大事な人にだけ、分かってもらえればそれでいい――
こんにちは、氷太よ。
今日は文乃ゆき先生の
「ひだまりが聴こえる」
を頂いていくわね。
良いタイトルね、温度のある言葉をひだまりと比喩するなんて。
フォロワーさんに教えて貰ったんだけど、この漫画がデビュー作なんですってね。
それで実写化も決定されている今ビッグウェーブに乗っている作家である事間違いない。
このお話は、突発性難聴を患ってしまった大学生と講義内容を筆記でまとめるノートテイカーの子との物語よ。
あくまで「難聴」という事なので、ある一定条件が揃えば聴こえるのは聴こえるのよね。
ただその条件が揃わなければ聴こえないの。
ちなみに氷太が恋してる元カレは左耳が全く聴こえない子なの。
だからこの「聴こえない」という設定をファッション要素ではなく、本質的に描いているこの漫画は本当に参考になったわ。後述するわねここ。
あらすじ
―――あいつ、耳聴こえねーの?
難聴せいで何かと誤解を受け周囲とうまく馴染めない大学生の航平は、いつしか人と距離を置くようになっていた。
そんな時に出会った同級生の太一。
バカみたいに明るい性格で思ったことを何でも口にする彼から
「聴こえないのはお前のせいじゃないだろ!」
と言われ、航平はその言葉に心底救われて……。
友達以上、恋人未満。
太一との出会いが航平を変えていく。
こんな感じね。
ざっくり言うと難聴が起因して人に期待する事を諦めた子と、人の本質を見ようとする子のお話ってところかしらね。
登場人物
太一(表紙右)
真っ直ぐで直情的な貧乏学生。
バイト先で問題を起こし、クビになり仕事を探している上でノートテイカーを知った。
航平(表紙左)
周りのデリカシーのない人間と関わらないように1人で過ごしている。
難聴を中学生の時に患い、居場所を見出せずにいた。
感想
ストーリー・キャラクター・絵
まずは物語。
肝となる「難聴」により、どういった事が起こりどういった感情を抱えるのか?
ここは凄く良く伝わってくるわね。
デリカシーの欠片もない周りを取り囲む環境もリアル。
情景描写もしっかりとしているし、モノローグも適度に挟んでるし。
きっとちゃんとリサーチしたのね。表層部分に留まらずに内側の部分をこちらに訴えかけようとする工夫が見られるわ。
そして、自分を理解してくれようとする太一という存在が現れた事で救われていたけども、また更に試練が起こるのよね。
そこでやっと認識するのよ、自分が本当に聴いていたい言葉を。
この部分とハンバーグ作ってる部分、アタシ泣いたわ。
目立った短所
主に2点。
まずは航平の利己的な行動主張。
これは分かるのよ。
難聴が原因として今まで変わっていった人間関係が過去にあるから臆病にもなるし怖くもなるわ。
ましてや大事な人ほどね。
ただ物語終盤の「今更ずるいよ」ってセリフは擁護できない。
それめちゃめちゃブーメランだから。
甘えんなじゃねえ!と言いたい。
次にラストシーンの太一。
ああ、ごめん。書き下ろしのラストの部分ね。
本編ラストは良かったのに、書き下ろしのラストときたら・・・。
ここ、全然共感できない。
あらすじにもある通り、太一が「聴こえないのはお前のせいじゃないだろ!」と言うシーンが序盤にあるんだけど、ここの前後のセリフに航平が救われているわけなんだけどこの重要なシーンと合わない事しちゃってんのよね。
聴こえない事を何回でも聴く、聴こえなかったら何回でも言う、遠慮のいらない関係。
それがこの物語の伝えたかった2人の関係性なんじゃないのか・・?と残念に思ったわ。
なんでありがちなツンデレ具合で終わらせるんだと。
何回でも聴けよって言ったのお前だろうがと。
最後の最後でなんでキャラ設定ブレるんだよと。
プラトニックではっきりとしたBL要素がないから補強のつもりだったのか、続編への繋ぎなのか分からんけどバッサリ言わせてもらうと、「飽和しているくらいよくあるラスト」に過ぎない。
ここ、めちゃめちゃ残念。
続編への繋ぎだとするならば、繋ぎ方間違ってる。
まあそれ以外は良いから続編も勿論買いますけどね。
発展
皆無と言ってもいいなコレは。
だけど描く必要はアタシもなかったんじゃないかなと思うわ。
むしろ1回読み終わってから「なんでないのよ!駄作!!」って言う人いたら、ちょっと頭おかしいと思うの。
この作品が描きたかった本質ってそこじゃないから。
なんでもかんでも詰め込めば良いってもんじゃないから。
まとめ
どの人にも受け入れられる漫画かとは思うけど、BL要素がめちゃめちゃ薄いという事だけは念頭に置いておいた方が良い。
そら実写化されるわなという内容。
難聴というものに、真っ直ぐに向き合った良作であるのは間違いない。
