作り方をお聞きしたいです。
ぐちょん: ライブセットは毎回その出演時だけの限定のセットをガチガチに組んで臨みます。
藤子名人: 「2度と同じセットリストでライブはしない!」というポリシーを持ってやっています。
ぐちょん: ライブセットの作り方に関しては、「とにかく展開が多い方が得!」と思っていて、MEGAMIXを作っている感覚で組んでいます。
藤子名人: 僕らは2人とも飽きっぽいので展開が多くないと自分自身で耐えられなくなるというのもありますね。
これからのスタイル、注目しているアーティストなど
藤子名人: これからというかずっと目指してるのは、Avex Rave'94でのProdigyのライブです。
(参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=n0XVN076UgY)
ぐちょん: あれは本当に最高!テンションが上がりすぎてステージで転んじゃう所とかも見所です!
あと、V2(小室哲哉とYOSHIKI)とMajor Lazerにはかなり影響を受けています。
・昔のProdigyだとRAVE的な音が中心ですが、やっぱりそういう音がお2人とも好きなんですか?
藤子名人: 全方位型RAVEユニットを名乗ってますし、そうかもしれません。そもそも全方位型RAVEって意味がよくわからないですけど。
ぐちょん: どれか特定のジャンルのユニットという言うわけじゃないって事で!
・お2人が今注目しているアーティストなどはいますか?
藤子名人: 僕がいま常に新曲を追っているのはTREKKIE TRAXのCarpainterぐらいです。2人ともとなるとShako-Paniぐらいしかいないかもしれません。
ぐちょん: HyperJuiceとPa's Lam Systemも僕ら2人とも大好きなアーティストですけど、注目するまでもなくヤバいですし。
たしかに藤子名人が言う通り、2人ともが常にライブを観たいアーティストはshako-paniですね。あと、僕が個人的に去年から今年にかけて家でよく聞いている知り合いの曲は、
■黒眼鏡G feat. AMUNOA - You Gotta Be Hard (http://www.trekkie-trax.com/ep/trekkie48/)
■ウクダダ&アイノー- タンシャーン (https://soundcloud.com/ukudada_iknow/kswf1dwdj3cv)
■lulu - もう秋だからさ (https://soundcloud.com/offlu/xyn7ptcpbjt1)
の3曲です。
・最後に、まだ音楽を作り始めたばかりでこれからライブデビューをするという人に「ここは気を付けた方がいい」みたいなアドバイスはありますか?
ぐちょん: 「音を止めない!」と言いたい所ですけど、Jeff Millsは客のノリが悪い時はわざと音を止めるって言ってました。
藤子名人: あと時間がなくてもちょっと音を出す程度でもいいからリハは絶対にやった方が良いと思います!
一度、僕らは出番ギリギリにクラブに到着した所為でリハができずにそのまま本番に臨んで、ライブ中ずっとベース音しか聴こえない最悪なライブをしたことがあるので!
ぐちょん:それは間違いないです。その日のPAさんに挨拶をして出音の確認は絶対した方がいいです!
・リハと挨拶は本当に大事ですよね。ありがとうございました!
2人:こちらこそありがとうございました!
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http://www.trekkie-trax.com/ep/trekkie48
出典:http://www.trekkie-trax.com/ep/trekkie48
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最後に
90年代はDAWの種類も少なく、MODというサンプリングのみで曲を作れる無料DAWが盛んであった。
その時代の血を引き継ぐと言ってもいいオールサンプリングRAVEユニット、「国士無双」。彼らのライブでは常に歓声が鳴りやまない。
最初に紹介したサイトからSoundcloudにもリンクがある。ライブ音源やトラックも聴けるのでまだご存じない方は是非一度聴いてみて欲しい。