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「弱冠」 20歳以外は誤りか?

 

2008/10/10

 国語の授業で「弱冠20歳」と習った覚えはありませんか。実際には「弱冠37歳の社長」などと、若さを強調するときに20歳以外にも使う例が見られます。こうした表現は誤りなのでしょうか。

 中国の古典「礼記」に「二十を弱という、冠す」とあり、20歳になると冠をかぶり、元服式を行ったことから「弱冠」という語ができたとされます。「弱冠」は一般に「男子20歳の異称」のことで、20歳以外や女性に使うのは誤りだとい

 国語の授業で「弱冠20歳」と習った覚えはありませんか。実際には「弱冠37歳の社長」などと、若さを強調するときに20歳以外にも使う例が見られます。こうした表現は誤りなのでしょうか。

 中国の古典「礼記」に「二十を弱という、冠す」とあり、20歳になると冠をかぶり、元服式を行ったことから「弱冠」という語ができたとされます。「弱冠」は一般に「男子20歳の異称」のことで、20歳以外や女性に使うのは誤りだという考え方があります。

 一方、20歳以外についても「弱冠」を使用してよいという考え方もあります。漢文学者の原田種成氏(故人)は著書「漢文のすゝめ」(新潮選書)の中で、「後漢書」「文選」での使用例や「礼記」の疏(注をさらに解説したもの)の記述をもとに「二十歳前後どころか二十九歳までは『弱冠』と言ってよいのである」と指摘しています。最近の国語辞典を見ると、20歳と特定せず、単に年が若い意味で男女に関係なく 、13歳、18歳、24歳、34歳……といった幅広い年齢での用例が載っています。

 新聞紙面上でも、30代以上では少ないものの、10代から20代までではかなり使用されているように思えます。ただ、「20歳以外は誤り」という考えも根強くありますので、「弱冠」の多用は避け、「 …歳の若さで」などと表記するのが望ましいのではないでしょうか。(函)

[日経ネットPlus2008年10月10日掲載]

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