新首相に大統領側近
【エルサレム大治朋子】トルコのイスラム系与党・公正発展党(AKP)は22日、首都アンカラで臨時党大会を開き、辞意を表明したダウトオール首相の後任として、エルドアン大統領の側近、ユルドゥルム運輸海事通信相を新党首に選出した。大統領は同日、ユルドゥルム氏を首相に指名し、組閣を指示した。同氏は演説で「新憲法で大統領制を」と述べ、大統領権限の拡大を目指す方針を示した。
ユルドゥルム氏はエルドアン氏と共にAKPの共同創設者で、エルドアン氏の20年来の側近。新政権は今月末にも発足する見通し。
トルコでは従来、大統領は象徴的な存在だが、エルドアン氏は大統領制への移行とそのための憲法改正を呼びかけている。大半の世論調査で反対が賛成を上回り、ダウトオール前首相は困難視していた。これが大統領との間の溝を広げる原因になったとの見方が強い。
ユルドゥルム氏は演説で「(政府の)最も重要な任務は憲法改正だ」と強調。大統領制を導入すべきだとの考えを明確にした。また、激化するクルド系反政府武装組織クルド労働者党(PKK)との紛争については「テロ組織のPKKが戦闘をやめるまで、作戦は止まることなく継続する」と述べ、徹底して戦う構えを示した。
大統領制への移行もPKKへの強硬姿勢もエルドアン氏の意向に従うもので、今後、大統領権限の実質的な拡大が加速する可能性が高い。