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北条家の若き当主・氏直を演じる細田善彦さんに、
役柄と北条家の関係についてうかがいました!

 

世間知らずで苦労知らずの氏直

北条氏直は、北条という名家の五代目で育ちのいい男です。これまでの人生において基本的に追い詰められた経験がなく、品は良いけど、世間知らずで苦労知らず。そのためか、第8回「調略」から第10回「妙手(みょうしゅ)」までの氏直は、思い通りにいかないとすぐにいら立ち、怒ってばかりいました。ですので、氏直を演じるにあたり、まずは、口調や姿勢などを意識しながら“どのように怒るか”ということを考えました。

一口に“怒る”と言っても、その表現の仕方にはたくさんの種類があります。そんな中で参考にしたのは、高嶋政伸さんが演じられる父・氏政です。親子ですし、氏直は北条家以外の人たちに触れる機会はあまりなかったでしょうから、怒るにしても、氏政が家臣を怒っている姿くらいしか見てこなかったと思うんです。ですから、父上の怒りの色を残したいと思い、高嶋さんの演技を観察して参考にさせていただきました。視聴者の皆さんに「似ている」「あの父の息子だ」と感じていただけたら、とても嬉しいです。

第8回「調略」で、真田昌幸(草刈正雄)や出浦昌相(寺島進)、室賀正武(西村雅彦)と対峙するシーンがありましたが、このときはリハーサルから恐ろしくて仕方ありませんでした。すごい俳優さんたちの中で淡々と芝居をしてしまうと、氏直がただの北条家の当主として片づけられ、無知で実戦経験もないという感じが、うまく出せないと思いました。ですから、このシーンでは、昌幸たちを「虫ケラのように見よう」と思って演じました。機嫌が悪いから八つ当たりをし、今後は関わることがないと思っているので、相手の意見には耳を貸さない。結果、昌幸の調略にまんまとはまり、自分のペースが乱されていく様が、うまく演じられたと思います。

放送後に埼玉県にロケに行かせていただく機会があったのですが、その際に年配の視聴者の方に「氏直、カッカしないの」「笑顔の方がいい」と声をかけていただきました。ウワサには聞いていましたが、大河ドラマはのめり込んで見てくださっている方がたくさんいて、役名で声をかけてくれるんですね。『真田丸』に参加できて本当に嬉しかったです。

父・氏政への思いが変わる時

ドラマ内では描かれていませんが、天正壬午の乱の以後、氏直も氏直なりに成長をしています。北条家の当主として、自分の考えを持って行動するようになっていたはずです。ただ、氏直にとって父・氏政は、あまりにも絶対的な存在でした。現代と違い、親子ゲンカをすることもなかったのだろうと思います。

権勢を増す豊臣秀吉に従属を迫られ、北条家は徐々に追い詰められていきますが、氏政は頑なにこれを退けます。そして、これまで弱さを見せてこなかった偉大な父が、いつも高笑いをしていた父が、小田原城を攻められるとなった途端に崩壊していきます。そんな父に対して氏直は、きっと以前から「何か違う」と疑念を抱いていたでしょう。しかし、それをずっと言葉にできなくて、どう父に伝えればいいのかわからなくて、苦しんでいたのではないでしょうか。

現代劇であれば号泣していたかもしれませんが、氏直は戦国大名。しかも、当主としてのプライドがあります。若かった頃の氏直の色味を見せつつ、成長した氏直の姿も加えられるように、演出の木村さんと相談し、共演の堺雅人さんや山西惇さんにも助けていただきながら、演じさせていただきました。

だから、小田原城内で信繁と対面したときは、藁(わら)にもすがる思いだったと思います。このシーンでは、氏直の弱さをどこまで出せば良いのか、父との距離の出し方をどうすれば良いのか、と悩みました。

現代劇であれば号泣していたかもしれませんが、氏直は戦国大名。しかも、当主としてのプライドがあります。若かった頃の氏直の色味を見せつつ、成長した氏直の姿も加えられるように、演出の木村さんと相談し、共演の堺雅人さんや山西惇さんにも助けていただきながら、演じさせていただきました。

氏政はパパで、江雪斎はママ

僕は個人的に、氏政はパパで、江雪斎はママだと勝手に思っています。江雪斎は、僕を優しく見守ってくれるお母さんのような存在です。子どもの頃から江雪斎に面倒を見てもらっていたでしょうから、本音も江雪斎の前では言えたのではないでしょうか。氏政が引っ張り、江雪斎が支える。『真田丸』における北条家は、そんな家だと感じていました。『真田丸』では家ごとにカラーが分かれていて、それぞれがとても魅力的ですが、撮影現場で他家の話をすることはなかったので、「他のことなど気にするな」というのが、エリートである北条家の教えだったのかもしれません(笑)。

父・氏政を演じる高嶋さんはリハーサルをとても入念にされる方で、本番前までずっとセリフの練習をされていたので、一緒に行わせていただきました。僕も背筋が伸びるというか、一層しっかりやらなきゃという気持ちになり、本当に引っ張っていただいて感謝しています。収録後もシーンについて話をしたりと、北条の形を模索し続けた撮影期間は、とても楽しく、勉強になりました。

今回、一つ一つの所作の意味や大切さを痛感することもできたので、この経験を今後は現代劇にも生かしていきたいと思っています。
それにしても、『真田丸』には声の良い役者がそろっていますね。僕もたまにいい声だとは言われるのですが、“『真田丸』いい声ランキング”にはとても食い込めません(笑)。自分としては、今後、声にも磨きをかけていこうと思っています!

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