Gigazineを見ていたら、面白いニュースがありました。
Appleと中国の革製品メーカーが争っていた裁判で、Appleの主張が退けられ、ハンドバッグや財布、パスポートケースなどのブランド名として「IPHONE」を掲げることが許可されました。
うーん、果たして中国はこれで良いのだろうか。日本では商標登録の範囲って決まっていたはずなので、分野が違えばその商標を使える可能性があるのですが・・・。
ちょっと調べてみました。特許庁のページによると、
商標権は、商標を使用する者の業務上の信用を維持し、需要者の利益を保護するため、商標法に基づいて設定されるものです。
特許庁に商標登録出願をし、審査を経て登録査定となった後、登録料を納付すると、商標登録原簿に設定の登録がなされ、商標権が発生します。
とあります。商標権が認められると、
商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有します(専用権、商標法第25条。さらに、他人によるその類似範囲の使用を排除することができます。
ここまでが一般的にありそうなイメージですけれども例外があります。
(1)自己の氏名・名称等を普通に用いられる方法で表示する場合
例えば、自己の会社名と同一の登録商標があった場合でも、自己の会社名を示すものとして使用する範囲においては、商標権侵害にはなりません。(2)商品又は役務の普通名称、品質等を普通に用いられる方法で表示する場合
仮に商品や役務の普通名称や品質を表す文字等が登録された場合であっても、商品や役務の普通名称や品質を表すものとして使用する範囲においては、第三者も自由に使用することができ、商標権侵害にはなりません。
つまり会社名は自由につけられるし、商品の名称として用いる場合には自由に使ってよいということのようです。例えば、小売店が「iPhone販売中」っていう風に自由に使えたり、小説や映画の中で、「出かける時にiPhoneをカバンの中にいれた」という記述や描写があっても商標権の侵害にはならない。
ですが、上記記事のようにiPhoneケースにまでiPhoneの使用が認められるというのは、類似の商品にあたり、本件とは別ですね。こういう特許関連の法律の多くは、グローバルスタンダードがあって日本もそれに従っているはずで、訴訟大国のアメリカはどうやって処理していくんでしょうか。
特許関連の話で有名なのは、中国でのクレヨンしんちゃんの商標登録を勝手にされてしまった件ですが、中国の最高裁で勝訴しました。
そこで、この件は確定なのかと思って、もう一度最初の記事を参照すると、
Appleは商標の独占を求めて2012年に中国の商標当局に申し立てを行いましたが認められず、2013年に敗訴。その後、控訴していました。そして今回、日本の高等裁判所に相当する北京の高級人民法院によると、Appleは新通天地が商標登録を行った2007年に既に中国で「iPhone」が広く知られるところであったと証明できておらず、商標権侵害はなかったとの判断が下されました。
とあります。高裁での判決のようですので、ひょっとしたら最高裁で覆るかもしれませんね。その後の判決に期待です。
その他参考―商標法26条
(商標権の効力が及ばない範囲)
第二十六条 商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む。)には、及ばない。
一 自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を普通に用いられる方法で表示する商標
二 当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する商標
三 当該指定役務若しくはこれに類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又は当該指定役務に類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する商標
四 当該指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について慣用されている商標
五 商品等が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標
六 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標
2 前項第一号の規定は、商標権の設定の登録があつた後、不正競争の目的で、自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を用いた場合は、適用しない。