競技者目線や競技者に近い視点で、臨場感のある撮影が楽しめるアクションカメラは、比較的”カメラ好き”が欲するカメラとは違うベクトルにあるように思える。そこで今回は、このアクションカメラの中でも超広角レンズと4K動画撮影を特徴とする「WG-M2」はカメラ好きに響くのかチェックしてみたいと思う。
アクションカメラといえば、映像制作の分野にも使われるゴープロ(GoPro)の「Hero」シリーズにはじまり、ソニーやパナソニックといった国内メーカーもパーソナルユース向け製品を投入している。それぞれ、防水・防塵、耐衝撃などのタフネス性能をベースに、様々な撮影に対応できるウェアラブルや車載など多彩なアクセサリー展開を行っている。
一方でタフネスさと引き替えに、カメラとしては画素数などの性能が抑えられ、操作もやや煩雑で旧世代感があるのも確かだ。このカメラの利用者は競技者自身や映像制作のプロ、さらにドローンに搭載されるなど裾野が広がりつつある。アクションカメラで撮影された映像は、これまで見たこともないアングルによる迫力があり、従来のカメラマンが狙って撮れる映像とはまた別の世界が感じられる。
しかしながら、撮れる映像が同じなら定番製品が売れ、それに合わせてアクセサリーが増えるというサイクルがある。そんな競合がひしめく中で4K(3840×2160ドット)動画撮影に対応したWG-M2の立ち位置はどうだろうか。
WG-M2の外観をチェック
WG-M2の外観で気付くのが、前方投影面積が小さく競技者の邪魔にならないデザインをしている点だ。巨大な透明ドームは、レンズの前玉ではなくレンズプロテクターだ。深いレンズフードが使用できない広角レンズだが、レンズプロテクターのおかげであまり神経質にならずに取扱える。
本体上部にはモニターがあり、実際の映像を確認しながら撮影可能だ。この手のデバイスの場合、モニターは無いよりは有った方がいいのだが、いかんせん上からのぞき込むスタイルとなるため使いづらいシーンもある。しかし、常にモニター確認せずに撮影するウェアラブルカメラとして使う場合なら、最初に写っているのかさえ確認できればそれで良い。
このモニターを使って、動画モードの設定や細かい露出の調整なども行えるが、メニューキーを押して、右側の上下キー、決定キーで都度呼び出す必要があり手間に感じる。とはいえ、基本的に4Kで撮るのかFHD(1920×1080ドット)で撮るのかを決めて、現場では手違いで設定が変わってしまわないよう固定されるこの方式は、ミスがなく理に適っていると言えるだろう。
さて、動画撮影だがWG-M2では、撮影時間は最長25分、ファイルサイズが大きい4Kとなると4GBのファイルサイズ制限によって約9分で撮影が終了するという制限がある。モニターを確認せずに撮影しているといつの間にか撮影が終わっていると言うこともあるので注意が必要だ。そのため、WG-M2には撮影中にはLEDが点灯し、さらに撮影終了時にバイブの振動で知らせるユニークな機能がある。
4Kをフルに活かせる800万画素センサー
WG-M2の特徴は約800万画素の1/2.3型CMOSセンサーをフルに生かした4K動画撮影と、35mm判換算約9mm(超広角204°)F2.0、8群8枚の「RICOHレンズ」だ。近距離は魚眼レンズのように大きく歪むが180°よりさらに広く後ろまで写るワイド感が素晴らしい。例えば、屋内では、床と天井が一枚に収まり、自動車のフロントガラスに近づけて撮影すれば前方だけではなく両サイドまで写り込む。バイクのハンドルに自撮りとして設置すると、自分だけではなく背景も広く写すことが可能だ。
この超広角を4Kで記録できるWG-M2を、アクションカメラとしてだけ使うのは勿体ない。超広角故に、遠くの景色は小さく映ってしまうのだが、4Kの解像度があるのでディテールが分かる。これなら旅行の記録映像や、街並みの映像記録など、カメラ好きがサブのカメラとして持っていて楽しめるのではないだろうか。
スマホとのWi-Fi接続でより便利に
最後に、本体で行う面倒な設定もWG-M2とWi-Fi接続可能なスマホアプリ「Image Sync」(iOS、Android)を利用すれば、簡単に行える。このアプリはライブビューの確認や、リモコン代わりに使えるのでオススメだ。