震災踏まえ漱石しのぶ 熊本市で記念年開幕式典 [熊本県]
文豪夏目漱石の没後100年、来熊120年などを記念した全国オープニング式典が14日、熊本市中央区のホテル日航熊本であった。熊本地震の余震が続く中で、漱石愛好家ら約400人が集まり、来年まで続く記念年の開始を祝った。
会場に予定していた市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)が被災して使用できず、場所を変えて開催。冒頭、震災犠牲者を追悼し全員で黙とうした。蒲島郁夫知事は「震災で、何でもない普段の生活の大切さに気づいた。それを踏まえながら漱石をしのびたい」とあいさつした。
姜尚中(カンサンジュン)県立劇場館長は「漱石の死生観-熊本大震災を生きる」と題して基調講演。小説「虞美人草(ぐびじんそう)」の漢詩「生死因縁無了期」(生死の因縁は終わるときがない)などを引きながら「漱石は(震災を経験した)熊本の今を生きる人たちに奥が深い言葉を残している」と語った。
=2016/05/15付 西日本新聞朝刊=