レビュー

ゲーマー待望の新ハイエンド「GeForce GTX 1080」をベンチマーク

GeForce GTX 1080

 5月27日の発売に先立ち、NVIDIAの最新GPU「GeForce GTX 1080」を借用する機会が得られた。GeForce GTX TITAN Xの2倍に達するというVR環境での性能が注目を集めるGeForce GTX 1080だが、今回は現行のゲームタイトルやベンチマークテストを用い、非VR環境での実力を確認する。

Pascalアーキテクチャ採用の新ハイエンドGPU

 GeForce GTX 1080は、新設計のGPUコア「GP104」を採用したハイエンドGPU。GP104は「Maxwell」の後継となる新アーキテクチャ「Pascal」を採用し、製造プロセスも28nmから16nmへと微細化した。製品の位置付けとしては、GeForce GTX 980の後継モデルにあたる。

GeForce GTX 1080のGPU-Z

 GPUコアは、2,560基のCUDAコアと160基のテクスチャユニットを備え、ベースクロック1,607MHz、Boostクロック1,733MHzで動作する。メモリには10GHz相当で動作するGDDR5Xメモリを8GB搭載。GDDR5XメモリとGP104コアは256bitのメモリインターフェイスで接続しており、メモリ帯域幅は320GB/secに達する。TDPは180W。

【表1】GeForce GTX 1080の基本的なスペック
GeForce GTX 1080 GeForce GTX 980 GeForce GTX 980 Ti
アーキテクチャ Pascal(GP104) Maxwell(GM204) Maxwell(GM200)
製造プロセス 16nm 28nm 28nm
GPU ベースクロック 1,607MHz 1,126MHz 1,000MHz
GPU ブーストクロック 1,733MHz 1,216MHz 1,075MHz
CUDAコア数 2,560基 2,048基 2,816基
テクスチャユニット 160基 128基 176基
メモリ容量 8GB GDDR5X 4GB GDDR5 6GB GDDR5
メモリクロック 10GHz 7.0GHz 7.0GHz
メモリインターフェース 256bit 256bit 384bit
ROPユニット 64基 64基 96基
TDP 180W 165W 250W

 今回借用できたのはGeForce GTX 1080はリファレンスボードだ。金属製フレームを採用した2スロット占有のGPUクーラーを採用、ボード背面のほぼ全面を覆うバックプレートを搭載した。補助電源コネクタは8ピン1系統。ディスプレイ出力端子には、HDMI 2.0bとデュアルリンクDVI-Dを各1系統ずつと、3系統のDisplayPort 1.4を備える。

 GeForce GTX 1080が備える2基のSLIコネクタは、SLIインターフェイスの帯域幅を改善するデュアルリンクSLIに対応。新型の「SLI HBブリッジ」を用いることで、SLIインターフェイスの動作を従来の400MHzから650MHzに引き上げ、4Kや5K、複数のディスプレイを用いたサラウンド環境での性能を改善する。一方、GeForce GTX 1080が標準で対応するのは2枚構成の2-way SLIまでとなる。3-way/4-wayに関しては非推奨とされ、「Enthusiast Key」と呼ばれる3-way/4-wayのアンロックキーをNVIDIAにリクエストし、適用した場合のみ有効となる。

GeForce GTX 1080のリファレンスボード。金属フレーム採用のGPUクーラーは、従来のハイエンドカードのものとはデザインが変更された
基盤裏面はバックプレートで覆われている
GeForce GTX 980のリファレンスボードと並べたところ。カード長はともに約267mm(ブラケット部を除く)
ディスプレイ出力端子は、DisplayPort×3基、HDMI 2.0b×1基、DVI-D×1基
電源コネクタは8ピン1系統。PCI Expressスロットからの給電と合わせると、最大で225Wの電力を供給できる
SLIコネクタの数は2基。2基のコネクタは「SLI HB ブリッジ」によるデュアルリンクSLIのために用意されたもので、通常では3-way/4-way SLI機能はロックされている

テスト環境と比較製品

 GeForce GTX 1080の比較用製品として、GeForce GTX 980のリファレンスボードと、GeForce GTX 980 Tiを搭載した「ZOTAC GeForce GTX 980 Ti AMP! Extreme」を用意した。

