こんにちは。
鈴木はるかです。
久しぶりのSEOネタです。
今回は、世界で拡大をみせているAMP(Accelerated Mobile Pages)の終焉を予測してみようと思います。
もちろん、Google大好きの私のサイトはフル対応(実験中のRecipeもマークアップ)です。よろしければマークアップを確認してみてください。私のページは/amp/でAMPページになります。
しかし、サービスを開始した瞬間から、終わりまで正しく予測しておかないと自社の振る舞いを見誤ってしまう可能性があるのです。
マーケティングのお仕事をしている人は当然だと思われることでしょう。もしそれを間違ってしまうと、インフラ投資の工面や出遅れなど、ビジネスにとって致命的なダメージを与えかねません。
ということで、この素晴らしいサービスがいつまで続くのかを予測しようというのです。
まずは、AMPの仕組みをおさらいしてみましょう。
一般的なWebサイトの特徴

ブロードバンド回線で接続しているPCは、多少重いコンテンツでもギガbpsの世界なのでかなり高速になってきました。よって特に調整をしなくても実転送がネックになることは少なくなりました。ただ、サイトの作りによってはサーバパフォーマンスが影響して何時までもローディングが終わらないページなどができてしまいます。つまりサイト運営者の裁量に掛かっている段階という訳ですね。
反面モバイルはそうは行きません。実回線もLTEが普及し、速くなったといってもPCには及ばない速度です。そのため、大きな画像や動作の重いサイトを作ったならモバイルでは全然動作しなくなります。この状況を少しでも改善しようと、画像の大きさと解像度をディバイスに合わせたレスポンシブイメージ等の技術も普及してきました。
では、AMPで何が良くなったのでしょう
AMPでは、次の2つの特徴によりコンテンツの閲覧速度を高速化しています。

amp-imgタグを使う事により、ホスティング業者に保存されているはずの画像を各国のCDNに保存する事が可能となっています。またAMPのhtmlそのものもCDNにキャッシュされます。
そのため、モバイルが低速回線でも地域による影響を受けず、高速なCDNからコンテンツを受信出来るようになります。

もうひとつのAMPの特徴がAMPhtmlによる厳しいプロトコル規制です。ニュースなどを素早くカルーセルに表示するため、解像度の高い画像やサイトのロゴのアップロードを強制しています。通常のhtmlのマークアップとは異なり、AMPのCDNにキャッシュできるように専用のタグを用いてコーディングを行います。
その結果、非常に少ない転送容量で高品質な濃縮した情報を授受できます。
AMPの機能についておさらいをしました。
AMPは、CDNにキャッシュを行い、転送容量を下げモバイルディバイスの表示速度を爆発的に上げる事に成功しています。
では、この機能が意味を成さなくなるのはどんな時でしょうか。
単純に線を書いてみるとこのようになります。

凄く簡単に書きましたが、この図の通りです。
まず「性能」という文言に含まれているのは、モバイルの回線速度とモバイル端末のCPU性能の両方を表しています。しかしながら、ムーアの法則に見るまでも無くCPU性能は無視して考えられるので、実質縦軸は回線速度と読み取っても良いと思います。
AMPの要件を満たす性能が年と共に僅かに上昇しているのは、いくらAMPといえど現在の性能よりもさらに向上した性能を追求してくるだろうとの予測です。
ということで、この曲線がクロスする前までが、AMPが有効で後がAMPが不要という訳です。特殊な転送やCDNを使わなくても充分な回線速度を提供できる環境が整うとAMPは不要になります。
https://www.nttdocomo.co.jp/support/area/effective_speed/index.html
中央値:下り72Mbps
■au
http://www.au.kddi.com/mobile/area/effective-speed/
中央値:下り71Mbps
■ソフトバンク
http://www.iid.co.jp/news/press/2016/022301.html
中央値:下り30Mbps
は、はやっ・・・私はwimax2+ですが、こんなに速くないですよw
とりあえず各社が発表しているのでコレを使いましょう。
ソフトバンクの誤差が大きすぎてあまり意味が無い数値かもしれませんが「平均」で行きます。
しかし、いくらキャッシュを利用しようとも端末に一度はダウンロードしなければ表示できません。カルーセル画面で自動的に配信されるコンテンツなどあり、実質測定するのは難しいです。いくつか例を出してみたいと思います。
ライブドアのレシピ

コンテンツサイズは7.3KBです。画像の新規読み込みがネックになっているのがわかります。この場合116KBの画像を使用しているため全体で126KB程度になります。
海外SEO情報ブログ

やはり技術系のブログは、文字情報やリンクが大きいためサイズがかさみます。297KBです。この例はブラウザキャッシュが一切無くすべてCDNから新規でダウンロードする場合です。wimax2+で3秒近く掛かっています。
GIZMOD

このサイトはメインコンテンツは、さほど大きくないのですが、関連画像を沢山読み込んでおり358KBとかなり大きな数字になっています。コンテンツの作りによってはいくらでも肥大化できるという例です。AMPの速度を享受するにはサイト設計側も考えないとですね。
海外レシピサイトFOOD52

