元地裁判事の資格回復 ストーカー違反で罷免
2008年にストーカー規制法違反で有罪が確定し、罷免された下山芳晴・元宇都宮地裁判事(63)について、国会の裁判官弾劾裁判所(裁判長・吉田博美参院議員)は8日、資格回復の決定をしたと発表した。決定は5月17日付。罷免された元裁判官による資格回復請求は今回を含めて8件あり、認められたのは1986年以来30年ぶり4件目。下山元判事は弁護士登録を希望している。
下山元判事は、部下の女性に性的表現を含むメールを繰り返し送ったとして懲役6月、執行猶予2年の判決が確定。弾劾裁判所が08年12月、「裁判官としての威信を著しく失う行為」として罷免を言い渡し、法曹資格を失った。
決定によると、元判事は罷免後、大学職員や警備員を務めたほか、派遣社員として国民健康保険料の徴収に従事した。決定は「罷免後は経済的に困窮し、自分の愚かさを身に染みて反省したと認められる。考え方や行動を改める人格の改善があった」としている。
裁判官弾劾法は、請求があった場合、罷免から5年が経過し、相当の理由があると判断されれば法曹資格を回復すると規定する。今回は衆参各7人の計14人で非公開の会議を開き、過半数の賛成で資格回復を決めた。
過去にはロッキード事件捜査中に検事総長の名をかたって三木武夫首相(当時)にニセ電話をかけたとして罷免された元京都地裁判事補や、担当する破産事件の管財人からゴルフ道具を受け取り罷免された元東京地裁判事補らが、弾劾裁判所で資格を回復している。【近松仁太郎、伊藤直孝】