睡眠や覚醒のリズムを約24時間周期で生み出す「体内時計」の時刻を、体にあるタンパク質の量から特定できることを、理化学研究所生命システム研究センター(大阪府)のチームがマウスで明らかにし、5月30日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
時計のリズムが生まれる仕組みの解明につながると期待される。体内時計はホルモン分泌や睡眠などさまざまな生理機能に関わるとされ、将来は時差ぼけや睡眠障害の診断、治療に役立つ可能性がある。
チームは、体内にある多くの種類のタンパク質の量を、極めて微量でも、分析装置を使って高い感度で効率良く測定できる手法を開発し「MS―QBiC」と名付けた。
この測定法で、マウスの肝臓にある20種類のタンパク質の量が24時間のうちにどのように変化するのかを解析。その結果、14種類が24時間周期で増減していた。これらのタンパク質は特定の時刻で一定の量を示すため、量を調べれば体内時計の時刻が分かる仕組みだ。
チームによると、人の体内時刻の測定は、血液を用いる方法などが既に報告されており、清水義宏ユニットリーダーは「複数の手法を使用することで、より正確な時刻を把握できるようになるだろう」としている。〔共同〕