スズキの「軽離れ」が避けられなくなった理由
もはやグローバル戦略を優先せざるを得ない
「行儀の悪い売り方」の反省から見えてきたものは
5月10日に行われたスズキの2016年3月期決算会見では、同社の主力である4輪車部門の販売台数は前年度比でほぼ横ばいだったものの、最大市場のインドでは11.5%増加し、過去最高の130.5万台を記録したことが発表された。
質疑応答で鈴木修会長は、軽自動車が白モノ家電の二の舞になることを懸念していた。昨秋以降、「お行儀が悪い売り方」を控えているといい、今後はシェアにはあまりこだわらず、1台1台を大切に売っていく考え方にシフトしていきたいと語った。
またスズキは2019年度までの5年間における中期経営計画のひとつに掲げていた国内登録車販売10万台の目標を、16年度中に達成することも明らかにした。
そのスズキが今年に入ってから発売した新型車「イグニス」と「バレーノ」は、いずれも軽自動車ではなく、小型乗用車となっている。
スズキと軽自動車のシェア争いをしてきたダイハツ工業が最近発売したのも軽自動車ではなく、小型乗用車の「ブーン」(トヨタ自動車にも「パッソ」として供給)であるが、こちらは以前から存在していた車種でもあるので、納得できるところである。
しかし、スズキはイグニスとバレーノの登場によって、以前からあるスイフトを含めると、全長4m以下、排気量1〜1.5リットルのハッチバック、つまりコンパクトカーのジャンルに3車種を擁するようになった。