三井住友VISAゴールドカードへの切り替えメリットについては過去記事にて考察し、三井住友VISAクラシックカードと比べておよそ70万円分有利になるという結論を導き出しました。
今回のこの記事では、三井住友VISAゴールドカード単体で年間でどれだけの利用(決済)をする人であれば所有(切り替え)にふさわしいのかについて検証してみました。
「損益分岐点」について
検証に入る前に、「損益分岐点」の単語の意味と、本記事での損益分岐点の前提について記載します。
”損益分岐点”を検索すると、Wikipediaでは冒頭このように記載されています。
損益分岐点(そんえきぶんきてん、英: break-even point, BEP)は、管理会計上の概念の一つ。売上高と費用の額がちょうど等しくなる売上高または販売数量を指す。
今回はこの考え方をクレジットカードの場合にあてはめて、売上高=利益・費用=年会費と読み替え、利益の額と費用の額がちょうど等しくなる点を損益分岐点としました。
クレジットカード利用における利益とは
クレジットカードを利用した場合の目に見える利益といえば、決済額に応じたポイントプログラムです。*1
今回の検証では、そのポイントプログラムで交換できる商品のうち、VJAギフトカード(商品券)*2の額面を利益として扱います。
三井住友VISAゴールドカードの年会費について
三井住友VISAゴールドカードの年会費は、通常10,000円+税となります。
三井住友VISAゴールドカード|クレジットカードの三井住友VISAカード
しかしながら、三井住友VISAではWeb明細書とマイペいすリボの申込で年会費の割引制度が適用され、最大4,000円+税まで年会費が圧縮されます。
今回の検証では、使える割引は全て使うこととし、年会費:4,000円+税((税込)4,320円)として検証します。
三井住友VISAカードのボーナスポイント制度について
三井住友VISAカードのポイントプログラムには、前年度のお買物累計額や、当年の累計ポイントによって、ボーナスポイントをプレゼントするサービスがあります。
今回の検証では、ステージなし(初めての所持)、前年度支払額50万円~100万円未満のV1(ブイワン)、前年度支払額100万円~300万円未満のV2(ブイツー)、前年度支払額300万円以上のV3(ブイスリー)の全ステージの場合をシミュレートしています。
検証の方法
三井住友VISAカードポイントプログラムにおいては、1,000ポイントが5,000円分のVJAギフトカードと交換できますので、1,000ポイントを獲得するのに必要な決済額を算出して、それ以上の利用が見込まれる場合に利益が勝るという判定をしています。
ただし、マイペイすリボ利用によるボーナスポイント2倍*3については考慮しない試算としています。
ステージ:なし(初めての所持)の場合
ステージ:なしの場合は、利用額に応じたボーナスポイントは付与されませんので、決済額1,000円につき1ポイントを獲得します。
年間100万円(月平均8.4万円)の決済額でちょうど1,000ポイントとなりますので、ここが損益分岐点となります。
つまり、年間100万円以上の決済が見込まれる場合にはゴールドカードでも損はしない計算になります。
ステージ:V1の場合
ステージ:V1の場合は、年間84万円(月平均7万円)の決済額でちょうど1,000ポイントとなりますので、ここが損益分岐点となります。
つまり、年間84万円以上の決済が見込まれる場合にはゴールドカードでも損はしない計算になります。
<参考>
参考として、ステージ:V1判定の上限となる年間100万円未満の決済額(年間96万円)で試算すると、1,176ポイントとなりました。
なお、ステージ:V1における年間決済額に応じた獲得ポイントは、以下の式から概算できます。*4
獲得ポイント=0.001182×年間決済額(円)+2.048094
ステージ:V2の場合
ステージ:V2の場合は、年間79.2万円(月平均6.6万円)の決済額で1,002ポイントとなりますので、ここが損益分岐点となります。
つまり、年間約80万円以上の決済が見込まれる場合にはゴールドカードでも損はしない計算になります。
<参考>
参考として、ステージ:V2判定の上限となる年間300万円未満の決済額(年間約299万円)で試算すると、3,858ポイントとなりました。
なお、ステージ:V2における年間決済額に応じた獲得ポイントは、以下の式から概算できます。
獲得ポイント=0.001288×年間決済額(円)+14.18826
ステージ:V3の場合
ステージ:V3の場合は、年間64.8万円(月平均5.4万円)の決済額で1,008ポイントとなりますので、ここが損益分岐点となります。
つまり、年間約65万円以上の決済が見込まれる場合にはゴールドカードでも損はしない計算になります。
参考として、ステージ:V3判定ライン以上となる年間500万円の決済額で試算すると、8,004ポイントとなりました。
さすがに年間500万円の決済額は普通では届かないと思いますが、ステージ:V3のボーナスポイントの破壊力をまじまじと見せつけられる結果です。
なお、ステージ:V3における年間決済額に応じた獲得ポイントは、以下の式から概算できます。
獲得ポイント=0.001600×年間決済額(円)−0.493070
まとめ
ステージ:なし~V3までのシミュレーションをまとめると以下のようになります。
損益分岐点となる年間決済額
ステージなし:100 万円(月平均8.4万円)
ステージ V1:84.0万円(月平均7.0万円)
ステージ V2:79.2万円(月平均6.6万円)
ステージ V3:64.8万円(月平均5.4万円)
ここで終わりにしても良いのですが、もう少し深く考察するため、一度、ボーナスポイントのステージ設定について思い出してみます。
ボーナスポイントのステージは前年度の決済額に応じて設定されますから、理論上、初めて三井住友VISAゴールドカードを所持した方は、年間100万円の決済で損益0。
すると、翌年度はステージV2となるため、年間約80万円の決済で損益0になります。
さらに、翌々年度はステージV1となるため、年間約84万円の決済で損益0になります。
年間決済額80万円~100万円は高額に見えますが、日々の決済を集中させることで割と簡単に達成できてしまいます。
電気・ガス・水道・プロバイダ・携帯料金・保険料・スーパーやコンビニ、日用品など日々のお買い物、自動販売機などなど、挙げたらキリがありません。
そして忘れてはいけないのがWeb申込やポイントサイトの活用。
多くの場合、初年度年会費無料となることを考慮すれば、ステージなしの場合は無視できることになりますので、本記事での結論はこうなります。
三井住友VISAゴールドカードの損益分岐点:
年間決済額85万円
一方、ステージV3になるほど決済している(見込まれる)方であれば、そもそも損益分岐点を探ること自体あまり意味がなく、早めに切り替えをして、積極的に決済を集中させるか、もしくはより還元率の高い他のクレジットカードを選択し、賢くポイントを得ることを考えるべきかと思います。