身を守る力の全国調査 効果検証へ
文部科学省が子供を対象に、自分自身を守る力を測る全国調査を実施する検討を始めた。子供自身が身を守るための教育活動は、15年前の大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)乱入殺傷事件を機に広がっているが、その効果を国が検証するのは初めて。調査で判明した有効な取り組みを学校間で共有するのが狙いで、来年度以降の実施を目指す。
2001年の池田小事件以降、防犯カメラの設置▽来校者の身分確認▽地域ボランティアによる登下校の見守り−−といった取り組みが各地で進んでいる。一方、子供自身が危険を素早く察知して身を守ることも重要で、学校単位で子供向けの防犯教室などを開く自治体に対し、国は補助金を出して後押ししてきた。
不審者が侵入した際の避難訓練や身を守る方法を学んだり、独自に地域の安全マップを作ったりする学校も増えている。ただ、これらの取り組みが子供にどのような効果を及ぼしているかは把握できていない。
全国調査は、各地から無作為に選んだ学校の児童にペーパーテストを解いてもらう形式を検討している。知識を問うだけではなく、校内や通学路の絵を示し、隠れている危険箇所を幾つ見つけられるかといった設問を通して「判断力」や「行動力」を判定する。
文科省は調査結果を基に、自治体や学校ごとに効果を比較・検証し、有効な取り組みを学校間で共有させたい考えだ。調査実施に向けた費用を早ければ来年度予算で要求する方針で、具体的な設問内容は専門家の意見を聞いて決める。
文科省は、調査対象外の学校も希望すれば参加できるよう調整し、調査結果は大学や専門家にも提供する。文科省の担当者は「身を守る力と事故発生率の相関関係を調べるなど、学校の安全を向上させる研究に役立ててもらいたい」と話している。【大森治幸、安高晋】
実態把握し改善を
学校安全教育に詳しい兵庫教育大大学院・西岡伸紀教授の話 子供の安全能力を幅広く測る取り組みは例がなく、実態を把握して教育内容を改善していくために非常に意義がある。アメリカでは実際に不審者役が声を掛けて対応力を測る大がかりな調査も行っている。有効な質問項目をどう構成するかが重要になるだろう。