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 2020年東京五輪招致を巡る、不透明なお金の流れが国会審議で取り上げられた。16日、五輪招致委の理事長だった竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)会長が、衆議院予算委員会に参考人で呼ばれた。招致委が、国際オリンピック委員会(IOC)委員が関連したとされるコンサルタント会社に支払った額は、約2億3千万円。竹田会長は「正当な業務に基づくものだった」と主張した。

 「海外コンサルタントなしには、招致は成功しないとまで言われている」。この日の衆院予算委員会。参考人として呼ばれた竹田会長は主張した。

 竹田会長が説明した契約の経緯はこうだ。

 招致決定2カ月前の2013年7月。投票権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)委員が多く集まる陸上世界選手権を前に、海外コンサルタント数社から売り込みがあった。招致委は大手広告会社の電通に実績を確認したうえで、その中からブラック・タイディングズ(BT)社(本社シンガポール)と契約。委託した業務は2度にわたり、計約2億3千万円を支払った。

 BT社は、当時IOC委員で、五輪開催を決める委員の票を取りまとめる影響力があったとされるラミン・ディアク国際陸連前会長の息子と関係が深かったが、竹田会長は「知らなかった」。電通は国際陸連の主催大会に関わる全世界のマーケティングなどの権利を01年から29年まで保有するが、電通の広報担当者は「ロビイストとしての実績はある、という事実を伝えたまで。取引は一切ない」とする。

 13年7月、国際ロビー活動、IOC委員の動向と情報収集を委託し、その対価として、約9500万円。東京五輪招致成功後の同年10月には、約1億3500万円を振り込んだ。勝因分析が名目で、成功報酬の意味合いもあった。この額は業務に見合っていたのか。竹田会長は「有形無形の各種報告が成果。票獲得に欠かせなかった」とするが、「どう使われたか確認していない」とも述べた。

 今回問題になっている2億円超の支払いについて、竹田会長は「招致委の口座から振り込んだ。原資は税金ではない」と説明する。招致委の活動報告書によると、20年大会の招致費の総額は89億円。35億円を東京都が支出し、54億円を招致委が寄付金、協賛金、サッカーくじ(toto)からの補助金などで賄った。海外のコンサルには、招致委が計約7億8600万円を支出。元幹部によると、十数社と契約していたという。

 安倍晋三首相は予算委で「政府としてもスポーツ庁を中心に引き続き事実関係の把握に努めたい」と述べた。(阿久津篤史)