若者票獲得へ各党苦心
18歳選挙権が実現した参院選で、約240万人が新たな有権者になる。18、19歳の新有権者は全体の約2%にとどまるものの、政党はアプローチの方法を模索しながら若者の支持拡大を図っている。
「投票するのに、各候補者の政策すべてを比較するのは難しい」「大学の学費無償化とか、アルバイトの最低賃金を上げるなど若者向けの政策はありますか」。自民党宮城県連が11日、仙台駅近くの商業ビルで開いた大学生対象のパネルディスカッションで、2人の学生が発言した。牧原秀樹・党青年局長ら3人は「人間的な魅力があると思う人を選ぶといい」「政権担当能力がある政党に」などと応じた。
イベント運営を担ったのは県連学生部の学生15人だ。自民は若者票の取り込みを狙い、これまでに16の都道府県連が学生部を設置した。小林史明・党青年局学生部長は「若者向けの窓口をつくることによって一緒に考えていこうという戦略」と説明する。
民進は10代の女子中高生に狙いを定め、毎月、スマートフォンの無料通信アプリ「LINE(ライン)」で党幹部と人気モデルの対談を生中継している。今月9日には10代、20代のモデル3人と山尾志桜里政調会長による「女子会トーク」を企画。モデルが奨学金の返還で苦労していると話したり、医療制度の充実を訴えたりすると、山尾氏は「せめて利子なしにしたいよね」「賛成。すごい考えてるね」などと答えた。
この日の視聴者は1万人を超えたといい、初鹿明博・党青年局長は「いきなり『政治の会』には来てくれない。これをきっかけに若者に少しでも関心を持ってもらいたい」と狙いを明かす。
若者の受け止めはさまざまだ。仙台のイベントでパネリストを務めた東北大4年、高山育実さん(22)は「政治家の話をリアルに聞くのは初めてでありがたかった」としつつ、「政治用語は難しく、政策が若い世代の生活にどう影響するかが分からないと伝わらない」と注文した。立ち見をしていて途中で会場を離れた私立大2年の男子学生(20)は「投票には行く。今日は時間がないけど、防衛問題などに関心があるのでもう少し聞きたかった」と話した。
【山崎征克】