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中国艦「露を監視」口実に 政府分析

中国艦とロシア艦の航跡のイメージ

 中国海軍の艦艇が9日未明、初めて沖縄県・尖閣諸島の接続水域に入った問題で、政府内で10日、周到な計画に基づく行動との見方が強まった。尖閣の領有権を主張する中国が、先に接続水域に入ったロシア艦と自衛艦を「監視する」形を作ったとの分析からだ。これまでも中国は既成事実を積み上げて領有権を主張しており、政府は東シナ海の緊張が新たな段階に入ったと警戒を強めている。

 海上自衛隊が外国艦艇を追尾するかは、状況を見極めて判断する。政府関係者によると、8日夜に東シナ海を北上したロシア艦は最短距離でロシア方面に向かわず、針路変更する不審な動きを見せたことや、これとは別に中国海軍の艦艇1隻が尖閣の北方にいたため、ロシア艦の近くにいた護衛艦「はたかぜ」が追尾する方針が決まった。

 ロシア艦は、東南アジアでの多国間演習を終えて帰国途中の駆逐艦など3隻。国際法上は軍艦も接続水域の通航は可能で、ロシア艦は過去にも尖閣の水域を通過したことがある。

 8日午後9時50分ごろ、ロシア艦は久場島の南方から接続水域に入った。はたかぜがともに北上すると9日午前0時50分ごろ、中国艦が久場島の北東側からロシア艦を迎えるように接続水域に進入。中国艦は護衛艦「せとぎり」が追尾しており、2隻の海自艦は相手艦を刺激しないよう、2〜3キロの距離を置いて後を追う「随伴」を続けた。

 中国艦はU字形を描くように進み、ロシア艦と並走するように北上して午前3時過ぎに接続水域を出た。海域には当時、日中露3カ国の艦艇が並走したことになる。防衛省幹部は中国艦の動きについて「領海侵犯の意図はなかったように見えた」と証言。別の同省関係者は「中国艦はロシア艦に追従するような動きだった」と中国艦が冷静に行動したことを明かす。

 仮に自衛艦がロシア艦を追尾しなかった場合、接続水域に入ったロシア艦を中国艦が率先して監視することで「中国が尖閣を守る」という構図を作る−−。防衛省関係者はそうした最悪のシナリオになった可能性を指摘する。

 元自衛艦隊司令官の香田洋二氏は中国の接続水域への進入について「緻密な計画の上に行っており、今後も続く可能性がある」と警告。「周辺国と対立を深める南シナ海から国際社会の注意や批判をそらす」のが狙いと分析している。【町田徳丈、村尾哲】

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