スイスの国民投票で、ベーシック・インカム(BI)の提案が大差で否決された。この結果は予想されていたが、Economist誌がくわしく解説しているように、BIは荒唐無稽な政策ではない。そのしくみについては以前の記事でも説明したように、算術的にはフリードマンの提案した負の所得税と同じだが、考え方はまったく違う。
BIは左翼が平等主義の立場から主張しているのに対して、負の所得税は既存の社会保障を代替することが目的だ。Economistは、カナダの一部で行なわれたBIの実験の結果から「働かなくても金がもらえる」というBIのイメージが、労働倫理に悪影響を及ぼすとしている。それよりEITC(給付つき税額控除)や負の所得税のような形で、労働所得を補助する形が望ましい。
もっと根本的な問題は、国家の役割が20世紀の福祉国家から所得を再分配する分配国家に変質したことだ。図のように日本の社会保障給付(医療を除く)はGDPの15%にのぼるが、ほとんどは年金と生活保護で、公共サービスではなく単なる所得移転であり、コンピュータでもできる。それならもっとも合理的な分配アルゴリズムを設計すべきだ。
議論の続きはオフレコ政経ゼミで。
もっと根本的な問題は、国家の役割が20世紀の福祉国家から所得を再分配する分配国家に変質したことだ。図のように日本の社会保障給付(医療を除く)はGDPの15%にのぼるが、ほとんどは年金と生活保護で、公共サービスではなく単なる所得移転であり、コンピュータでもできる。それならもっとも合理的な分配アルゴリズムを設計すべきだ。
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