米国でヘロイン使用の「流行」現象、過去20年で最悪=国連報告
[ウィーン 23日 ロイター] - 国連薬物犯罪事務所(UNODC)が23日発表した2016年版「世界薬物報告」によると、米国でヘロインの「流行」現象が生じている。
報告では、米国のヘロイン使用者数は2014年時点で約100万人と、過去20年で最悪の水準に増加している。これは2003年のほぼ3倍。ヘロイン関連の死者は2000年から5倍に増えた。
報告の作成にあたったアンジェラ・ミー研究員は「米国には、ヘロインの大規模な流行現象が見られる。明らかに、過去20年で最悪の水準」だとし、その傾向は続いているとの見方を示した。
使用増加の一因としてミー氏は、オキシコドンなどヘロインと似た作用のある処方鎮痛剤の乱用防止を目的とする法改正を挙げる。具体的には、薬の血管への注入を難しくするため、錠剤を砕きにくい構造に変更したという。
ミー氏は「改正で、この処方鎮痛剤の乱用からヘロインへのシフトが一部で見られる」と述べた。
また「米国のヘロインは主にメキシコとコロンビアから流入しているが、近年の供給増加で価格が下落していることも使用増につながっている」と分析した。