アメリカのサイトですが、GoogleのCDNに完全キャッシュされているので日本でも素早く表示します。サイズは286KBと日本のサイトと同等ですが速度は2秒以内に表示が終わっています。
一番下に写っているBest-Summer-Cocktailsは、私がストップを押し忘れたために読み込みが走っています。AMPのカルーセルでは如何に高速に表示させるかというのが問われている為、カルーセルの次の画像まで自動取得していたのですね。こういったGoogleのアルゴリズムも高速化の秘密なのですね。
表示速度に関してはGoogleが2秒以内を目指しているのでそれを使います。
<現在のAMP性能前提>
コンテンツ総サイズ:500KB
ターンアラウンド時間:2秒
回線速度:57Mbps
単純に割り算を行うと回線速度のうち3.5%しか使われていないことになります。
実質アプリの処理時間やオーバーヘッド、その他の遅延時間もあるので、
回線速度としては30%程度しか影響がないと思います。
その数値を代入して換算してみれば回線使用率は12%程度になり、モバイルとしては妥当な数値となりました。この数値をAMPの性能のベースとします。
次に一般のホスティング業者にWordPressなどのCMSをおいてスマホでアクセスする場合、どのようになるのか試算してみます。
<現在のスマホ性能前提>
コンテンツ総サイズ:5MB(約10倍)
ターンアラウンド時間:?
回線速度:57Mbps(AMPと同じ)
コンテンツの容量を10倍にして、回線速度を据え置きにしています。
これで、一般Webサイトにスマホでアクセスしたときのシミュレーションが可能です。
回線使用率は12%(6.83Mbps)ですので
6.14秒+1.4秒(2秒の30%を除く)=7.54秒というTATを得られます。
生々しい数値になりましたね^^;
それでは、この7.54秒が2秒とクロスする点がいつになるのか次の章で見てみましょう。
4.AMPの終焉はいつになるか? 色々試算しましたが2秒と7秒の差は大きいですね。これは、基地局を少し調整した!というレベルではどうにもなりません。もし、太刀打ちできるとするなら新しい通信規格、新しい周波数を利用した新システムになります。では、その5G(Generation:世代のこと)と呼ばれる次世代のスマホ規格がいつ実現できるのか見てみましょう。
鈴木はるかです。
久しぶりのSEOネタです。
今回は、世界で拡大をみせているAMP(Accelerated Mobile Pages)の終焉を予測してみようと思います。
もちろん、Google大好きの私のサイトはフル対応(実験中のRecipeもマークアップ)です。よろしければマークアップを確認してみてください。私のページは/amp/でAMPページになります。
1.はじめに
最初に申し上げますが、みなさんが楽しみにしているこのサービスの終わりを大胆に予測するなんて、なんて「偏屈」だと思う方がいらっしゃるかも知れません。しかし、サービスを開始した瞬間から、終わりまで正しく予測しておかないと自社の振る舞いを見誤ってしまう可能性があるのです。
マーケティングのお仕事をしている人は当然だと思われることでしょう。もしそれを間違ってしまうと、インフラ投資の工面や出遅れなど、ビジネスにとって致命的なダメージを与えかねません。
ということで、この素晴らしいサービスがいつまで続くのかを予測しようというのです。
2.AMP終焉の予測はどうすればできるのか?
AMPが使いものにならなくなる判断は、結構容易かもしれません。まずは、AMPの仕組みをおさらいしてみましょう。
一般的なWebサイトの特徴
ブロードバンド回線で接続しているPCは、多少重いコンテンツでもギガbpsの世界なのでかなり高速になってきました。よって特に調整をしなくても実転送がネックになることは少なくなりました。ただ、サイトの作りによってはサーバパフォーマンスが影響して何時までもローディングが終わらないページなどができてしまいます。つまりサイト運営者の裁量に掛かっている段階という訳ですね。
反面モバイルはそうは行きません。実回線もLTEが普及し、速くなったといってもPCには及ばない速度です。そのため、大きな画像や動作の重いサイトを作ったならモバイルでは全然動作しなくなります。この状況を少しでも改善しようと、画像の大きさと解像度をディバイスに合わせたレスポンシブイメージ等の技術も普及してきました。
では、AMPで何が良くなったのでしょう
AMPでは、次の2つの特徴によりコンテンツの閲覧速度を高速化しています。
2.1.AMPの特徴①(CDN&キャッシュ)
amp-imgタグを使う事により、ホスティング業者に保存されているはずの画像を各国のCDNに保存する事が可能となっています。またAMPのhtmlそのものもCDNにキャッシュされます。
そのため、モバイルが低速回線でも地域による影響を受けず、高速なCDNからコンテンツを受信出来るようになります。
2.2.AMPの特徴②(AMP htmlによる転送量削減)
もうひとつのAMPの特徴がAMPhtmlによる厳しいプロトコル規制です。ニュースなどを素早くカルーセルに表示するため、解像度の高い画像やサイトのロゴのアップロードを強制しています。通常のhtmlのマークアップとは異なり、AMPのCDNにキャッシュできるように専用のタグを用いてコーディングを行います。
その結果、非常に少ない転送容量で高品質な濃縮した情報を授受できます。
