フェティッシュの火曜日
2016年6月7日
きっかけは、去年、山口でのイベントが終わった後、打ち上げの居酒屋での雑談だった。
「ベイエリアでヘボコンやりませんか?」 その時どう答えたかはあまり良く覚えていなくて、あまり深く考えずに「いきましょう!」と答えた気もするし、「うわー行きたいですねー」とあいまいに濁したような気もする。なんにしろ、あんまり深く考えていなかった。 そして9か月後、である。僕と、編集部の古賀、そしてMaker Faire Tokyo(以下、MFT)の浅原さん。3人はアメリカ西海岸の地に降り立った。 ほんとに来ちゃったよ!! > 個人サイト nomoonwalk 対戦テーブルの周りは3重くらいのすごい人だかり
今回は、その場でロボットを作って戦わせる形式。作業ブースも満員。
量産されていく技術力の低いロボット
試合の行方を真剣に見守る子供たち
集合写真のこの思い出感!
試合中の歓声やリアクションも、アメリカンスタイルで日本の5割増しである。そんな中で口々に発せられる、「ヘボーイ」の声。
トーナメントは1日3回。各回の最初に僭越ながらヘボコンの創始者としてあいさつをさせてもらい、その中で「ヘボい」という単語を覚えてもらったのだ。 「ウマミ」「カラオケ」に続く、あらたな世界共通語が誕生した瞬間である。 ベイエリアは聖地そもそもの話に戻ろう。僕たちはヘボコンをやるためにアメリカに行った。
ヘボコンというのは僕が2年前に始めた、「技術力の低い人限定ロボコン」。ロボットなんて作る技術がない人が、自作のガラクタを持ち寄り戦う、ロボットバトルイベントだ。 そして今回行ったのはMaker Faire Bay Area(以下、MFBA)。いつも僕らもMFTに出展しているけど、あれをはじめ、世界中で毎年130か所以上で開催されている、Maker Faireのオリジナルである。言ってみれば、聖地みたいなところだ。 聖地に降り立った瞬間(ただの関係者受付なので絵面は地味)
ありがたいことに、MFT事務局のみなさんのお誘いで、今回ヘボコンをMFBAでやらせてもらうことになった。共同出展ということで、準備や運営も一緒に進めてくれる。これ以上ない好条件で、ありがたみが頂点に達した。
外国でイベントをするということ話をいったん準備段階まで戻そう。
自慢ではないがヘボコンの開催についてはもう相当に慣れたものである。 もう10回近くやっているのだ。スケジュールから準備品、会場への確認事項まで、すべて可能な限り効率化された状態で頭の中に入っている。 しかしである。会場が海外であるというだけで、これほどまでに勝手が違うものか。 MFT事務局というほぼ最強に近い味方がついていながらも、準備は難航した。 100均で2万円分くらいの雑貨を購入、軽量化のためひたすらパッケージを剥き、箱にぎゅうぎゅうに詰めて送る作業。ロボットの材料になる。
Tシャツ横断幕を作りました!といってFacebookページにアップした写真がジャングル。錯乱していた。
荷物ひとつ送るにも、送料がひと箱で1万円とかかかるのだ。日本で用意して持ち込む、現地調達、海外発送可能な通販で直送、の3通りから慎重に選ぶ必要がある。
そして送ろうと決まったら決まったで伝票の書き方がわからない。 いっぽうで中国の通販サイトで材料用のおもちゃを大量に注文したところ、ぜんぶ船便で発送されてしまって注文し直しというトラブルもあった。 イベントが終わって約2週間後、弊社の現地駐在員の家に、大量のおもちゃが届いた…。
同じ遠地でも、山口や福岡でやった時は鼻歌交じりだったのに!国境、すげえ。
加えて、僕はアメリカ自体も初なのである。旅の準備も必要だし、悪あがきながら英語も勉強しておきたい。古賀さんと一緒に、イベント前の3週間ほどは、もう「右往左往」としか言いようがない状態で過ごした。 関係者が大勢参加するチャットで、現地で買うSIMの相談をする迷惑な二人
浮かれを6枚でそんなバタバタも、出国3日前までである。(それ以降は荷物を送っても当日までに着かないから)
その後は旅行用歯ブラシ買ったりアメリカ人にウケるといわれて筆ペン買ったりしているうちに出発当日。 いよいよ、出発だ。 ユナイテッドエアライン。座席が狭く、コンセントがあるのに通電しないなど、ヘボコンにふさわしいフライトだった。
アメリカは見るものすべてが初めてで、うっかりすると会場に着くまでで3ページくらい書いてしまいそうだ。そんな気持ちをぐっと抑えるために、旅の浮かれは写真7枚に絞った。本編の前にこれだけ貼らせてくれ!!
初めて食べた食事。日本でいうタコライス的なやつ。
アメリカは貨物車両がいちいちトレーラーで、でかい
車窓から外に向けて適当にシャッター押した写真がもれなく全部アメリカっぽい
ホテルに日替わりのフルーツ入り水があり毎日楽しみにしていたのだが最終日はキュウリだった
夜の会場付近。高い建物がなく、空が広い!
スーパーのオリーブ量り売りを見てテンションが上がってしまい、名物でも何でもないオリーブをお土産に買って帰った。しかも漏れるのが怖いため、量り売りじゃなく瓶詰の。
最終日に打ち上げで食べた肉。大人の顔くらいのサイズがあった
繰り返しになるが、いやもうほんとに見るものすべてが初めての景色だ。
そしてそれは外にいるときだけでなく、Maker Faireのイベント中も同じ。会場には見たことないような人や物ばかり。 今回イベントのために渡米して、スケジュール的にも睡眠と食事を除けばのこりの9割5分は会場にいるような生活であった。 散策したり観光したりという時間はほぼなかったのだけど、それでも猛烈に「旅」だった。 会場内も見たことないようなものばかりだった
「見たことねぇ〜」と歌詞のついた溜息が出る
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