中国メディア「釣魚島の接続水域航行」のみ報道
中国政府も反応を示さず
【北京・石原聖】中国軍の軍艦1隻が9日未明、沖縄県・尖閣諸島の日本の接続水域を初めて航行したことについて、中国メディアは日本での報道を引用し「中露4隻の軍艦が釣魚島(尖閣諸島の中国名)の接続水域を航行した」と伝えるにとどめ、中国政府も反応を示していない。
ただ、今回の中国軍の新たな動きは、南シナ海における米軍の「航行の自由」作戦をけん制するほか「強化された日米同盟の反応テスト」(安保関係者)という側面もあるとみられる。
中国の海洋警察・海警局の巡視船3隻が8日、尖閣諸島の領海に侵入。中国国家海洋局は「我が国の領海をパトロールした」と発表した。7日には、東シナ海の公海上で中国軍の戦闘機が米軍偵察機に異常接近して飛行を妨害した。
また、10日から沖縄県東方沖で実施される日米印共同訓練について、中国外務省の洪磊(こうらい)・副報道局長が「関連報道に留意している」とコメント。これらの動きが、今回の中国海軍の接続水域航行と連動している可能性もある。
また、3月に施行された集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法について、中国側は「日米同盟を強化することで東シナ海と南シナ海の問題を連動させ、中国に圧力をかけることが目的」とみている。
シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で日本側と会談した中国軍の孫建国・連合参謀部副参謀長は、日中関係の改善の兆しを受けて「今後も防衛交流を促進していきたい」と発言する一方、南シナ海問題で「発言を慎む」よう日本に求めていた。