AMPの機能についておさらいをしました。
AMPは、CDNにキャッシュを行い、転送容量を下げモバイルディバイスの表示速度を爆発的に上げる事に成功しています。
では、この機能が意味を成さなくなるのはどんな時でしょうか。
単純に線を書いてみるとこのようになります。
2.3.AMPが不要になるタイミング
凄く簡単に書きましたが、この図の通りです。
まず「性能」という文言に含まれているのは、モバイルの回線速度とモバイル端末のCPU性能の両方を表しています。しかしながら、ムーアの法則に見るまでも無くCPU性能は無視して考えられるので、実質縦軸は回線速度と読み取っても良いと思います。
AMPの要件を満たす性能が年と共に僅かに上昇しているのは、いくらAMPといえど現在の性能よりもさらに向上した性能を追求してくるだろうとの予測です。
ということで、この曲線がクロスする前までが、AMPが有効で後がAMPが不要という訳です。特殊な転送やCDNを使わなくても充分な回線速度を提供できる環境が整うとAMPは不要になります。
3.実際にシミュレーションしてみよう
まずは現状のモバイル回線の速度を見てみましょう。3.1.モバイル回線各社の実効速度
■docomohttps://www.nttdocomo.co.jp/support/area/effective_speed/index.html
中央値:下り72Mbps
■au
http://www.au.kddi.com/mobile/area/effective-speed/
中央値:下り71Mbps
■ソフトバンク
http://www.iid.co.jp/news/press/2016/022301.html
中央値:下り30Mbps
は、はやっ・・・私はwimax2+ですが、こんなに速くないですよw
とりあえず各社が発表しているのでコレを使いましょう。
ソフトバンクの誤差が大きすぎてあまり意味が無い数値かもしれませんが「平均」で行きます。
3.2.転送量を見てみよう
AMPのデータ転送量の話しです。データ自体AMPのCDNやGoogle内部にキャッシュされているので、サイト側の情報は殆ど使用しません。しかし、いくらキャッシュを利用しようとも端末に一度はダウンロードしなければ表示できません。カルーセル画面で自動的に配信されるコンテンツなどあり、実質測定するのは難しいです。いくつか例を出してみたいと思います。
ライブドアのレシピ
コンテンツサイズは7.3KBです。画像の新規読み込みがネックになっているのがわかります。この場合116KBの画像を使用しているため全体で126KB程度になります。
海外SEO情報ブログ
やはり技術系のブログは、文字情報やリンクが大きいためサイズがかさみます。297KBです。この例はブラウザキャッシュが一切無くすべてCDNから新規でダウンロードする場合です。wimax2+で3秒近く掛かっています。
GIZMOD
このサイトはメインコンテンツは、さほど大きくないのですが、関連画像を沢山読み込んでおり358KBとかなり大きな数字になっています。コンテンツの作りによってはいくらでも肥大化できるという例です。AMPの速度を享受するにはサイト設計側も考えないとですね。
海外レシピサイトFOOD52
アメリカのサイトですが、GoogleのCDNに完全キャッシュされているので日本でも素早く表示します。サイズは286KBと日本のサイトと同等ですが速度は2秒以内に表示が終わっています。
一番下に写っているBest-Summer-Cocktailsは、私がストップを押し忘れたために読み込みが走っています。AMPのカルーセルでは如何に高速に表示させるかというのが問われている為、カルーセルの次の画像まで自動取得していたのですね。こういったGoogleのアルゴリズムも高速化の秘密なのですね。
3.3.性能を試算してみよう
コンテンツサイズは200KB~1MB程度と言うことが分かりました。表示速度に関してはGoogleが2秒以内を目指しているのでそれを使います。
<現在のAMP性能前提>
コンテンツ総サイズ:500KB
ターンアラウンド時間:2秒
回線速度:57Mbps
単純に割り算を行うと回線速度のうち3.5%しか使われていないことになります。
実質アプリの処理時間やオーバーヘッド、その他の遅延時間もあるので、
回線速度としては30%程度しか影響がないと思います。
その数値を代入して換算してみれば回線使用率は12%程度になり、モバイルとしては妥当な数値となりました。この数値をAMPの性能のベースとします。
次に一般のホスティング業者にWordPressなどのCMSをおいてスマホでアクセスする場合、どのようになるのか試算してみます。
<現在のスマホ性能前提>
コンテンツ総サイズ:5MB(約10倍)
ターンアラウンド時間:?
回線速度:57Mbps(AMPと同じ)
コンテンツの容量を10倍にして、回線速度を据え置きにしています。
これで、一般Webサイトにスマホでアクセスしたときのシミュレーションが可能です。
回線使用率は12%(6.83Mbps)ですので
6.14秒+1.4秒(2秒の30%を除く)=7.54秒というTATを得られます。
生々しい数値になりましたね^^;
それでは、この7.54秒が2秒とクロスする点がいつになるのか次の章で見てみましょう。
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