先日、id:arrow1953さんの記事に下記のようなブコメをしたら、なんと金子修介監督ご本人がTwitterでリツィートなさっていて超絶驚いた。
へぇ、金子監督のお父さんかぁ。 / “サブカルワールド最強のお父さん、金子徳好さんについて語ろう - サブカル 語る。” (2 users) https://t.co/2qN1bV8k7G
— ゆきぼう (@dosei2010) 2016年6月16日
金子修介監督というと、ご本人はどう思っているかわからないけど、どうしても「平成ガメラ三部作の監督」というイメージを持ってしまう。それは何故かと言うと、自分が平成ガメラ三部作を大好きだからである。ある意味、日本特撮界の辿り着いた一つの頂点だとさえ思っているからだ。
実のところ、1995年の「ガメラ 大怪獣空中決戦」は、劇場には見に行っていない。その頃は東京で働いていたので、見に行くチャンスはあったのだが、「ガメラ=子供向け」という昭和的なイメージが潜在意識に刷り込まれていて、二の足を踏ませていたのだ。なので、レンタルビデオになってからやっと見ることになる。
そして、自分は後悔した。
どうしてこれを劇場に見に行かなかったのだろうと。それくらい素晴らしい出来だった。
ゴジラの「VSシリーズ」が毎年公開されていた時期、自分は「日本映画がハリウッドに対抗するには、大人の鑑賞に耐えうる特撮映画を撮るしか無い」と思っていた。だが、日本で作られている映画は「REX 恐竜物語」とか「河童」(河童は面白かったけど…)とか、なんとなくハリウッドのモノマネみたいなのが多くて、どこか子供っぽい印象を拭えなかった。
そんな中、本格派のSFの匂いを漂わせるガメラは新鮮だった。そして、その続編である「ガメラ2 レギオン襲来」でも、そのSF的な物語作りは健在で、本当に説得力のある素晴らしいものだった。劇中で「主は、お前は何かと尋ねるとそれは答えた。我が名はレギオン。我々は大勢であるがゆえに」というセリフが流れるあたりのシーンの盛り上がりは、本当に震えが来るほど格好良かった。勿論、今回は劇場へと見に行った。
そして、「ガメラ3 邪神覚醒」である。これは本当に素晴らしい。劇場で何回も見た。ストーリーが多少ファンタジーよりになったものの、怪獣映画のタブーである「怪獣被害の犠牲者とその遺族」という面に切り込んだ意欲作である。本作の敵役イリスとガメラが空中でバトルを繰り広げるシーンや、京都での最終決戦は日本特撮が辿り着いたひとつの頂点だと思っている。
というわけで、自分はゴジラも好きだが平成ガメラ三部作もとっても大好きである。
平成ガメラ三部作はリアリティにこだわっている。カメラの視点はほぼ人間から見た視点で怪獣を巨大にみせるようになっているし、敵側の怪獣にもそれなりの科学的考証に基づいたリアルな設定(一部飛躍しているけど)がなされている。
登場する自衛隊の兵器も実際に存在するものばかりで、メーサー砲のように現実にはないものは出てこない。しかも、自衛隊全面協力のおかげなのかどうか不明だが、それが一定の戦果を上げるのもゴジラシリーズにはない特徴だ。とはいえ、倒すまでには至らず、ガメラが最後はとどめを刺すことになるのだが。
ガメラの立ち位置も基本的には人類の味方なのだが、町に現れただけで甚大な被害をもたらし、ましてや火球をバンバン放って町をぶっ壊すもんだから、自衛隊はガメラを時に危険な生物として排除しようとする。そのせめぎ合いが面白い。
ガメラ3では、それまでの伊藤和典氏だけでなく金子監督本人も脚本に加わり、樋口真嗣氏による特撮もCGなどを駆使した素晴らしい物になっている。今見ると所々ぎこちない部分も見られるが、見に行った当時は「日本の特撮もついにここまで来たか」と目頭が熱くなった覚えがある。思わず庵野秀明監督によるメイキングビデオ?「GAMERA1999」も買ってしまうほどの入れ込みぶりだった。
大谷幸氏による音楽も本当に素晴らしい。ガメラの巨大さを感じさせる重厚な音楽は、後の「ワンダと巨像」に通じるものもあり、あまりの素晴らしさにサントラも購入した。
正直、この平成ガメラ三部作について語りだすと興奮して上手くまとまらないのだが、とにかく大好きなのだ。ゴジラシリーズも好きなんだが、VSシリーズ以降は初代ゴジラからのリブートばっかりやっているイメージで、最後の「ゴジラ・ファイナルウォーズ」などは殆どギャグ映画だった。そういう意味では、真面目にSFしようとしていた平成ガメラ三部作に今でも惹かれるのは無理も無い話かもしれない。
とはいえ、金子監督は「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」でも監督を勤めていて、ガメラとゴジラ両方でメガホンを取った唯一の監督だったりする。怪獣映画好きなんですね。
でも、その一方で「就職戦線異状なし(主題歌:どんなときも)」とか、「学校の怪談」とか「デスノートシリーズ」とか、結構多彩な作品を監督していて、やっぱり映画監督ってのは凄いなあと感じる。どっちかっていうと「ガメラの監督」というより「デスノート」の監督って言ったほうが、一般の受けはいいかもしれない。
それでも、自分は金子修介監督といえば、やっぱり平成ガメラ三部作が真っ先に頭に浮かんでしまうんだなぁ。それくらいあの三部作に思い入れがある。
返す返すも、ガメラ3の興行収入が10億円突破していれば…と、残念に思ってしまうのであった。
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