[東京 24日 ロイター] - 英国の国民投票で、欧州連合(EU)離脱派が勝利し、市場は大きく動揺している。警戒されているのは「リーマン・ショック」とは異なる経路で金融危機に発展する可能性だ。
EU離脱の他国への波及や金融機関の信用不安など、どういった「連鎖ルート」をとるか読みにくいだけに、市場では安全志向のリスクオフの動きがしばらく続くとみられている。
国民投票は「究極の不透明要因」に
国民投票を予想する難しさを今回、市場関係者は改めて痛感することになった。23日に行われた英国のEU離脱に関する国民投票では離脱派が勝利。直前の世論調査やブックメーカーの賭け率とは異なる結果に、残留を織り込んでいた市場は大混乱に陥った。
日経平均は一時1300円以上急落、ドル/円は一時99円ちょうどまで7円を超す円高となった。10年債利回り
この「究極の不透明要因」とも言える国民投票が今後、相次いで行われる可能性が高まっている。イタリアは10月に憲法改正案を国民投票で問う見通し。フィンランドやオランダでも行われるとの見方もある。英国のEU離脱派の勝利で、スコットランドでも再び独立に関する国民投票を求める動きが強まりかねない。
双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦氏は、政治家への信頼感が低くなっていることが国民投票が増える背景と指摘する。「米国でのトランプ旋風もそうだが、雇用や賃金への中低所得者層の不満が、国民投票を求める声に結び付いている」という。
国論が二分するような重要な判断でこそ、国民投票が行われるのだが、現状への不満が背景にある中では、今回の英国のように、現体制の否定につながるおそれが強まる。金融市場では「政治リスクがあるうちは、積極的な投資は難しい」(JPモルガン・アセット・マネジメントのストラテジスト、重見吉徳氏)との見方が台頭している。
警戒すべきは「広がり」
金融システムへの波及も、2008年に起きた「リーマン・ショック」とは異なるルートで起こる可能性がある。
「リーマン・ショック」の原因はサブプライム・ローンという特定の金融商品だった。今回は1つの国の問題であり、何か特定の金融商品がバブル崩壊的な値崩れを起こしたわけではない。企業や家計のバランスシートも当時と比べて、少なくとも表面上は健全だ。