 ZOTACのGeForce GTX 980 Ti AMP! Extremeは、GeForce GTX 980 Tiのベースクロックを1,000MHzから1,253MHz、Boostクロックも1,075MHzから1,355MHzへと引き上げたスーパーオーバークロックモデル。ゲームでの性能は上位GPUのGeForce GTX TITAN Xを超えており、シングルGPU最速のビデオカードの1つだ。

 今回は、置き換え対象のGeForce GTX 980と、従来のシングルGPU最速カードとの比較という形で、GeForce GTX 1080の性能をチェックする。

【表2】テスト機材
GPU GTX 1080 GTX 980 Ti/GTX 980
CPU Intel Core i7-6700K
マザーボード ASUS Z170-A
メモリ DDR4-2133 8GB×2(15-15-15-35、1.20V)
ストレージ 256GB SSD(CFD CSSD-S6T256NHG6Q)
電源 Antec HCP-1200(1,200W 80PLUS GOLD)
グラフィックスドライバ GeForce 368.13 Driver GeForce 365.19 Driver
OS Windows 10 Pro 64bit
ZOTAC GeForce GTX 980 Ti AMP! Extreme。3スロット占有の大型GPUクーラーを備えた、GeForce GTX 980 Tiのスーパー・オーバークロックモデル
ZOTAC GeForce GTX 980 Ti AMP! ExtremeのGPU-Z実行画面。メモリも標準の7.0GHz相当から7.22GHz相当へオーバークロックされている
GeForce GTX 980のリファレンスボード

ベンチマーク結果

 それでは、ベンチマークテストの結果を確認する。実行したテストは、3DMark(グラフ1、2、3、4、5)、アサシンクリード シンジケート(グラフ6)、Witcher 3(グラフ7)、ダークソウルIII(グラフ8)、ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク(グラフ9)、MHFベンチマーク【大討伐】(グラフ10)。

 3DMarkの結果は、テストを実施した中で最も軽いCloud Gateから4K解像度のFireStrike Ultraまで全てのテストでGeForce GTX 1080がトップスコアを記録した。描画負荷の軽いテストになるほど、比較製品との総合スコアの差は縮まっているが、Graphics ScoreではGeForce GTX 980に6割前後、GeForce GTX 980 Ti AMP Extremeに1割前後の差を付けており、GPUの描画性能では比較製品に対して一定の優位を保っていることが分かる。

【グラフ1】3DMark - Fire Strike (1,920×1,080ドット)
【グラフ2】3DMark - Fire Strike Extreme (2,560×1,440ドット)
【グラフ3】3DMark - Fire Strike Ultra (3,840×2,160ドット)
【グラフ4】3DMark - Sky Diver
【グラフ5】3DMark - Cloud Gate

 美麗なグラフィックが売りのアサシンクリード シンジケートは、広大なマップの精緻な描画に高いGPU性能を要求するタイトルだ。このタイトルでも、全ての条件でGeForce GTX 1080が最も高いフレームレートを記録した。2,560×1,440ドット以下の解像度では比較GPUに対し、3DMarkのGraphics Scoreと同程度の差を付けている。

 3,840×2,160ドットの4K解像度においては、描画プリセット「非常に高い」でGeForce GTX 980 Ti AMP Extremeとの差がほぼなくなっているが、描画プリセットが「最高」になると4fps、約2割と差を広げている。これはビデオメモリの使用量がGeForce GTX 980 Tiが備える6GBを超えているためで、GeForce GTX 1080の8GBという大容量メモリの優位性が発揮された結果だ。いずれのGPUも単体で4K解像度でゲームを楽しむのは厳しいが、2-way SLI構成時にはこのメモリ容量が効いてくるだろう。

【グラフ6】 アサシンクリード シンジケート

 Witcher 3でもフレームレートのトップスコアはGeForce GTX 1080だ。比較GPUに付けた差についても、GeForce GTX 980に6〜7割、GeForce GTX 980 Ti AMP Extremeに約1割と、3DMarkのGraphics Scoreの結果とほぼ一致している。GeForce GTX 1080の性能は、最高の描画プリセットを適用した2,560×1,440ドットの画面解像度で、60fpsを維持しながらプレイできるレベルにある。

