【レポート】

糖質制限はストイックにしなくていい!? 炭水化物の太らない食べ方とは

1 食事代わりにお菓子を食べてはいけない理由

須藤妙子  [2016/06/07]
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スローカロリー研究会理事長を務める、結核予防会理事・総合健診推進センター長の宮崎滋氏

近年、食事から糖質量を減らすことでやせる「糖質制限ダイエット」が話題だ。同ダイエットは、大幅減量を達成した成功者がいる一方で、体への悪影響を危惧する声もしばしば聞かれる。

そういった背景も踏まえ、スローカロリー研究会はこのほど、マスコミセミナー「糖質とダイエット ~糖質を正しく摂取するには~」を開催した。

糖質を上手に摂取するという選択

スローカロリー研究会は、糖質をオフするのではなく、小腸での消化吸収がゆっくりと行われるように摂取する「スローカロリー」の考え方を提唱する。同研究会は2015年2月に発足して以降、このスローカロリーの有用性について調査・研究を進めるとともに、情報の蓄積・発信を行ってきた。そして、健康づくりのための食生活を指導する医療・保健指導従事者をはじめ、一般生活者に向けての知識の普及に寄与することを活動目的として掲げている。

同研究会理事長を務める、結核予防会理事・総合健診推進センター長の宮崎滋氏は「糖質は、私たちが生きていくための大切なエネルギー源。思考力や活動量を落とさないためにも摂取は重要です」と語る。また、日本文化を象徴する和食には米・砂糖が欠かせないこと、加工特性や保存性といった便利さは現代人にマッチしていることにも触れながら、「エネルギー量や栄養バランスを意識しながら糖質を上手に摂取していく方法が重要になります」と述べた。

「お菓子が食事代わり」は危険

武庫川女子大学 国際健康開発研究所講師の森真理氏

続いて、武庫川女子大学 国際健康開発研究所講師の森真理氏が「スローカロリーの考え方と若者の食生活の実態について」と題して講演を行った。

森氏は、日本の女子中高生の血糖値が高めであることに言及。その原因が「若年層の食習慣」にあるとし、問題点として、食事代わりに菓子を食べたり、菓子パンやジュース、菓子などを間食で頻繁に摂(と)ったりする習慣を指摘した。これでは1日の中で血糖値が何度も急上昇・急降下を繰り返し、血糖値が高めに推移してしまうという。

血糖値はなぜ高くなる?

ここで、食後に血糖値が上がる仕組みを整理しておこう。

食事をすると胃で消化され、腸でブドウ糖に分解されて腸から吸収される。吸収されたブドウ糖は肝臓へ送られ、血液中に流れ込み全身へ。そうして上がった血糖値を調整するために、すい臓からインスリンが分泌。その働きによって血液中のブドウ糖は筋肉細胞や脳細胞などに取り込まれ、エネルギーとして使えるようになるとともに、血糖値も正常値まで下がることになる。「規則正しい食習慣をしている人は、血糖値も安定しています」と森氏。

規則正しい食習慣の場合は、インスリンの働きで食後血糖値が下がり、ブドウ糖が細胞に取り込まれる

長期にわたって糖質を摂りすぎると、ブドウ糖を細胞に取り込めなくなる

一方で、血糖値が高い人もいる。その原因は、長期にわたる糖質の摂りすぎによって、糖質を上手く細胞に取り込めなくなることだという。炭水化物や甘い物を食べ過ぎると、急激に上がった血糖値を調整しようとして大量のインスリンが分泌される。それを繰り返すうちにブドウ糖を細胞に取り込みづらくなり、血糖値が高いままになってしまうというのだ。このようなインスリンの過剰分泌は、内臓肥満や高血圧、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病のリスクを上げることがわかっている。

では具体的には、どのような食生活を送ればいいのだろうか。

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インデックス

目次
(1) 食事代わりにお菓子を食べてはいけない理由
(2) 糖質の正しい「選び方」と「食べ順」を知ろう
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