Flash の息の根がいよいよ止まりそう
脱 Flash、祝 HTML5 という機運が高まったのはだいぶ前の話ですが、実際には Flash コンテンツは今もなお数多くが生き続けています。たとえばニコニコ動画のプレイヤーであったり、アメーバピグや艦これのような人気ゲームにも Flash で作られているものがあります。
各ブラウザの状況
まだまだ Flash が現役な分野は残っていますが、現実は厳しさを増しています。
いくつかのブラウザが Flash をデフォルトで自動再生されないようにし、実行に際して「このサイトで Flash Plguin を実行してよいか?」という確認をユーザに求めるような転換が始まっています。現状どうなってるっけ?というのを改めてまとめました。
今わかっている限りだと、少なくとも 2016 Q4 のうちに主要ブラウザは次のような状況になります。
- Internet Explorer, Firefox → 影響なし
- Edge → 広告 Flash は自動再生しない
- Chrome, Safari → メインコンテンツ級の Flash も自動再生しない (オプトイン)
以下、個々の詳細です。
Internet Explorer
Flash と運命を共にしそうなので、余生を見守るモード
Internet Explorer は既に Microsoft 謹製のポジションを Edge に譲り、バージョン 11 を最後に老後生活に入っています。未だ高いシェアをもっていますが、Flash に対して積極的に自動再生をブロックするなどの措置は行われていません。むしろ、Flash と共に Web の世界からフェードアウトしていく運命にあると言えるのかもしれません。
Edge
広告やサブコンテンツの Flash は自動再生しない(メインコンテンツ相当の Flash は自動再生を認める)
Putting Users in Control of Flash | Microsoft Edge Dev Blog によれば、Windows 10 build 14316 から広告やメインコンテンツでない Flash を自動再生しないようになります。
Flash content that is central to the page, like video and games, will not be paused.
一方で動画やゲームなど、ページの中央にある Flash を止めることは(今回は)しないので、ニコ動も艦これも命拾いしています。
Over time, we will provide users additional control over the use of Flash (including content central to the page) and monitor the prevalence of Flash on the web.
引き続きページの中央にあるような Flash もコントロール対象にするタイミングを見ていくということですが、一旦の猶予はあるようです。
Windows 10 への強烈な自動アップグレード通知を通して、Edge を使用するユーザも増えていくのではという期待があります。自分が関わっているサービスの UserAgent 比率を見る限りは、今のところそこまでシェアを伸ばしているわけではなさそうです。Windows 10 に IE11 は残っていますし、Windows 10 の Service Pack で IE11 を消滅させるなどの措置を行わない限り、そう劇的な変化はないのかもしれません。
Chrome
Flash は殺す。絶対にだ。(メインコンテンツ相当の Flash も自動再生させない)
Intent to implement: HTML5 by Default - Google Groups によれば 2016 Q4 にメインコンテンツ相当の Flash も自動再生させず、Flash コンテンツを含む Web サイトへの初回訪問時にオプトイン方式でユーザーに Flash の利用許可を求めるようになります。
初回訪問時の許可は記録されるので、非 HTTPS 環境の Geolocation 許可ほどは鬱陶しくならないはずです。とはいえユーザにとって「初回訪問時によくわからんプラグインの実行許可を求められる Web サイト」が好ましいものではないのは間違いなく、既存ユーザはまだしも新規ユーザを獲得したいビジネスにとって Flash の利用はリスクになり得ます。
(1) Where aggregate usage of a specific domain puts it in the top 10 domains using Flash, based on Chrome’s internal metrics. Those sites currently are: 1. YouTube.com 2. Facebook.com 3. Yahoo.com 4. VK.com 5. Live.com 6. Yandex.ru 7. OK.ru 8. Twitch.tv 9. Amazon.com 10. Mail.ru
Flash を利用している一部の大規模サイトについてはホワイトリスト扱いで、Flash の自動再生が許可されます。このホワイトリストも1年後には再度見直しをかけるとのことなので、次第に強制力を強めていくものと考えられます。
Chrome は去年、小さい広告的な Flash を Chrome で自動再生させちゃうアレ ::ハブろぐにもまとめた通り一部の Flash を自動再生させない措置をすでに適用しています。未来の Web という錦の旗をふりかざし、なにげにタカ派なあたりは流石 Google だなと思う次第です。
Firefox
セキュリティ上何かやらかしたらまた止めるだろうけど、まだ様子見(?)
Firefox は以前、Blocked Add-ons :: Add-ons for Firefox にも記録が残っていますがセキュリティ上の問題を含む Flash の全バージョンを自動再生禁止にして「任意で実行できるけどセキュリティ上のリスクがあるよ」という扱いでブロックしました。その後、Adobe がリリースしたセキュリティ対策版以降のバージョンはブロックされていません。
詳細を追えてはいませんが、Mozilla の Firefox における Flash の扱いは決して友好的なものではなく、同社の Web 標準の普及に対する考え方やユーザーの利益を考える姿勢をみるに、Flash 廃止の方向性は持っているものと思われます。今年に入ってからの他ブラウザの対応に追従する可能性も十分に考えられるので、時間の問題と言えるでしょう。
Safari
Flash は殺す。絶対にだ。(メインコンテンツ相当の Flash も自動再生させない)その2
Next Steps for Legacy Plug-ins | WebKit によれば、macOS Sierra および、OS X Yosemite や OS X El Capitan に向けて提供される Safari 10 から Flash の自動再生をさせなくなります。Chrome と同様にオプトイン方式で実行許可を求めますが、標準の選択肢が Use Once
なので Chrome よりも微妙なウザさが予想されます。
Safari 10 は navigator.plugins
と navigator.mimeTypes
に Flash (だけでなく QuickTime や Java、Silverlight など)プラグインの情報を提供しなくなります。デフォルトが Flash で、HTML5 へのフォールバックがなく、Flash のダウンロードリンクが提供されたときユーザがそれをクリックすると Flash インストール済であれば実行許可の選択肢を提供するそうです。また Flash が直接 Web ページに embed されている場合は、Flash の表示エリアに Click to use
と表示させて、それを Click しても同様に実行許可の選択肢が提供されます。
細かい振る舞いは実物を見てみないと不透明なところもありますが Chrome と同様、またはそれ以上のレベルで Flash の利用を制限するように見えます。
先細る Flash
Flash 製造器の代表格たるソフトウェアは Adobe Flash Professional を Adobe Animate CC に名称変更 | Adobe Creative Station で Animate にその名を変え、Canvas や WebGL をサポートした出力をするようになりました。
一見するとついに開発元が...! というニュースではありましたが、これは大した出来事ではなく Flash がいまだに強い存在感を示すのは、動画プレイヤーやゲームといった分野です。
特に自分がいま関わり始めている動画分野においては、Media Source Extensions を前提としたライブラリを利用してストリーミング動画を安定再生させるのが思いの外難しいという問題があったり、Encrypted Media Extensions があるとはいえ DRM 周りは色々なものが複雑に絡みあっていて Web 標準どころではない部分もあったりします。
どうやら Flash ベースのライブラリのほうが枯れている分、安定している傾向にあるため某プロダクトでも Flash に依存しています。これを早々に脱却せねばなるまいな、という気持ちを新たにするのでした。
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