【グラフ7】 Witcher 3

 ダークソウルIIIは、フレームレートの上限が60fpsに固定されているタイトルだ。このため、1,920×1,080ドットの画面解像度では全GPUが60fpsが横並びとなり、2,560×1,440ドットでGeForce GTX 980がやや60fpsを割り込み、3,840×2,160ドットではGeForce GTX 1080とGeForce GTX 980 Ti AMP Extremeがともに45fps程度までフレームレートが低下した。

 結果を見れば、GeForce GTX 980ではやや足りない2,560×1,440ドットでもフレームレート上限に達し、4K解像度でもGeForce GTX 980 Ti AMP Extremeと遜色ない性能をGeForce GTX 1080が発揮したというものだ。だが、このタイトルでは、後述する消費電力比較において、上限が60fpsに固定されている環境下で、同じ性能を得るのに必要な電力の差にも注目して欲しい。

【グラフ8】 ダークソウルIII

 ファイナルファンタジーXIVでは、描画負荷が重くなるにつれ比較GPUとGeForce GTX 1080の差が開いていき、3,840×2,160ドットではGeForce GTX 980に7〜8割、GeForce GTX 980 Ti AMP Extremeに1割程度の差をつけている。MHFベンチマークもほぼ同じ傾向であり、GeForce GTX 1080は今回の比較用GPUを安定して上回る性能を発揮した。

【グラフ9】 ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク
【グラフ10】 MHFベンチマーク【大討伐】

 最後に消費電力の測定結果を紹介する。消費電力の測定はサンワサプライのワットチェッカーで行なった。

 アイドル時の消費電力はGeForce GTX 1080が40Wで最も低く、GeForce GTX 980に5W差、GeForce GTX 980 Ti AMP Extremeには17Wの差を付けた。

 GPU負荷の高いテストを実行中のGeForce GTX 1080の消費電力については、おおよそ250〜260W程度を記録しており、これはGeForce GTX 980より若干高い数値だ。比較製品の中ではGeForce GTX 980 Ti AMP Extremeの消費電力の高さが際立っており、上位GPUを超える大幅なオーバークロックの副作用の大きさが感じられる。そのGeForce GTX 980 Ti AMP Extremeを上回る性能を発揮しながら、GeForce GTX 980並みの消費電力に抑えたGeForce GTX 1080の電力対性能比もまた驚異的だ。

 さて、性能の面で比較した3製品が横並びとなっていたダークソウルIIIの1,920×1,080ドット時の消費電力は、GeForce GTX 1080が133Wと飛びぬけて低い消費電力を記録した。2,560×1,440ドットでもGeForce GTX 980より40W近く低い消費電力で動作している。垂直同期などでフレームレートが制限される条件で、GPUがフルに動作する必要がない描画負荷であれば、GeForce GTX 1080は消費電力を大きくカットすることができるということだ。

【グラフ11】 システム全体の消費電力

非VRでもシングルGPU最速となるGeForce GTX 1080

 以上の通り、GeForce GTX 1080は、従来のシングルGPU最速のビデオカードの1つであるGeForce GTX 980 Ti AMP Extremeを超える性能を発揮しながら、消費電力はGeForce GTX 980より若干高い程度に抑えたGPUである。非VRのゲームでもシングルGPU最速の製品となるのは間違いなさそうだ。

 省電力化と性能の向上を高いレベルで同時に達成したGeForce GTX 1080は、PCで本格的にゲームを楽しみたいユーザーにとって大きな魅力のあるGPUとなるだろう。GeForce GTX 1080がこれほど強力なGPUとなると、その下位モデルで6月10日発売のGeForce GTX 1070への期待も俄然高まってくる。ビデオカードの新調を検討しているPCゲーマーにとって、GeForce GTX 1080/1070の発売が待ち遠しい日が続きそうだ。

 【編集部より】5月18日18時より、高橋敏也氏と加藤勝明氏による生配信番組でGeForce GTX 1080の動作テストをお届けする予定です。こちらも合わせてご覧ください。

ニコニコ生放送(タイムシフト対応)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv262865639
YouTube
https://youtu.be/sUD-RoNO-i4
Abema
https://broadcast.abemafresh.tv/broadcast/impress/13062

(三門 修太)